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想い、降り立つ

 至って鍛えてそうでもない村人にさして研がれてもいないナイフを避けて、同僚がその腕を掴んだ瞬間。必死で、泣きそうな死に顔になんの悪意も感じられず、

「貴様! なにをするー!」

「ごめんなさい、ごめんなあぁゔぁぁぁおぇあおぉ」

 爆発した。市民が、どこにでもいるような農家の若い子女といったところであった。

「があってやぁ!?」

 爆炎に包まれて火だるまになった叫ぶ同僚を消火する別の同僚を見て、一瞬、気をとられ、村人が恐慌状態になったのに反応が遅れた。

「きゃ、きゃあーー!!」

「いやだ、死にたく、死にたくない!」

「あ、あぁ、あ、ゔぁ、ばば、ゔぁあ」――うめき声を上げながら、次々に熱をもって爆発する村人たち、これが全員ではない。だが、この場にいる村人が全員、次々に、爆発して肉片を散らしているのだ。

 燃えていない? 村人が死んでいる割に、兵士が割と無事? 爆発は兵士の殺害ではなく、混乱が目的か!?

 カヴァデイルの魔術が他人の魔力を炎と熱に変換して爆死させる術であり、先の戦闘で数百名の死傷者が出ていることは聞いていた。

 だから、この威力は弱すぎると思い仲間から少し、ほんの列を2列分ほど離れただけ、そうだ。わかっていた。そのはずなのに、

 混乱する同僚をよそに周囲に視線をめぐらせていると、背後から腕の肘の少し上のあたりを『ソレ』に掴まれた。

 全身がぞわぞわする。寒い、次に、暑い。呼吸が枯れたようだ。掴まれたのだ。カヴァデイルに俺は、体を爆弾に……

「ぐあおおおおお」

 俺は利き腕でない方の腕で逆手で剣を握り、利き腕を肩に近いあたりから切り離した。

「はっ」

 そのまま、風と力の属性に類する魔力を使った魔術で周囲を巻き込まないように、真上にアッパーカットでもするように、カヴァデイルに斬りかかる。

 剣が融けた。魔術で伸ばした直上に広い攻撃範囲がの分、威力の乗った風と念動力の斬撃が防御された!

 カヴァデイルが真後ろの同僚にさらりと触れた。

 俺の腕が周囲を熱を持って吹き飛ばす。そして、2つ、それよりも大きな爆発が村の半分を一瞬で焼き尽くした。

 逃げようとした。カヴァでイルの脚を狙って、削ぐような無刀の念動製の斬撃を放つが軽く飛んでかわされて、彼の指からバチバチと電撃の魔術の予備動作が生じる。

「死ね」

「くそっ!」

 軽いノリ息で俺の頭を狙った金属片は、さっき切り離した肩口へ届き、バチバチと放電する。

 もう一発、躱せない! 万事休す!

 発射直前に、悪名高きカヴァデイルは姿勢を変えて、発射することなく真横に跳ねる。

 カヴァデイルの動きを目で追う間もなく、カヴァデイルの居た場所が氷の柱が、生えている。

 遅れて、衝撃波が伝わる。周囲へ、何か酷く重っ苦しい物を突き落とされた轟音が、周囲へ、連打される。

 ズドド、ズドン、ズズズドドドン。

 地面が振り絞られたようなグラグラとした揺れが地面を伝って、水平間隔をめちゃくちゃにした爆音の連打は血を流したままの俺を仰向けにするには十分だった。

 その仰向けになった空に、誰かが浮いている。

 本当はそれは、ほんの一瞬で、空中から落下しながらそんなことをしているというのに空を浮かぶその女の子は、俺達が這い回る俺達の大地へ向けて白い塊を、連射する。

 うるさすぎる音はもう聞こえない。

 ズズズズズズドドドドドドーン――――――!

 聞こえているけど、どうでもいい。空に浮かぶその女の子の真剣な顔があまりにも美しくて、まるで

「天使か……?」そう、見紛うほどだった。


「――――――生きているものは5時の方角へ撤退しろ! 後のことはこのフェルメイア・ディープシーが始末する!」

 その名は聞いたことがなかったが、簡易的な止血を受けながら衛生兵から聞いたその名が、本国で高名なる聖騎士という話を知って、その神々しさが見間違いじゃなかったとそれだけを確認した。

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