《当日》 金曜 正午 真昼の惑星
君をペアであの惑星にご招待しよう
それは雲一つない秋の日の昼休みだった。学校の校庭から見える東の青空に突然巨大な惑星が現われていた。惑星は巨大な地球のような姿で忽然と真昼の空に浮かんでいた。
昼休みを謳歌中だった地上の生徒や教師たちはその異常な光景に気づくと瞬く間に我を忘れ、飛び出した校庭や校舎の窓から茫然と顔や身をのりだしてその惑星を見上げていた。
それはまるで時間が止まったような一瞬だった。
誰も何も口にせずにただ茫然と呆気にとられたように惑星を見上げている。風も吹かず、ただ世界のすべてが静止したような瞬間だった。
その静寂を打ち破ったのは誰かの声だった。その声がきっかけとなって,世界の時が再び動き出した。ささやかな静寂が一気に騒然な空気へと切り替わった瞬間だった。
秋の風が吹き始めた。誰もが叫び始め空に浮かぶ惑星を指差し、隣り合った生徒や教師たちは互いに何度も顔を見合わせながら必死にこの異常な事態を現実のことなのかと確認しあっている。
しかし、それは単にこの学び舎の中だけのことではなく、全世界が同じような状態に陥っていた。
一体誰が、何の目的で……
新しく現われた謎の巨大な惑星は、一体この世界に何をもたらすのか。
今はまだこの世界でただの二人しか知らなかった。