特殊なわたし?
桜の学校も新学期を迎えた。進学希望ごとにクラスを割り振られたが、今年も朋子と同じクラスになれた。
朋子は「桜と一緒だ~!」と喜んでくれ、桜ももちろん嬉しくて二人でぴょんぴょんした。
そして彼女の学校環境には大きな変化があった。
今まで一人教室でポツンと食べていたお昼ご飯だが、新学期から朋子の友人たち、あの日ファミレスに行った面々と食べることになったのだ。
誰かと食べる学校のお昼ご飯が楽しくておいしいことを、高3になって経験した桜。
もっと早くに知っていたらと思うと悔やまれるが、「知らずに卒業するよりはいい!」とポジティブ変換する。
朋子はさっぱりとしていて分け隔てない性格だが、彼女の友人たちも似た性質で、桜をすんなり受け入れてくれた。
桜自身も、彼女たちを受け入れられたし、意外にも同年代女子たちとお喋りできる、話題に付いていける自分に小さく驚きもした。昔から向日葵が、流行のオシャレやテレビ、漫画などを教えてくれていた影響が大きいのでは、と桜は思い、姉代わりの彼女に感謝した。
「文系クラスってことは、桜も進学は文系希望なの?」
3年生ということもあり、ランチの話題にも進学がくっついてくる。朋子は理系があまり得意ではなく、そういう理由で文系クラスを選択していた。
「そうだよ」
「まあそうだよね。もう行きたい学校とか学部って決まってる?私はまだ考え中」
「私は神社の跡取りだから強制的に、神職の資格がとれるとこなの」
「へーそうなんだ。跡取りってそういうもんなんだ」
周りの友人たちも、取りって進路決まってるんだね、お寺の人もそうかな、じゃあ農家の人は農学部なのかな、などという反応。彼女たちは跡を継ぐものがないので、外国語の勉強できるところ、看護師、メディア系とかどうかな、など自由な発言をしていた。
クラスメイトとロクに話したことがなかった桜は、自分は特殊な環境なのだろうか、と思わされるのであった。
新学期を迎えると同時に、お伝え様では桜まつりも始まった。
広いお伝え様の境内やその周りに咲く美しい桜を楽しむ行事で、毎年、4月の第一週の月曜から日曜までの一週間続く。要は花見と宴会ができる村の一大イベントだ。
この間、桜は「なゐ」に関する何もできずに、学校から帰ると神楽の稽古三昧。しかし稽古で疲れても、寝る前には橘平と軽くメッセージをやりとりすることは忘れない。
それだけが、将来への希望だった。
〈今日も稽古お疲れ様〉
〈ありがとう。そういえばさ、今日ね、クラスの人と進路の話になったの〉
〈3年だもんね。そういや桜さんって進学?〉
〈うん、神職の資格とれる大学〉
〈資格必要なんだ神社って。知らなかった〉
〈きーくんは就職だっけ?〉
〈そのつもりだったけど、今はよくわかんない〉
〈なんで?〉
〈うーん、わかんない〉
いつもありがとうございます!




