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「ミンナとエピオル、来ないね」
村の広場でクルシィウスが呟いた。
泣き虫ミンナはどうでも良いが、エピオルが居ないのはつまらない。
少々口数が多い所が面倒臭い女の子だが、いざという時は頼りになるし。
「しょーがねぇ。俺達だけで行くか」
地べたに座っていたナトルプが立ち上がる。
立ったまま銀髪を探していたクルシィウスは、待ち人を諦めて頷く。
「そうだね。今日は何処に行く?」
「北の山だ!」
無意味に偉そうに山を指差すナトルプ。
クルシィウスは行く気になっているが、ジンメルは面倒臭そうに広場の植え木に手を突いた。
「……また、危険な所へ」
「うるさいぞ、ジンメル!文句が有るなら来なきゃ良いだろ!」
「……そうだね」
友人達に背を向けたジンメルは、ゆっくりと歩いて広場を後にした。




