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16.会長の攻勢

昨日、流石に眼科へと行ってきました。休診日でした。

確認してから行こうと、いつもながら思いました。

追記:先生「脳神経外科を受診して下さい」筆者「えっ」

16.会長の攻勢



ファミレスで全員が食べ終わった後に少々の雑談後に解散となった。最後に会長から今日の報酬で学食の無料券を渡されたのだが、何故この人はこれを持ち歩いていたのだろうか。

尋ねたところ、笑って誤魔化された。うん、怖い。


「それじゃ送っていくね」


気配りの出来る人だ。流石にこの時間に女子の一人歩きは危険だろう。何があるのか分からないからな。俺には護衛がいるらしいから大丈夫だろうが、他の二人は違う。あとで護衛の人達に差し入れでも用意すべきだろうか。

この時は深く考えていなかった。会長が外堀から埋めると言う言葉を。それを実感したのは次の日の朝だった。


「やあ、おはよう」


学園の校門を過ぎたところで声を掛けられ、そちらを振り返ると会長がにこやかに立っていた。うわ、全員の視線が刺さる。登校している学生の多い時間帯だけあって色んな視線を向けられる。


「おはようございます、会長。狙ってやりましたね」


「あはは、やっぱりばれたか」


ここまで露骨なら誰だって分かる。公の場で琴音と生徒会が和解したと思わせるのが狙いだろう。そこまでやる価値が俺にあるのかは疑問だ。下手をしたら生徒会が疑われるかもしれないというのに。

如月琴音に支配されているかもしれないと。


「大胆というか、後のことを考えていないというか」


「それは違うよ。僕は後のことを考えているんだよ」


琴音という存在は現状で爆弾だと考えていたのだが、会長は俺の考えと違うものを持っているのだろうか。爆弾を内に抱えるのは誰だって拒否するはず。なのに会長は将来のことを考えて発言しているといった。


「今の君なら将来的に誰だって放っておかない。以前の君を客観的に見れている君なら僕は信用できる」


「自分のしたことに責任を持つことは当たり前のことじゃないでしょうか」


客観的に見れているのは中身が他人だからだ。琴音自身が正気に戻って、過去を後悔することが出来るかどうかは分からない。だからといって俺までそんな考えでは駄目だ。琴音の過去を抱えて、俺として生きるために。


「それは誰でも出来る事じゃないよ。誰だって楽な方に向かうんだからさ」


「そうですが」


だがよく周り見よう俺。会長と立ち止まって対話しているだけでかなりの数の生徒がこちらを見ている。立ち止まって俺と会長の会話を聞き逃さないようにしている。

滅茶苦茶目立っている。


「会長、私はこれで失礼します」


「えぇ~、一緒に登校しようよ」


「嫌です。今ですら目立っているのにこれ以上は勘弁してください」


「まっ、今回はこれ位にしようか。遅れたら僕まで怒られるからね」


多分、何だかんだの理由を言えば会長なら許してくれるだろう。俺なら叱られるうえにキッチリと遅刻を取られる。相手が近藤先生だとしても、あの人はこういったことには厳しい。

会長が両手を叩くと、それだけで周りにいた生徒達にも意図が伝わったのか学園へと向かっていく。


「玄関が大混雑ですね。どうするのですか?」


「そこまで考えていなかったな。いやぁ、どうしようか」


肝心な所で抜けている人なのか。それともこれも狙ってやっているのか。どちらにせよあの大混雑に自分から突っ込む気がしない。時間は掛かるだろうが遅刻するまでの遅れにはならないだろう。結構ギリギリだと思うが。


「会長、お手柔らかに頼みます」


「君次第だよ」


額に手を当てて溜息を吐く。俺が会長の手に落ちるまで、この攻勢は続くということか。さて、どうしたものか。今回みたいな状況がこれから毎日続くのであれば朝から大変疲れる。

それは勘弁してほしい。精神的にキツイぞ。


朝にそんなことがあったのだから休み時間も気が気じゃなかった。いつあの会長が突入して来るのか分からないから、ずっと警戒していたのだが来なかった。俺が生徒会に入るというまで纏わりつくと思ったが杞憂だったのか。

それとも単に短い休憩時間じゃ無理だと思ったのか。まぁこの時間は絶対に来るだろうな。


「弁当持ってくるんだった」


「おっ、如月さんが学食なんて珍しいね」


「皆川さん。ちょっと無料券を貰ったので」


学食の入口に辿り着いたらクラスメイトと出会った。うん、その近くに会長が見えてなければ大変歓迎するような状況なんだけどね。大袈裟に溜息を吐いてみると視界から会長の姿が消えていた。

あの人は本当に何をしたいんだよ。


「どうかした?」


「いえ、あまり関わりたくない人が見えたので」


昼食位ゆっくりと食べたいものだ。取り敢えず、あちらの方から接触して来ない限り、俺からは絶対に近づかない。そして今日の放課後で生徒会の手伝いも終わる。流石に明日も休ませるとは考えられないからな。

今日を乗り切れば何とかなるかもしれない。根拠はないが、希望は持とう。


「如月さん、順番だよ」


「えっと、あったあった」


ふむ、オプションは選べないか。まぁ、メインが無料なだけでもありがたい。取り敢えず選んだものを押したら、両側の券売機に並んでいる人達が二度見してきた。これを選んだのがそんなに不思議だろうか。

というか後ろにいる皆川さんが滅茶苦茶笑いを堪えている。


「そんなに私がこれを選ぶのは変ですか?」


「だって、仮にもお嬢様がさぁ」


選んだのは牛丼と味噌汁のセット。これが無料であり、オプションで卵を選びたかったがそちらは断念。汁だく位なら許されるだろう。二日連続で肉が食えるのはありがたい。

食券を食堂のおばちゃんに渡し、汁だくをお願いしたら笑顔で了承してくれた。食堂ではまだ俺の顔は覚えられていないようだ。


「はいよ、おまちどう。しっかし顔に似合わないものを頼むね」


「顔は関係ないですよ。ただ食べたかっただけです」


無性に食べたくなるのだ、こういうものは。ジャンクフードも同じだが、ハンバーガーなどは付き合いで行く以外では絶対に立ち寄らないだろう。セットで500円は高い。

空いている席を探すとある一角が空いていた。今日はそんなに混んでいないのだろうか。


「席の確保、ありがとさん」


「私が座ると勝手に両隣は空きますからね」


こういう時は便利、とは言えないな。1か月以上も経っているのだから、化粧をしていない顔でも如月であると認識され始めている。だから同級生や上級生は避け始めてきている。

だけど俺にとってはどうでもいいことなんだよな。それは他人の評価なんだから。


「それにしても何で牛丼?」


「単に食べたかっただけです。理由なんてないですよ」


理由なんてない。本当に食欲に従っただけ。というわけで頂きます。汁が旨辛で肉とご飯に染み込んでいていいなぁ。口直しの味噌汁はワカメとネギで、インスタントじゃないのがOK。

そのまま会話もしないままに食べ続けて、終わってしまった。


「ご馳走様です」


「いや、私まだ半分も食べ終わってないんだけど」


どうも味わって、ゆっくりと食べることが出来ないんだよな。美味いからこそどんどん口の中に入っていく。あとはゆっくりと水でも飲みながら待つとしよう。


「でも最後にかっ込んだ瞬間は見物だったよ。周りの反応が」


食うのに集中していて全然見ていなかったな。改めて周りを見てみると一斉に目を逸らされた。何故に。


「驚いている人、唖然としている人と色々な反応が見れたよ。うちのクラスの連中は笑ってたけどさ」


牛丼ってそんな変かな。あっちこっちで食べられているのに俺が食べるとこの反応だ。やっぱりお嬢様としては食わないだろうな。周りが牛丼を食っている琴音の姿に驚いたのだろう。

ただクラスの連中。俺のことを理解しだしてきたな。


「相変らず、いい食いっぷりで美味しそうに食べるね」


「何の用ですか?会長」


「ぶっ!?」


このタイミングで話しかけてきたということは、昼食を取るだけの時間はくれたということだろう。ただ、まだ食べ終わっていない人が吹いているのだが。会長の出現で吹いたのか、俺の返答が冷たくて吹いたか。


「二階のテラスに行かないかい?」


「お断りします」


学食だと言うのに無駄に広いせいか二階席が設けられている。それがテラス。外を眺めることが出来るし、今の時期だと風が入ってきて気持ちいいと評判なのだが、そこに集まる連中が問題なのだ。

学園での有名人が目白押し。即ち、去年琴音が無作法をした連中がいっぱいだと言う事。


「即答か」


「当たり前です。私が行けば絶対に騒ぎになりますよ」


「ならない方が不思議だね。幾ら僕が説得したとしてもね」


そのまま席に座る会長に迷惑そうな顔を向ける。正直迷惑なんですけどね。隣の皆川さんなんて全く食が進んでいない。学園での一番の有名人がいきなり隣の席に座ればそりゃ驚くわな。


「隣、失礼しますね」


「同じく」


両隣を木下先輩と斉藤さんに固められた。絶対に逃がす気がないですねぇ。というかこの二人が会長の味方をするとなると俺にとっての味方が誰もいないのだが。皆川さんに助けてとアイコンタクトを送ると全力で首を横に振られた。

ですよねー。ごめんよ、巻き込んじゃって。


「本当に私が生徒会の臨時を引き受けるまで、これを続けるのですか?」


「そう思ったんだけどさ。予想外に人目を引きすぎて当初の目的は達成したかもね。ほら、生徒会と如月琴音が和解したと」


「どうせ、そちらの方でもそういった噂を流したのでしょう」


「何のことやら」


情報操作。俺も詳しく噂などを集める人ではないのだが、この話がスムーズに広がったと理解した時には遅いのだろう。学園でやる意味が全く理解できないのだが、将来に向けての予行演習だろうか。

俺を巻き込まないで欲しい。


「木下先輩と斉藤さんはいいんですか?私が生徒会に臨時とはいえ入ること」


「私達二人は賛成です。昨日一日で印象は変わりましたので。ねぇ、小梢さん」


「昨日の姿を見たら、去年までの印象がガラガラと崩れました」


「何をしたのよ、如月さん」


皆川さんから突っ込まれた。いや、昨日といっても一緒に仕事して、一緒に晩御飯食べただけなんだが。あれ、学食で毎日食べていたら印象変えるの楽なんじゃないか。

でも、それもどうなんだろうなぁ。


「まっ、放課後に返事を聞くからさ」


「もう少し時間を与えるとかは考えないのですか」


「だって君のことだから考えたところで結論は変わらないでしょ」


元から入る気サラサラないからな。何を言われようと変わらないのだが、今の状況が続くようなら考えないといけないな。俺にとっても迷惑だし、周りの人達にも迷惑が掛かってしまっている。

正直、会長の影響力を甘く見ていた。これなら条件付きで認めるしかないかな。


「如何に君の心を折るのかが僕の勝負なんだから」


「何処の悪役の台詞ですか」


すでに折れてますけどね。大体こんなことに時間を掛けるのも嫌だし、これ以上注目を集めるのも嫌だ。目立つために印象を変えているわけでもないのだから。これでまた悪影響が出てくるのであれば勘弁してほしい。

会長の言葉に俺が従う。それが一番いい終わらせ方なんだろうが。


「私が負けを表明すれば簡単に終わりそうですが、何か嫌ですね」


「プライドの問題だからね。でも如月さんがそういうのに拘るとは思わなかったよ」


「いえ、会長に下るのが気に食わないだけです」


「……遠慮が無くなってきたね」


ここまでされて今更遠慮も何もないと思うのだが。むしろ素では散々に思っているとは言えないしな。手に入れるために手段を択ばないと思うし、いらんことを言って被害を増やすのは止めておこう。

あの学園長は例外だが。


「それでは放課後にまた。皆川さん、そろそろ行きましょう」


「何か、私にとって濃い昼休みだった」


「それは本当に申し訳ありませんでした」


本当にただ巻き込まれただけだからな、この人は。運がなかったと思ってくれ。

俺だって被害者なのだから。

何で開かないのかなぁと疑問に思ったら休診日の文字でしたからねぇ。

そして近くに眼科がなかったので帰ってきました。

本日もう一度行ってきます。

更新はストックが切れたので2~3日位の感覚になりそうです。

先生の話次第になりますけどね……

追記:流石に投稿を自粛します。結果は月曜に受診して来るので、それ次第ですね。作品よりも筆者の展開がおかしいです。

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[一言] お話も面白いんだけど筆者の近況報告も別の意味でドキドキする
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