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朝日が魔界を照らし始めると、エーレンの城内も明るくなる。
バンパイヤの城なのに日当たりが良い事が不思議だったが、魔界の日光は彼の弱点ではないらしい。
夜型なのは、ただ単にそう言う種族だからの様だ。
「さて、と。あの子達はまだ寝ているかな」
静かに自室を覗いてみるノトル。
すると、すでに身支度を終えていた長女と目が合った。
「おはよう。良く眠れた?」
笑顔と共にドアを全開にすると、部屋の中に朝日が差し込んだ。
それを受け、長女も笑顔になる。
「おはようございます、ノトルニスさん。はい、お陰様で」
ベッドの中でまどろんでいた三女が、話し声に反応して寝癖の激しいオカッパ頭を起こした。
「あ、おはようございます、ノトルニスさん。申し訳ありません。貴女のベッドを占領してしまって」
「良いのよ、気にしないで。大丈夫だから」
「目が赤いけど、大丈夫ですか?もしかすると、私達のせいで眠れなかったとか?」
床で寝転んだままの次女が、自分の腕を枕にしながらノトルを心配する。
四姉妹をどう扱うかの相談で徹夜をしたんだから、彼女達のせいではある。
だがそれを伝えても意味が無いので、ノトルは大雑把に誤魔化す。
「えっと、まぁ、ね。それより朝御飯にしましょう。ダイニングルームに案内するから、私に付いて来て」
「はい。ほら!エウリピデス!起きろー!!」
「うえぇぇぇ~~!!」
勢いを付けて立ち上がった次女が毛布を捲ると、四女がベッドから転げ落ちた。




