表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンピール・エピオルニス  作者: 宗園やや
ソレイユ・キャロル
96/104

24

悩んだ挙句、帰宅と同時にパソコンの電源を入れる創流。

教会とか何とかの話を素人が考えても結論は出ない。

だから先祖の人に直接相談してみようと思ったのだ。

ゲームが立ち上がるまでの間を利用して、バイトの時に貰ったジャージに着替える創流。

最近はこればっかり着ている。

今まではダサイ運動着だと思って敬遠していたが、一度着てみるとその快適さがクセになった。

部屋着としては最強ではないだろうか。

高校を卒業したら、今使っている学校のジャージも普段着にするだろう。

とかやっている内にゲームが立ち上がったので、早速ワールド全体サーチを利用して先祖の人を探す。

確か、ノトルニスって名前だったな。

居た。

高レベル向けダンジョンに挑戦している様だ。

十人以上の人とパーティーを組んで遊んでいるっぽい。

大勢の人と連携して強敵と戦っているので、今話し掛けたらチャットログが流れてしまうかも知れないな。

じゃ、チャットではなくてメッセージで話し掛けるか。

メッセージとは、ゲーム内限定のメールみたいな物だ。

これなら手が開いた時に読めるだろう。

一分ほど待ってみても返事が来ないので、やっぱり忙しいらしい。

夕飯の準備でもしながら待ってみよう。

そして十五分ほど経つと、メッセージ到着を知らせる電子音が鳴った。

やっと返事が来たか。

野菜炒めを作っていた手を止め、メッセージを開く。


「あの子の事ならメッセージで、ゲームの事ならチャットで『あ』とだけ返事をしてください」


メッセージに『あ』と書いて返信する。

今度はすぐにメッセージでの返信が来た。


「貴方は敵に追跡されている可能性が有ります。

このまま電子的な会話を続けると、こちらの位置を逆探知される可能性が有ります。

なので、明日、リアルで接触します。

合い言葉は『強さは?』です。返答は分かりますね?その時に答えてください」


ネトゲのチャットで逆探知なんか出来るんだろうか。

どちらにせよ、コンピューターの仕組みに疎い創流は相手の言う通りにするしかない。

ん?待てよ?

リアルで接触する?

三百年も生きている人が会いに来るのか?

うわ、緊張する!

人間を憎んでるダンピール怖い!

機嫌を損ねたら噛み付かれそう!

キーボードから手を離し、でかい身体を強張らせて怯える創流。

でもまぁ、こっちはクウェイルの友人だし、問答無用で攻撃されたりはしないだろう。

一区切りしたので、ゲームを点けっ放しにして夕飯を食べる。

その数分後、クウェイルがインして来た。


「あれ?創流がもう居る。今日は早いね」


時計を見ると、19時半。

約束が無い時はこれくらいの時間にインしてるのか。


「ちょっと気になる事が有ってね。でも動けるのはいつもの時間だから、ちょっと待っててね」


「分かった。私も合成とかするから、また後でね」


20時を過ぎても茎宮先輩はインして来なかったので、適当に野良の募集に乗っかる事にした。

先祖の人がやる様な廃人コンテンツは無理なので、身の丈に有った物で遊ぶ。

久しぶりの多人数戦闘で緊張したが、特に問題無くクリア出来た。

それはとても楽しかったのだが、何も知らずにはしゃいでいるクウェイルを見ていたら、少しだけ心が痛んだ。

創流と先祖の人はゲーム内で会話をした事が有る、と言う部分は打ち明けておいた方が良い気がする。

チャンスが有れば、それも明日相談してみるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ