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序章
春風が俺の髪を靡く。
桜の花びらが散っていく。
またこの季節がやってきた。
切ない気持ちを胸に今、俺は歩み始めた。
俺とキミが出会ったのはちょうど一年前、去年のことだった。
キミは、高校へと続く坂道の手前でただ立ちすくんでいた。
「学校、行かないのか?」
これがキミにかけた俺からの最初の言葉だった。
しかしキミは、その言葉に反応せずにうつ向いていた。
やっと顔を上げるとキミは呟いた
「・・・・・・・れ」
刹那、強い風が吹き桜の樹たちが踊りだした
「いま・・・・・・なんて・・・・・?」
自然と聞きなおしていた。
キミは再び呟いた。
「走れ」
確かにキミはそう言った。
直感的にこの坂を走るのかと思っていた。
しかしキミはその思いとは裏腹にこの坂道を一歩一歩、歩み始めた
俺は、そのあとを追っていた。
いや、追っていたというよりは、引き付けられていた気がした。
これから先は、はっきりいって読まない方がいいです。それでもいいのなら、どうぞ悲しみを味わってください。