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「よし。全員揃ったな」
五人の中で一番身体の横幅が大きい男の子、ナトルプが偉そうに友人達を見渡した。
「今日は何をするの?」
金髪おさげのミンナが聞くと、痩せて背の高い男の子、クルシィウスが応える。
「東の森を探索するんだ」
「えー!?ダメだよ、東の森は。危ないから行っちゃいけないって言われてるでしょー!」
ストレートの銀髪が朝日を反射しているエピオルが咎めるが、男の子達の行く気は消えない。
「じゃーエピオルは帰れよ。ミンナはどうするんだ?」
ナトルプに話を振られたミンナは、エピオルの手を握ってから言う。
「私はエピオルが正しいと思う」
「……エピオルのお母さんは、普段が優しいだけに怒ると怖いからね」
無口な男の子、ジンメルが珍しく喋った。
頷くエピオル。
「お母さんに叱られるのが嫌ってのも有るけど、それより嫌なのが、森に入って迷子になる事なのよ。お昼ご飯に間に合わなくなっちゃう」
「俺は何度も森に行っているから迷子になんかならないんだよ。じゃ、出発!」
ナトルプとクルシィウスが歩き出し、その後をジンメルが続く。
毎度の事ながら、勝手に物事を決める子だ。
「どうする?エピオル」
「うーん。……しょうがないなぁ。心配だから私達も行こうか」
「……しょうがないね」
残された女の子二人も森に向かった。
大人にやるなと言われている事に挑戦するのは、正直言ってワクワクするから。




