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双子の新米冒険者

俺は宿屋に帰る前にギルドに向かい、ダンジョン攻略の進捗の報告と素材の買い取りに来た。


「ユウトさん、もう2層を突破されたんですか!?

凄い早いですね...2層のゴブリンソードマンとゴブリンキャスターは連携が強くてパーティを組んでいる方も結構苦戦するんですよ!」


「あはは、めっちゃ頑張りました。流石に疲れたので今日はこのまますぐに寝ます。」


報告早々お姉さんに驚かれた

まあそりゃそうか、お姉さんの前では笑っていられるけど戦闘中は余裕なんてなかったし

疲労感で気を抜くと寝てしまいそうだ。


その後俺は回収した素材を納品し金貨を1枚を手に入れ

宿屋に帰ってご飯も食べずにそのまま入眠した。



翌日


今日はダンジョン攻略はおやすみにしてギルドの依頼をこなす日にした。

薬草採取とゴブリンの討伐依頼を受け、難なくこなした俺は依頼報告の為にギルドに向かった。


「はい、2つとも依頼完了です。お疲れ様でした。」


そう言うお姉さんはなにやら元気が無さそうだ。


「元気無さそうですけどなにかあったんですか?」

「あ、顔に出てましたか、すみません。実はですね、ユウトさんの前に来られた新人の冒険者の方が未だに戻られないんです。」

「その人も森に行かれたんですか?」

「はい、2人でパーティを組んでいる方で両方とも女性です。ユウトさんと同じようにまずは薬草採取の依頼からやってもらおうということで2人にもお願いしたんですが....」


確かに今はもう昼は超えているし俺の前に来て2人でやっているならもう終わっていてもおかしくないか。


「じゃあ、俺見てきますよ!今日はダンジョン攻略はしないつもりでやること無いので。」

「すみません。ユウトさんの時間を頂いてしまって。ありがとうございます。」

「いえいえ、お姉さんにはいつもお世話になってますから。じゃあ行ってきます!」


俺はお姉さんに見送られ森へ向かった。

薬草採取なら森の入口付近にいると思ったのだが

居ないようなので奥へ進んでいく。

俺が今日ゴブリンを討伐したエリアに進んでも

人の気配はなかった。


「おかしいな、結構進んだはずだけど。俺と入れ違いになったのか?一旦戻ってみるか。」


俺は出口に向かおうとした時


「きゃあああああっっ!」


奥で悲鳴が聞こえた。


「あれか!」


俺は森を全力で駆け抜け進んでいく。

数十秒後進むと俺の目の先には2人の少女と俺が1層のボス部屋で戦った狼が対面していた。


1人の少女は傷つき、地面に倒れている。

もう1人の少女は立っているが結構満身創痍といった感じだ。


狼は少女たちの様子を伺っていたが、ついに少女に向かって突進を仕掛けた。


「ファイアーボール!!」


剣では間に合わないと思った俺は習得したスキルを使って狼の頭目掛けて放った。

火球は見事狼の頭に直撃し狼は横に吹っ飛ばされた。


俺はまだ狼と少女の間に入り後ろの少女に

上級ポーションを放り投げた。


「後ろに下がってこれで回復してくれ!」


俺はそのまま狼との戦闘に入った。

狼が俺に向かって突進してくるので正面からファイアーボールを放ち、効いているタイミングで斬撃を入れる。

近距離遠距離どちらも対応できるようになったので戦闘が非常に楽になった。

戦闘を開始して数分後、上からの斬撃をくらい

狼は倒れた。


「よし、倒したか。大丈夫だったか?」


俺は後ろに振り返り、少女に話しかける。


「あなた様がくれたポーションを飲んだら傷が全て癒えました。お姉ちゃんの傷も回復しましたが疲労でそのままのようです。ありがとうございました!!」


ぺこり、と少女は頭を下げた。


「受付のお姉さんに君たちが帰ってこないって相談を受けたから探しに来たんだ。見つかってよかったよ。とりあえずギルドに戻ろう。お姉さんは俺がおぶって行くよ。」


「すみません、助けて貰ったばかりなのにそんなことまでして頂いて。お姉ちゃんをお願いします。」


俺たちは未だ目を覚まさない少女を背に抱えて

ギルドへ戻った。


ギルドへ戻り、受付のお姉さんに報告をする。


「ユウトさん、おかえりなさい!冒険者の方見つけられたんですね!この度はありがとうございました。」


暗かった様子のお姉さんは明るい表情を取り戻した。


「ご心配をおかけしてすみませんでした!」


冒険者の少女が謝罪しこれまでの経緯を話した。


2人は双子で受付のお姉さんに言われた通りに薬草採取に向かったが

薬草が見つからず、探すのが夢中になって知らず知らずのうちに奥へ奥へ進んでしまったのだそう。

そして大狼に見つかったそう。

そして妹から狼の攻撃を庇って姉の方が倒れ

万事休すとなっていた所で俺が駆けつけた。という話だった。


「なるほど、わかりました。でもこれからはちゃんと身の安全を最優先に考えてくださいね。あなたたちはまだ新米の冒険者なんですから。とりあえずお姉さんの容態が落ち着くまでこちらの医務室を使ってください。」


医務室へ案内され、背負ってきた少女をベッドへ移す。


「では、俺はこれで。また明日の朝会いましょう。」


「ユウトさん、今日は本当にありがとうございました。ゆっくり休んでください。」

「お兄さんありがとうございました!必ずお礼させてください。私、アリシアです、また明日ギルドにいらしたらお声かけしますね!」


2人に見送られ、俺は帰路についた。

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