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翌日の朝、エピオルは自力で早起きをした。
そして庭の自家菜園をほじくってミミズを捕まえた。
ノトルも同じくらいの時間に起き、キッチンに籠っている。
「おはようございますー。来たよー、エピオルー!」
「あ、ミンナが来た。お母さん行くよ!」
菜園の近くに有る裏口から家の中に戻ったエピオルが母を急かす。
「待って。替えの手袋をポケットに」
「入れた。じゃ、先に出てるよ」
大きな肩掛けバッグを持とうとしているノトルを残し、ダッシュで表に飛び出すエピオル。
「ミンナ、おはよー!あ、ジンメルもおはよー!」
手を振るエピオルに応えて手を振り返すミンナとジンメル。
二人は釣り竿とバケツと弁当を持っている。
エピオルもミミズ入りの小さいバケツと二本の釣り竿を持ち、日傘を差した。
魚を入れるバケツはノトルが持って行く。
「今日は麦わら帽子も被ってるんだね」
「うん。外に出っ放しだからね。ほら、手袋も。もう暑い暑い。それより、ミンナの竿はちゃんとしてる?大丈夫?」
「大丈夫、だと思う。お父さんにやって貰ったから」
「見せてみて」
エピオルがミンナの竿をチェックしていると、やっとノトルが外に出て来た。
「お待たせ。じゃ、行きましょうか」




