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老人と烏

作者: 小村るぱん

「わしは騙されんぞ」

 老人が一人呟く。

 電線に一羽の烏が止まっている。

 老人はじっとその烏を鋭く睨んでいた。

「カー!カー!」と突然老人が叫んだ。

 周りの人がギョッとした様子で振り返る。

「カー!」もう一度烏に向けて老人は叫んだ。

 威嚇している事がわかる叫びだった。

 烏はそっぽを向いて気にする素振りもない。

 異常な状況に、子供連れの母親が足早にその場から逃げていく。

 誰もが警戒の目を向ける。

 そこに一人の老婦人がやって来た。

「あんた!なにまた変なことやってんの!」

 公衆の面前で叱られた老人は、烏を指さして大真面目に言う。

「あいつは魔女の使いじゃぞ」

 周りの人が察した表情に変わる。

「可哀そうに。ボケてるんだな」

 老人が奥さんらしき老婦人に引っ張られるようにして帰っていくと、その場にいた人々もそれぞれに散っていった。

 騒動は終わり、人気がなくなったところに一人の少年が。学校帰りの様子だ。


 ケケケ。


 何かが鳴る音が聞こえる。

 少年は音の出どころを見上げた。


「ケケケ」


 電線の烏が不気味に笑っていた。

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