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外はすっかり雪景色になった。
冬を越す準備に必要なお金を探して家中をひっくり返したエピオルは、母のベッドの下に隠されていた金庫を見付けた。
その中には、大量の宝石と、不思議な模様のペンダントが入っていた。
これがエーレンの娘だと言う事を証明するペンダントか。
肌身離さず大切にしよう。
後は春を待つだけになったので、エピオルは余裕を持って家事が出来る様になった。
「来たよ、エピオル」
「あ、ミンナ。いらっしゃい」
ひとりぼっちのお昼御飯が済むと、いつも通りの時間にミンナが遊びに来た。
リビングで本を読み始めるミンナ。
「そう言えば、ジンメル達はどうしてる?一度も来ないけど」
「エピオルが忙しそうなのと、不用意に来ると家事を手伝えって言われるかもってので遠慮してるみたい」
「あはは、そっか。ま、元気ならそれで良いのよ」
ふたつのカップにお茶を淹れ終えたエピオルは、テーブルの上に重ねて置いていた紙の束を手にしてソファーに座った。
「ねぇ、エピオル。それ何?」
「これ?これはお母さんがダンピールに就いて調べた事を纏めた物よ。昨日見付けたの。外国語の本を読んだのが無駄になっちゃったよ、もう」
「だんぴーる、って何?」
「まだ読んでないから分かんない。これから読む」
「そう」
そして二人は読書に集中した。




