ソクラテス 〜哲学界のロックスター〜
一度は聞いたことがあるだろう。
「ソクラテスは死刑になった」。
こんな顛末だ。
ソクラテスの罪状は、
「若者を腐敗させたこと」。そして「神の冒涜」。
でも本当の理由はソクラテスが30年続けた“公開処刑”だ。
毎朝市場に立って、通りすがりの大物をいきなり捕まえる。
バカのフリをして、
「正義って言ったけど、それなんですか?」
「勇気ってなに?金で買えるの?」
「善ってなに?おいしいの?」
相手が詰まるとニヤリと笑って追い打ち。
「知らないのに今まで知ったフリして話してたんですね笑」
相手が大物なほど、顔を真っ赤にして逃げ帰る。
ソクラテスは楽しかった。
それ以上に真剣だった。
「知らないなら知ったフリしないで、一緒に考えようぜ!」
と、人々の魂を生き返らせようとする信念があったからだ。
しかしその結果、有名な政治家も将軍も詩人も、ことごとく論破されて恥をかかされた。
そんな毎日。
アテナイ中に、
「ソクラテスに絡まれたら終わり」
という都市伝説ができた。
権力者にとって、70歳の毒舌ジジイは歩く爆弾だった。
そうして彼は裁判にかけられた。
伝説の裁判・量刑シーン
原告「死刑を求めます」(本音:罰金で手を打てばいいんだよ、老人の命なんか取りたくない)
普通の人はここで「罰金30ミナでどうでしょう……」って頭を下げる。
でもソクラテスは大声で言った。
「俺の刑罰はプリタネイオン(迎賓館)で一生タダ飯だ!」
→ 陪審員ブチギレ
→ 死刑票が前より80票も増える
→ 確定
完全にわざとだった。
減刑などいらぬ。死刑にしろ。
そう陪審員を煽り散らしたのだ。
逃げられたのに逃げなかった。
監獄の鍵は開いていた。
ソクラテスを逃し、彼の晩節を汚させる意図だ。
弟子たちは言った。
「今夜すぐ逃げましょう!」
「ソクラテス先生!」
でも彼は笑って断った。
「法を破ってまで生きながらえるのは、正しくない」
70歳。もう十分生きた。死ぬのも悪くない。それよりも、自分の信念を汚す方がよっぽど怖いさ。
70歳のおじいちゃんが、500人の陪審員を相手に最後まで煽り倒し、逃げようと思えば逃げられたのに、「悪法も法なり」と自ら毒杯を選んでニヤッと笑って逝った。
なんというロックな死。
なぜソクラテスは自ら死を選んだのか。
理由はシンプルだ。
彼には「これだけは死んでも絶対に曲げない」という一文──
「魂をよくすることが最優先」
これがあったから。
ソクラテスは死ぬ間際、問いを残した。
「お前の、『一生を通して守り抜く』その一文はなんだ?それは死より勝るか?」
胸を張って「勝る」と答えたとき、天から声がする。
ようこそ、現代のソクラテス。
「そのとき」が来たら、毒杯で乾杯しよう。
ソクラテスが毒杯を飲み干した、その日。
法廷の外で、拳を握りしめて震えてた若者がいた。
誰よりもソクラテスを敬愛し、師事した男だった。
ソクラテスが死んだとき、同時に彼の中でも何かが死んだ。
そして同時に、何かが永遠に燃え始めた。
彼の名はプラトン。
復讐の炎とともに、ソクラテスのバトンを受け取った男。




