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哲学のバトン  作者: ゆう
西洋編
2/16

プラトン 〜2500年燃え続ける復讐の炎〜

ソクラテスが毒杯を飲み干した、あの日。

法廷の外で、拳を握りしめて震えてた若者がいた。



その男の名はプラトン。


誰よりもソクラテスを敬愛し、師事した男だった。


ソクラテスが死んだとき、同時に彼の中でも何かが死んだ。


そして同時に、何かが永遠に燃え始めた。

彼の手には、ソクラテスのバトンが握られていた。


なぜ俺たちは「完璧な勇気」を知っている?


戦場で震えて逃げた兵士も、


裏切られた恋人に捨てられた人間も、


誰も完璧な勇気を見たことはない。


それでも、魂の奥底で「これが本当の勇気だ」とわかる瞬間がある。



プラトンは叫んだ。


「それはこの世界にないからだ!完璧なものは、別の場所にある!」


その場所にだけ、本当の勇気がある。

本当の美がある。

本当の正義がある。


彼はその場所に名前つけた。


イデア


と。



僕たちが生きてるこの世界は、全部偽物。

イデアの、歪んだ影。

粗悪なコピー。

下手くそな模倣品。


だからプラトンは許せなかった。

ソクラテスから受け取ったバトンを強く握りしめた。


「民主主義ごときに、ソクラテス先生を殺す資格はない」


師は「民」という名の群衆に殺された。


真実などどうでもいいと叫ぶ、知恵のない多数に殺された。



だから彼は吠えた。


「国家を動かすのは、無知な民意じゃない。

イデアを直視できる者だけが、王になるべきだ」



これが哲学王だ。


これは理想じゃない。

復讐だ。


ソクラテス先生を殺したこの世界を、

焼き尽くし、

新しい国家を立てる。


それがプラトンの生涯の戦いだった。



だから彼は学校を建てた。


「アカデメイア」と名付けた、魂の闘技場を。


後に大学の起源となるアカデメイアの門の上に、彼はこう刻んだ。


「幾何学を知らぬ者、この門をくぐるな」


冗談じゃない。


中途半端な覚悟の者は来るな。


20年、30年、死ぬほど鍛える。


数学、弁証法、天文学──


すべてはイデアを見据える目を得るため。


ここから哲学王を生む。


必ず生む。

それがソクラテス先生への弔いだ。



そしてついに。


一人の怪物が現れた。


プラトンが「こいつこそ次代の王だ」と認めた、唯一の弟子。



だがその男は、静かにこう言った。



「先生、イデアってどこにあるんですか?

見えないし、触れないものが、どうして世界を説明できるんですか?」


万学の祖、アリストテレス──


その人だった。

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