大人気ロボットアニメ鑑賞会ファイナルシーズン②
少し書き直しました;;
「今日はすっごい楽しかったね~さっちゃん」
運転しながら向日葵が声をかけるも、桜から一向に返事がなかった。疲れて寝たのかと助手席をちらと見ると、桜は無言でぼろぼろと涙を流していた。スカートには池ができている。
楽しかったはずなのに、なんで!?
向日葵は急いで車を脇に寄せて停めた。
「も、もうアニメは終わったよ~?思い出してかんどー?」
桜はこらえきれなくなったのか、わーと声をあげて泣き始めた。
これはアニメを観た感動の涙ではない。
向日葵は原因が全く分からず、手を握ったり開いたり、服のすそを掴んだりしている。
同年代の子たち、しかもみんな優しい子、遊べて楽しかった、嬉しかったはずで、悲しくなる出来事はなかったはずなのだ。
「さくら、ちゃん」
「ごめんね」
「え?」
「本当にごめんね。ひま姉さんと葵兄さんが、危険な仕事してるのは、私のせい。私が、二人を、巻き込んだから」
「なな、何言ってるの~?さっちゃんのせいなわけないでしょ、役場は親戚に言われて」
「封印、解いちゃったから、妖物、強くなっちゃったんだもん。わ、私が、解こう、なんて言わなければ、二人は危険な仕事をしなくて…ううん、私なんて人間が、私がいるからだ」
「さくら…」
「死なないでぇ!!」
「ええ?」
「さっき、よっしーさんが、クララがひま姉さんに似てるって。ヨハネスも葵兄さんに似てるし、あの物語みたいに、二人が死んじゃったら、私」
幼子をあやすように、でも力強く、向日葵は桜を抱き寄せた。
「大丈夫だよ。私も葵も死なない。さっちゃんを守るんだから。それにさ、始めちゃったら終われないでしょ?再封印するって言っても、やり方がよくわかってないんだし、早くやっつけちゃおう。そうすれば全部解決だよ」
「ううう、ううう、ごめんなさい、二人を…二人を私から解放したくて。解放してあげたいんだよぉ。二人が、私のせいで苦しむのは、もうイヤなの。わ、私は、二人が大好きだから!!」
一つ大声をあげ、桜はしばらく呼吸だけになる。落ち着いたように見えたが、また静かに、ぽとん、ぽとんと落ちる涙とともに話始めた。
「いやなの…私何度も死のうと思ったけど、でも、私が死んでも二人は…村から解放されない…それに椿が犠牲になる、だけ…やっぱり、なんとか、なんとかしないと、私が」
なぐさめる言葉なら、いくらでもある。しかし、それはただの言葉であって、桜を真にほっとさせることも、ましてや問題の解決にもならない。
桜が最後に泣いたのはいつだったか。向日葵は記憶を辿る。
おそらく菊が死んだ時だ。
あれ以来、桜は泣いていない。ずっと、辛い気持ちに蓋をして、釘も打ち付けて、絶対に開かないようにしていた。今日をきっかけにそれは釘ごと吹き飛んで行って。
彼女はただ、泣き続ける桜を見守る事しかできなかった。
ばいばい、とメッセージを送りながらも、向日葵は葵にケーキを届けにきた。
玄関を開け、彼の顔を見た途端、ぎゅっと丸めて心の中に押し込めていた感情が飛び出てしまった。もう、抑えきれなかった。
彼女は桜の倍の時間は泣き続けた。本当にひたすら泣いただけで、桜のように涙のワケは話さなかったし、葵も聞こうとしなかった。
彼はただ、彼女の側にいた。
向日葵は涙が止まると同時に、電源が切れたようにぱたり…と倒れそうなところを葵が受けとめた。すーっ、すーっと静かな寝息を立てる彼女を、そっと、横抱きで寝室に運んだ。
次の日、まだ空が明るくなるかならないかという時間。向日葵はぎゃーっと叫ぶことになった。
その声に、隣で寝ていた葵も目を覚ましてしまった。
「うるっさ!なんだよ!?え、まだ夜中?」
「なんだよじゃないよ!!私はなんでここにいるのー!?えー!?また酒飲んだ!?」
早起きしたおかげで、向日葵はなんとか、朝帰りがばれずに家の門をくぐれた。らしい。




