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26. ER XX掘り (閲覧注意)

 今回はシモネタ(エッチネタじゃなくて、おシモの事)です。苦手な方はご遠慮ください。


 誰でも彼でも来ちゃうから、田舎のERは忙しいっっ。

 特に週末となると町にあるクリニックが閉まっちゃうせいか、歯痛からただの軽症のジンマシンの患者までやってくる。

 そう言う患者さんに限って、大した事ないのに待ち時間が長いってぶ〜ぶ〜文句を言うんだよねぇ・・・・はぁっ。

 あたしは溜め息を吐きながらも、たった今患者さんが出て行って部屋のシーツを剥がして消毒のためにスプレーして、それからタオルで拭いて乾燥してからまた新しいシーツをかける。

 それにかかる時間は多分3分くらい。なのに、待てない患者はいるもので・・・・

 きれいになった部屋に案内していると、なんでこんなに待ち時間が長いんだ、と文句を言ってくる。

 そんな事言われてもあたしじゃどうしようもないって判んないんだろうか・・・?

 適当に文句をいなしながら案内して、とっとと部屋を出る。

 あとはナースのお仕事だからね。(笑)

 ついさっき案内したのは6ヶ月の赤ちゃん。お母さんの腕の中でぐっすり寝ているなぁって思うんだけど、お母さん曰く熱があるらしい。

 なのでさっきナースのリンダと一緒にお尻で熱を測ったら、38度丁度。これって、6ヶ月の赤ちゃんには微熱なんだけど・・・・思わずリンダと顔を見合わせてから、赤ちゃんの身繕いをしてやるけど、お尻に体温計を差し込まれた事で、赤ちゃんは顔を真っ赤にして泣いている。

 多分そのせいで少し熱が上がってると思うな・・・・

 「チカ、処置室4に行ってくれる?」

 「はぁい。でも、なんで?」

 「レントゲン室に連れて行ってもらいたいんだ」

 「判りました〜」

 ピンクの紙を貰って、処置室4へと行く。このピンクの紙って言うのは、患者さんがERから来た事を示すための目印みたいなもの。そこには患者さんが自分で立てるかどうか、意識はハッキリしているかどうか、きつい薬を処方されているかどうか、そんな事が書かれている。それを目安にレントゲン室やCT室での取り扱いが決まるらしい。

 らしいって言うのはあたしはそこまで付き合わないから。基本、ERでは患者をそう言った部屋までは連れて行くけど、そこからはそれぞれの技師さんたちが動く。そして終わったらまた患者さんをERに連れてきてくれる事になっているから、専門外の事はよく判らないんだよね〜。

 でもたまに忙しい時や人手が足りない時にヘルプを要請される。その時は言われるままに手助けをするだけだから、やっぱりよく判んない。

 「ミスター・オットー、これからレントゲンを撮りに行きますね」

 「レントゲン?」

 「ドクターがレントゲンを撮るようにって言ってました」

 「・・・判った」

 なんか不服そうだけど、とりあえず合意してくれたようなので、このままストレッチャーで連れて行く。

 このストレッチャー、古い機種になると真っ直ぐ進まない。なんとなく斜めになったまま前に進むんだよね。まぁ、ゆっくり行くから壁にぶつけるなんて事はない。

 レントゲン室に行くまでは患者さんと世間話をして気を紛らわせるのも仕事だと思っている。

 そうやってレントゲン室に連れて行って、そのままあたしはまたERに戻る。

 そんな事の繰り返し。とにかく雑用が山積みな仕事先なんだよね。

 ミスター・オットーをレントゲン室に連れて行って戻ってくると、ボブがシーツ交換をしてくれていた。

 「ありがと、ボブ」

 「気にすんなって。患者が待ってるからな」

 「今日は忙しいね〜」

 「雨が結構降ってんだけどなぁ。俺だったら外に行きたくないよ」

 雨の週末。確かにあたしも休みだったら家でゴロゴロしたいかも。

 「多分雨で行くとこないからじゃないの?」

 「はははっ、かもな」

 ふと思った事を口にしたら、意外にも受けてしまった。

 だけどそう言ってしまうほど、雨の日って意外と患者さんが多いんだよね。

 ボブからシーツを受け取って袋に入れて、それをキャリーに突っ込む。あとでまとめてダストシュートから洗濯室に落とす事になっている。

 「こう患者さんがいたら部屋に備品を持っていけないね」

 「まぁ、そりゃ仕方ないな。いざとなったら夜勤の連中に頼めば良いさ」

 「そうだね〜。まぁ、患者さんの入れ替えの時にタイミングがあったらやるけどね」

 とはいえ、今備品を積んでいるカートが近くにないから、この処置室の備品ストックもあとでするしかない。

 そうやってやっとシーツの交換を終えたと同時にミッシェルが患者を案内してきた。

 あたしはボブと顔を見合わせてから、次の部屋へと急いだ。




 あたしは今、処置室の入り口で固まっている。

 目の前の光景は・・・口にしたくないけど、でも呼ばれたからには中に入って手助けをしなくちゃいけない。

 でも、どうしろって言うんだよ! って言うのが本音です。

 ほんの10分ほど前に、処置室4のナースコールが鳴った。

 それで、丁度手が空いていたあたしがすぐに来たんだけど・・・・・・

 ドアをノックして返事を待って中に入ると、こちらにお尻を向けた患者さんが横向きに丸くなっているのが見えた。

 そして白いシーツの上に点々と落ちている物体。

 うんうんと唸っている患者さんの事も心配だけど、それよりもシーツに落ちている物体に目を引かれてしまったのは仕方ないと思う、うん。

 「大丈夫ですか?」

 「大丈夫じゃないよ、苦しいんだ。ドクターを呼んでくれ」

 「あっ、はい」

 あたしはシーツに散らばっているソレを見ながら声を掛ける。

 それからすぐに処置室を出てナースステーションへと向かった。

 「ねぇ、処置室4の患者さんがドクターを呼べって言ってるんだけど。苦しいんだって」

 「ぁあ? 苦しいって言われてもなぁ」

 ジョナサンが頭を掻きながら困ったような顔をする。

 「それで、さ・・・・シーツの上に、たくさん散らばっていたんだけど、あれって・・・」

 「大麦だ」

 「・・・だよねぇ・・・・」

 やっぱり見間違いじゃないらしい。

 「でも、なんで?」

 「酒、かっくらってたら腹が減ったんだと。それでなんか食べるもんないかってさがしたら大麦しかなかったらしい」

 「生の大麦?」

 「ああ、料理の仕方を知らなかったから、そのまま食ったら、腹の中で水を吸って膨張したんだよ。それが便秘と腹痛はらいたの原因だ」

 そう言いながら、ジョナサンはついさっき撮ったばっかりのレントゲンを見せてくれる。

 胃から腸に掛けて本当に膨張して真っ白になってしまった部分が映っているのが見えて、あたしは言葉が出ない。 

 いくらお腹が減ってたからって、食べて良いものと悪いものがあるって知らないんだろうか?

 「じゃあ、ジョナサン、浣腸するの?」

 「できるかよ。あんだけ詰まっているんだ。浣腸の液がまず入らない」

 「でもさ、出さなかったら困るよねぇ」

 「さっきチカがナースコールで行く前に誘発剤を飲ませたんだ。だから多分そのせいで苦しいんだと思う」

 「あ〜、あれ、ね」

 飲んだ事ないけど、知ってる。味が酷いって言う話を聞いた。匂いも変だった記憶がある。

 結構すぐに効いてきて、もよおしてくるんだっていう話も聞いている。

 そっか〜、あれを飲んだのか。そりゃお腹が痛くて苦しくなったって言うのも判る。

 けど、あたしに何て言えばいいって言うんだ?

 このまま無視するわけにはいかないんだよ。ドクターを呼べと言われたあたしは、なんらかの返事を伝えに行かなくちゃいけない。

 でもジョナサンが言った事を伝えたくらいじゃ納得しないだろうなって事も判っている。

 う〜んと唸ってから、渋々患者さんの許へ行ったところで、先ほどの冒頭に戻る。

 ノックをして処置室に入ったあたしの目に飛び込んできたのは、自力でXXから麦を掘り出している患者さんの背中から足に掛けての部分。(どこかなんて書かなくても判るよね)

 せめてシーツでもかぶってやってくれたらいいのに、その部分もろ丸出しだから、ドアを開けたあたしの目に見たくもないものが飛び込んできた。

 この処置室が一番奥で良かったと本気で思ったよ。

 だって、ドアを半分開けたところで固まってしまったから、他の人が前を通ると丸見えだもん。

 多分、時間にして10秒くらいだと思う。

 あたしははっと我に返って、そのまま何も言わずにドアを閉めた。

 声を掛けたものの返事がなかったから、多分あたしが部屋に戻った事に気づいてないんだと思う。

 と決めつけて、そのまままたナースステーションへと歩いて行く。

 「ジョナサ〜ンッッ」

 「どうしたんだよ」

 ふえ〜っと半泣き状態のあたしを見て驚いた顔をしたものの、あたしが何を見たかを訴えると爆笑。ついでにジョナサンの前にいて他の患者の話をしていたドクター・グリフィンまで吹き出している。

 「災難だったなぁ」

 「あんなもの、お金貰っても見たくないですよぉ」

 どうするんですか、あれ! と訴えたものの、ドクターも困った顔をしている。

 確かに、どうしようもないよねえ。

 「とりあえず、アレが効いてなんとか体から出す事ができればいいんだよ。それまではこっちは待つしかないだろう?」

 「ですよねぇ・・・・でも、どのくらいかかるんですか、ソレ」

 「判らん。大麦の量次第だよな」

 それって凄く時間がかかるよ、と先ほど見せてもらったレントゲンを思い出しながら思ったけど、そんな事ジョナサンやドクターはあたしよりよく判っているだろうから言わない。

 「もしあの人がナースコール押したら、今度はジョナサンが行ってくださいねっっ」

 「チカの仕事だろう?」

 「そっ、そうだけどっ。でももう見たくないもんっっ」

 にやにやしているジョナサンをじろりと睨みつけて、あたしはフンッと鼻を鳴らす。

 「判った判った・・・とりあえず次は俺な。それから合間にドクター・グリフィンに行ってもらうよ」

 「お願いしま〜す」

 早くなんとかしてくれるといいなぁ。

 










 そう思ったあたしの願いは、それから2時間後に叶うのだった。








 もちろん患者さんが帰ったあとの部屋の片付け&シーツ交換もあった訳で・・・・

 シーツいっぱいに散らばっていたソレらは・・・・見なかった事にしてシーツに落ちたまんま丸めて洗濯室行きのキャリーへ突っ込みました。

 ランドリー担当の人、ごめんねっっ。





 お久しぶりですっ。

 バタバタしているうちに気がつくと師走です。

 せめて今年中にもう1話、と思って慌ててアップしています。

 気がつくとこれが実質25話。よくネタがつきないなぁなんて思いつつ書かせてもらいました〜。

 これからもよろしくお願いしますね〜。

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