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2年目、6月 後半

 空が黒に染って街道の一角の長い長い直線の全貌が見渡せる遠い距離で茂みの中に仰向けのような体制で魔剣を三枚背中を合わせて、魔術を弓の矢として打ち出す魔剣の銘を入れられた魔剣で作られた弓、『アルビオンの豪弓』を構えて気配を殺して隠れなから、アウラントさんに作戦概要を復唱してもらう。

「今回の作戦はほぼ確実に敵の主力部隊と四騎士の一人、黒騎士の介入が予想される」

 少し、面倒だと思った。その表情を見てどう思ったのか、言い訳のような解説のような補足を付け足して話す。

「安心しよう。そのためだけに俺達だけで入国したことをなかったことにしてこんな国境沿いの雑木林で待機し続けたんだ。完璧とは思わないが、向こうから追求はさせないさ」

「確保目標って、サリヤがいるんだっけ?」

「あぁ、そうだな! 重要な物品と情報を持った諜報員とバルカン王国内部の内通者と合流して予定ポイントを通過して国境まで逃げることが今回の作戦の目的だ。まぁここから一番近い、ギルベルトの実家のルッツスター領だ。関所の場所はわかるな?」

「一応、覚えさせられたがあんまり、あぁ、間違えない自身はない。まともな軍の訓練受けてないし、無茶ぶりにも対応できる自信もないし、できれば一緒に行動したいな」


「そうか、そうだな……。まぁ、多少上手く行かなくてもギルベルトの実家まで行けば簡単に手出しできないだろうが、うん、お前の弓の狙撃で戦力を潰し続けたら確実に向こうの最大戦力がぶつけられるだろう? 作戦の想定では一番厄介な淡緑色の騎士、ベラトは奴らの王都で協力者の仲間の対応に当たっているから来ないだろうが、お前が追撃部隊の援軍を撃破することが目標だ。だが、俺は状況次第で動きが違うからな」

「そうなの? ぼ、俺と別行動して迎えにいくのって既定路線なんじゃあ?」

「どうだろうな。協力者は俺が迎えにいくつもりだが、それまでに全滅したら話にならないし、お前がやられでも作戦の続行は不可能だ。だが、俺が死んでも作戦は継続できる」

「え? 死ぬの?」

「そのつもりはないさ」

 正直、『つもりがない』は安心した。死ぬ覚悟は騎士として働くならするべきなのかもしれないが、あんまり仲間を死なせたくないし、なにより、彼が聖騎士になる前に抜けられたら、仕事のできる同僚が一人働く前からいなくなるなんてことだから、面倒が増えるばかりだ。

「状況に応じてお前には一人でルッツスター領まで引き返してもらうが、場合によっては俺と一緒に協力者を迎えに行くことも想定しようか。だが、十中八九お前には一人で帰ってもらうことになると予想されてるよ」

「なんで?」

「敵の追撃が過熱することが予想されるからだ。だから、場合によってはお前に一人で黒騎士から逃げてもらうかもしれん。その時は頼むよ」

 なんか、茂みから羽虫が落ちてきたから指で払って服から落とす。全身も軽く虫刺されしているが、こういうのって錬気で防ぐのって激しく体を動かしてない時以外だっと大変だし、あとで、緑の魔術で癒やしたいものだね。

「あぁ、黒騎士ってやつは狡猾なやつで闇討ちとか、不意打ちとかそういうことばっかだが、注意は必要だが、お前ならなんとかなるかもしれないな」

 闇の中、その向こうの明かり、その手前の闇の中で走る数人の影が見えた。

 視界に映ったそれらしき数人を見て、魔力から特殊な技能無しで生成可能な炎、風、水、土の基本的な魔力因子を形成し、魔術の使用のために必要な魔力を複合させる特殊な因子を準備して、視界内のそれが目標と見えてので魔剣とは名ばかりのボウガンを構える。

「きたぞ」

「なに? どこだ」

「予定の2つ外れた想定ルート、確保目標サリヤ含む5人、予定通り男1人気絶して女3人と男1人が走っている。後方の部隊を確認。これより、魔剣・アルビオンの剛弓による狙撃を開始させてもらう。予定ポイント到達まで待機警戒しろ」

「了解」

 熱心に訓練を受ける前から真面目に取り組んでいた魔術の練習の成果をここで見せる。ため、形成した因子でずいぶん繰り返し練習した魔術の式を腕いっぱいに組み上げ、指先に集中して同系統の式を固く綿密に形作り、腕の中の式から魔力を引っ張ってボウガンを構える。

「発射する前に、そのまま距離を僕からとって余波には注意してくれ。最も近接した部隊への攻撃は不可能な範囲まで接近している。合流の時は気を付けて」

 発射――――!


 夜の黒色の隙間、僕の腕より太い8面体の塊が剛弓から放たれる魔術が形成される。光を反射しないほど乾ききった8面体の氷の鏃が着弾までの大気の圧熱溶かし、その氷の中で発動し続けていた雷の魔術が、通電性を持たない氷から通電性を持った水となって周囲に飛び散った水の中の電圧と一緒に放出される。

 着弾直前、いきなり現れた電気の球体が目標部隊を襲撃する。

 ――――何人死んだか?

 2発目、大きの集団の前側が混乱して脚を止めたせいで動けなくなった後方をまとめて、一掃。木々は燃えるよりも早く炭に変わって、兵士たちの多くも炭のように黒い死体に早変わりして、蒸発した暗い煙の色にそれが生命から抜けた生者を生物たらしめる命だった根幹に見えて、それを自分が奪った引き金に気持ち悪さを覚える。

 3発目、こっちは結構多くの兵士が耐えた。苦しみながら、真っ黒に角になる周囲の背景と仲間を見ながら悶え苦しみ生き残っら数人のために、4、5発目。確実に殺すために目に写った悶えても肌に電撃を耐えられなかった時特有の血管が浮き出るような傷痕が見えない数名に、氷の塊を直撃させて殺した。

 他のまとまった部隊に4、5、6発。多少耐えられるやつがいても確実に死ぬようにまとまって発射する。これで、何人死んだ? 敵を、何人殺した?

「ぐ、知らないよ。他人の死とか! ましてや、敵の兵士なんだ! 覚悟くらいしろ!」

「クロヴィス?」

「いや……、なんでもない」

 7、8、9、10、11、12、

 発射するたびに集団が電撃で焼けて、焦げて崩れる死体と……数名の赤い枝葉が肌に生えたような火傷で悶えて死にぞこない。混乱して苦しむ生き残り、無駄に良い視力が僕の目に、見たく

「クロヴィス!! ……、ルイス!」

「は、あぁ!? いや、なんだ?」

「抑えていい。いや、抑えろ。全滅させる必要はないんだ……」

「ぐ……あぁ、そうだ。そうだな。奴らの、動きも、鈍ってきた」

「なぁ、お前ッ伏せろ!」

 一気に僕に肉薄したアラウントさんが僕の背中に手を当て、その開いた抜手越しに大きな衝撃が伝わる。誰が、いつの間にそこに

「あ」

「クソ! いてぇな!」

「おや?」

 敵を補足するめに声のした方を向くとなにも見えず、側面から熱の感じられる塊を右手で発した魔術で防ぐ、いや、違う。

 魔弓を持っている僕を守っているんだ。僕がなんともないのにアラウントさんは額から血を流して片目に垂れる。

「これも耐えますか」

 今度声がした方向を振り向くと、僕から見えない位置から跳んできたなにかに僕を抱えて転がって、背中に突き刺して僕を投げるようにしてアラウントさんは逆手持ちに左手に剣を構えて、やっと僕の視界が捉えた敵と対峙する。

「ふむ、自分を盾にして足手まといを守りますか、見事です」

「これでも、鍛えてるんでな」

 アラウントさんは背中だけじゃない、全身に刺さった棘で血を流しながら、立つがよく見ると致命傷を優先して防いだからなのか、左腕と両脚は特にボロボロだ。

「見事です。名乗りなさい。私は濃淡色の騎士、ベラト・カヤ。バルカン王国最強の騎士だ」

「はぁ……はぁっ、俺はっ、ぐっ……! アウラント・ジッツェル、……同年代では二番目に強い」

「そうですか、ならば、このまま死ねぇっ」

 自信満々に名乗らせたバルカンの騎士だが、動き自体は見えていれば速いってほどじゃない。前に出て、親指と人差指と中指の三本で剣を掴んでかるいバチバチとした痛みを感じながら、左手で騎士の腹を貫通させる掌底を当て、生ぬるい左腕を引き抜く。

「は、ぁぁあっ!!」

「お前が死ね!」

 傷口に、土の魔術で作った毒の泥でベタベタした大量の粒を発射する。

「ぐっ、が、あああああ! 痛、痛い!」

「もう一発!」

 ふっとばされた騎士にできた距離を維持しながら、いつもの金属杭を発射、連射する。至近距離で撃ったから放熱は抑えたが、速度はマシンすら貫通する威力は据え置きだ。

 まずは10本! 更に5本!

 いや、なんか、土煙越しでみ見える。原型、とどめてるな。魔力に戻って空気に溶けていく杭の束の中から、

「ぐあうあうあうあ痛い、ぐううううあああ痛ああああ! なんで、お前、直接戦闘はできねぇんじゃないのかよぉおぉう!?」

 痛いってなんだよ! こいつ、なんで痛いで済むの!? これでも本気の連打だぞ!?

「引く! こいつは僕が抑えてから逃げる!」

「はッ、くそ、分かった! 任せた!」

 向き合って、呻くヤツの腹に先ほど開けた穴はふさがり、無駄に豪華な緑色の服に血で縁取られた穴は空いているから塞がっているのがよく見える。

 この距離でも、一発くらいなら自分で余波は耐えれる! 小さめに食いを腕力で投げつけて、放熱の魔術で融解するように熱して夜が朝になったようなピカピカの僕の目がギリギリ潰れない爆発を起こす。

「へぇ、ぐおお、痛いなぁ。あぁ、そうか、君がアウラントの言う上の最強かな?」

「あの人は年上だよ! 僕は、ずいぶん、後輩をさせて楽をさせてもらっている」

「へぇ、そうか、若輩の騎士よ! 名乗れ! 私はベラト・カヤ! 最強の騎士だぞ!」

「僕は……死ねよ」

 口上に付き合う理由がない。面倒だから頃好きで、観察する目的で威力を抑えた金属杭で胸に突き刺して、地面に縫い付ける。そのまま、針状に杭を全身に魔術で発射し打ち付けて殺す。

「ぐあぁあぁ」

 悶えながらも、致命の一撃を何度も当てているのに、『痛い』だけで済んでいる。しかも、拘束するために変形させた金属の魔術でも囲ったら、よく見ると刺さった針も一緒に金属が自分から崩壊して拘束が解ける。

 傷だらけでも悶えていたはずなのに、傷が消えて服もきれいになって、血も流れてなかったかのようにシミ一つない。無傷で苦しんで片手に剣を構えて僕を睨んでくる。

 どういう魔術だ? これは、魔術を強力な魔力操作で勝手に自壊させている? そういう技術があるとは知っているが戦闘で使いようなものじゃなくて、いたぶるための技だ。

 こいつはそれを実戦で使っているというのか? そうだとしたら、もっと有効な戦い方もあるだろうになぜそんな戦い方をするのか? なぜだ?

「お前に名乗るための名前のようなものを持ったことはない! あえて名乗るならば、ルイージ・ヴィザーランドとでも名乗らせてもらおう!!」

「そうか、ではルイージ! 本気で殺し合おうじゃないか!」

「あぁ、分かった。お前は……邪魔だな。作戦に戻るため、本気で殺してやるよ!!」

 拘束しても崩れる。殺しても再生する。ならば、時間を巻き戻しても死なざるを得ない環境にヤツの周囲を書き換えるまでだ。

 まずは、量だ。もうアウラントさんが距離をとっている前提で、周辺の森を踏み潰すほどの大量の杭を、いくらヤツ自信が再生しても森全体を再生するほどの範囲は無い。あったとしても継続して再生し続けたらただでさえ生成に水の魔力因子を大量に消費する闇の魔術で魔力も枯れて死ぬ。

 その杭、全部、僕の魔力の一部の金属だ。

 あの騎士の周辺だけ金属杭も溶けてしまったように魔力に還されているが、魔力を通すには問題ない。炎と、風の魔力で補助して森を消した金属杭の真ん中でありったけの炎を! その炎が渦を巻いて、やつを消し炭にしているはずなのになんか、無傷で立って平然と会話してくる。

「意外だな! 狙撃と違って、氷も電気も使わないんだなぁ!」

「残念だね。本気で戦うなら、僕は鋼と熱の魔術しか使わないんだ!」

 この威力だど炎だけに対処できても酸素欠乏で昏倒すると思うんだけどな。魔力だけで呼吸を補う術を習得しているにしても即座に対応できるのは、流石に最強を名乗るだけはあるというわけか、

「だったっらさっさと本気を出せよ!」

「お望み通り!!」

 ビビった。本気で殺そうとしているだけで、僕の本気を出していないのがバレた。こいつは、マジでヤバイと思ったから何も考えずに突っ込んで魔力で強化した握力でヤツの目に指を入れ、顔面の半分を砕いた。

 自分から燻る炎の上に肉薄して、こんな殺し方は初めてだ。

「あ、あぁ、ぁぁぁぁぁ、痛い……痛むなぁ」

「よく、喋れるな」

 頭の上半分がなくなっているのに、問題なく発声し、剣を振るって僕の急所を狙うが、遅いが最初から全く鈍っていない。反応にこまるような動きじゃないが、

「生まれて始めて守るための本気じゃなく、殺すために本気を出すぞ!」

 普通なら死んでいるはずの剣を持つ腕を上に投げる勢いで折った、真上に投げただけだが、こんなのじゃ死なない気がする、だから、マシンに撃つような極太の金属杭を真上に向けて投げ、熱で体を蒸発させる。

 直撃した威力で霧散した……。やりすぎたか? いや、魔力が感じ取れる。背後! なにこれ、痛くない。

「へぇ、防御、できるんだ。これ」

 跳んできた短剣に指を当てて、弾くとさっきから持ってる魔剣をもって僕にいつの間にか肉薄にしていたが握り込みが浅く、また魔剣を指で挟んで、杭の魔術を撃ち出して腹に穴を開ける。と、眼の前の騎士が少し奥に瞬間的に移動して掴んだはずの魔剣もすり抜けていた。

 今撃った。魔術の威力は下がっていない。

 少なくとも、今撃った杭は僕の手を離れるその瞬間前では排熱に合わせて内部で融解したタングステンの光が僅かに見えるのに、手から離れた瞬間わずかな光が見えなくなることからわずかに電気の属性を混ぜた炎の魔術による発熱に干渉しているのだろう。

「らあ!」

 やつに当たる瞬間今まで威力が落ちていた金属棒がヤツの鳩尾に刺さり、そのまま横薙ぎに腹を引き裂き、血肉とともにまだ繋がった臓物を体外にはみ出させる。

「――――――!?」

「声もでねぇよなぁ! これが本物の痛みだ!!」

 魔力で作ったタングステン製の掴んだまま殴りつければ有効打になる! これは、どういうことだ?

「らぁ!」横薙ぎの打撃、今持ってるのが剣だったらもう殺せていてもいいのに、あいにく魔術と弓術ばかりで剣術を訓練しなかったから肩を脱臼させて転がすにとどまる。

 トドメに頭を砕く!

「死んだ……よな」

 死体を確認する。していると、いつの間にか目の前に立っていた。傷も、汚れも、なくなって、

 ……なんで、

「傷が治ってんの?」

 いや、そういう話じゃない。傷が治った痕のようなものをすっ飛ばして傷が消滅している。となると、戻っている? こういう系統の魔術は、

「時間を巻き戻すと言ったら闇の魔術かなんかだと思ってたが、これはそもそも魔術か?」

 闇の魔術と考えれば、時間により動いた現象を戻していると思った。だが、少ない。あまりにも、感じられる魔力の量が少ないと言うか、なんか、薄い? 闇の魔術って大量の魔力を消費して闇の魔術属性因子を作るから、

「あぁ、そうなのかい? そうだな。そういうのもあったような気がしたな」

「別にいい」

 どうする? こいつ、

「殺しても再生するって言っても、殺せるなら、薄皮1枚枯れるまで殺し続ければいいってだけだ!」

 十数回殺して分かった。

 こいつ、殺されて喋りづらくなってもまったく応えていない。こういう時間がかかる相手の魔術は魔術に対する知識がないと、使う魔術しか習得していないような学の無いやつが対処するのは仕事じゃない。

 そもそも、僕の仕事はこいつを殺すことじゃない。

 まだ、余裕はありそうだが、面倒なので横跳びしながら魔剣銘の入った弓を構える。

 連射し、逃走ルートへ回り込もうとするものを中心にここにもほど近い援軍たちへ氷の塊から放たれる電撃の爆弾で飽和攻撃する。

「もう、いいか、時間稼ぎは済んだし」

 そして横で再生中の不死身の騎士の胸にも溶けかけの氷から電流を放出し続ける八面体の鏃を打ち込む。

 放電により、苦しむが、位置が悪く、死んでいない。

「あ、あ、あ、あぁぁ」

 軽く焦げた程度で、あんまり効果も、なく全身赤くやけどしている。だけど、明らかに苦しんでいる。こいつ、再生に条件があるのか?

 相手にしていられない。こいつの後に援軍がきたら面倒だ。

 だが、あと、数回。援軍を阻む支援砲撃をして国境方面へ向かう。ルッツスター家が所有する領地で分けられる連邦国境線内へ入った。


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