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哲学のバトン  作者: ゆう
西洋編
1/16

ソクラテス 〜哲学界のロックスター〜

一度は聞いたことがあるだろう。

「ソクラテスは死刑になった」。


こんな顛末だ。


ソクラテスの罪状は、

「若者を腐敗させたこと」。そして「神の冒涜」。

でも本当の理由はソクラテスが30年続けた“公開処刑”だ。


毎朝市場に立って、通りすがりの大物をいきなり捕まえる。


バカのフリをして、


「正義って言ったけど、それなんですか?」

「勇気ってなに?金で買えるの?」

「善ってなに?おいしいの?」


相手が詰まるとニヤリと笑って追い打ち。


「知らないのに今まで知ったフリして話してたんですね笑」


相手が大物なほど、顔を真っ赤にして逃げ帰る。


ソクラテスは楽しかった。

それ以上に真剣だった。


「知らないなら知ったフリしないで、一緒に考えようぜ!」

と、人々の魂を生き返らせようとする信念があったからだ。


しかしその結果、有名な政治家も将軍も詩人も、ことごとく論破されて恥をかかされた。


そんな毎日。


アテナイ中に、


「ソクラテスに絡まれたら終わり」

という都市伝説ができた。


権力者にとって、70歳の毒舌ジジイは歩く爆弾だった。


そうして彼は裁判にかけられた。


伝説の裁判・量刑シーン

原告「死刑を求めます」(本音:罰金で手を打てばいいんだよ、老人の命なんか取りたくない)

普通の人はここで「罰金30ミナでどうでしょう……」って頭を下げる。

でもソクラテスは大声で言った。


「俺の刑罰はプリタネイオン(迎賓館)で一生タダ飯だ!」

→ 陪審員ブチギレ

→ 死刑票が前より80票も増える

→ 確定


完全にわざとだった。

減刑などいらぬ。死刑にしろ。

そう陪審員を煽り散らしたのだ。


逃げられたのに逃げなかった。

監獄の鍵は開いていた。

ソクラテスを逃し、彼の晩節を汚させる意図だ。


弟子たちは言った。

「今夜すぐ逃げましょう!」

「ソクラテス先生!」

でも彼は笑って断った。


「法を破ってまで生きながらえるのは、正しくない」

70歳。もう十分生きた。死ぬのも悪くない。それよりも、自分の信念を汚す方がよっぽど怖いさ。


70歳のおじいちゃんが、500人の陪審員を相手に最後まで煽り倒し、逃げようと思えば逃げられたのに、「悪法も法なり」と自ら毒杯を選んでニヤッと笑って逝った。


なんというロックな死。


なぜソクラテスは自ら死を選んだのか。


理由はシンプルだ。

彼には「これだけは死んでも絶対に曲げない」という一文──


「魂をよくすることが最優先」

これがあったから。


ソクラテスは死ぬ間際、問いを残した。


「お前の、『一生を通して守り抜く』その一文はなんだ?それは死より勝るか?」


胸を張って「勝る」と答えたとき、天から声がする。


ようこそ、現代のソクラテス。

「そのとき」が来たら、毒杯で乾杯しよう。








ソクラテスが毒杯を飲み干した、その日。

法廷の外で、拳を握りしめて震えてた若者がいた。


誰よりもソクラテスを敬愛し、師事した男だった。


ソクラテスが死んだとき、同時に彼の中でも何かが死んだ。


そして同時に、何かが永遠に燃え始めた。


彼の名はプラトン。



復讐の炎とともに、ソクラテスのバトンを受け取った男。


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