異世界転移1日目
城から放り出された後俺は広場の噴水前に座っている
とりあえず服は城下町の呉服屋に行き、一般的に流通している服と交換してもらった。
さらにスーツが珍しくいい生地だということで少しばかりの金貨を手に入れることが出来た。
そして色んな売店や雑貨屋を見た感じで通過の価値が分かってきた。
この世界の通過は金貨<銀貨<銅貨。
日本円で言うと銅貨は100円、そこから10倍になって行くということ。
俺は売店で買った焼き鳥の肉を食べながら今後の生活に着いて考えていた。
「俺の今の手持ちは金貨10枚。この街の宿屋が1泊銀貨5枚、食費を合わせると7枚必要だな。」
城下町だからなのか値段が高いように思う。
ただ、異世界にやってきて急にこの国の外に出るのも怖いのでしばらくはここに滞在するしかないようだ。
というか早く仕事探さないとな...
俺は街の人に話を聞き仕事を斡旋してくれる場所、ギルドに向かった。
「ユウトさんですね、この国で働くにはまず身分証明書が必要です。発行手数料がかかりますが今作られますか?」
「はい、お願いします。」
「分かりました。ではこちらの水晶に手を当ててください。」
手をかざすと俺の個人情報が載った木の板が即座に作られた。
「ではこちらがユウトさんのギルドカードになります。手数料と今月の住民税を足して金貨1枚になります。」
金貨1枚か...高いな、高いが今後のため払うしかない。
俺はなけなしの金貨1枚を支払った。
「はい、丁度ですね。では次にお仕事ですがユウトさんは商人ギルドか冒険者ギルドどちらでされますか?」
どっちか2つ選べるのか。
「何か違いと買ってありますか?」
「そうですね、どちらも人気ですが商人ギルドはお店経営がメインなので既にある資本を使う事になりますね。一方で冒険者ギルドはご自身の体が資本です。少ないお金で直ぐに出来ますが命の危険もあります。」
なるほど、頭脳労働か肉体労働か。日本でも似たようなものだな。ただ俺は元手が少ないから冒険者一択か。
「じゃあ、冒険者ギルドにします。」
「分かりました、冒険者ギルドはここを出て左に行けば見えますよ。」
俺は受付の人に言われた通りに進み、冒険者ギルドに足を踏み入れた。
中に入ると明らかにガタイの良いおじさんやでかい剣をもった人がぞろぞろいて空気が違うことを感じさせる。俺はビビりながらも前に進み受付の人に話しかけた。
「すいません、初めてなんですが冒険者ギルドで仕事を紹介して貰えますか?」
「初めての方ですね?ではギルドカードの提示をお願いします。」
俺はさっき発行したギルドカードを渡す。
受付のお姉さんが水晶にかざし、俺に返す。
「ユウトさんですね、あらためて本日からよろしくお願いします。ユウトさんはルーキーなので冒険者ランクFからです。依頼をこなして行くうちにどんどん出来るお仕事が増えます。現在の依頼ですと薬草の採取になりますね。」
そう言って受付のお姉さんが後ろから1本の草を差し出した。
「これと同じものを20本お願いします。採取場所はこの街を出てすぐの森に生えています。奥には危険な魔獣もいますのでなるべく入口の近く付近で行ってください。」
「分かりました。では行ってきます。」
とりあえず俺は武器屋に行き護身用の片手剣を1本購入した。振ることは出来るが剣術なんてしたことがないし武器としては扱えないようだ。
俺は街を出てすぐの森に入り薬草採取を開始した。
サンプルとしてもらった奴を採取するだけなのでカンタンかと思ったがコレが以外に難しい。
目視でこれだとわかるやつもあれば微妙に違うものだったりして20本集め終える頃にはすっかり夜更けになっていた。
「夜になると寒いな....日本は今夏で夜でも暑いときがあるけどこの世界は結構寒いな。」
俺はギルドに戻り依頼達成の報告をする。
「ユウトさん、お疲れ様でした。初めてのお仕事はどうでしたか?」
「結構時間と体力使いますね、採取だからって舐めてました。」
「最初は皆さんそんな感じです。これから慣れていきましょう。では薬草が1本銅貨1枚なので銅貨20枚です。今日はお疲れ様でした。」
俺はギルドを出て宿屋に戻る。
「朝から夜まで働いて食費代だけ稼げたか。
というか昼から何も食べてないし食事のこと思い出したら急に腹が減ってきたな」
俺は朝買ったコンビニのパンを袋から出して食べ、ベッドに仰向けになる。
そして今日の事を思い出す。
「今日もいつもの毎日が始まると思ったらこの世界に転移してきて普通だった人生が変わると思ったなぁ。」
ただ、手に入れたのは通常スキルの「合成」のみ
「この世界でも普通の人として過ごしていくのかなぁ...RPGに登場する名前の無いセリフだけのNPCとして」
そんなのは嫌だ。一般人であったとしてもなにか俺だけの特別ななにかが欲しい。
頼む、頼むから俺を特別な存在にしてくれーーーーー
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心の中で叫んだら急に眠気が襲ってきた。
俺は眠気に導かれるままに気を失った。