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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
2年目
70/558

68:ナオミさん、初めてのMC

「改めまして、はじめましてのほうのほうがいいのかしら。おばあちゃんになってしまったムーンライトスターの橋爪薫です」

「同じく、ムーンライトスターの林美沙子です。短い時間ではございますが、どうぞ皆さん楽しんでいただけたらと思います。本日はどうぞ最後までお付き合いください」


 場内はまだ朝なのにもかかわらず、熱いステージがさらに熱くなるような拍手が私たちに送られるる。


「さぁ、先ほどお届けした曲は、私たちにデビュー曲〈ダンスフロア〉です。この曲は、私たちムーンライトスターにとって、なくてはならない曲です。お時間も勿体のところですので、次の曲にいきたいと思います。続いての曲も昔のレコードから1曲。この曲もノリノリになれる曲だと思っています。〈We never stop dancing〉」


 まだやっぱりMCも手探りの状態か。そりゃそうだよね。なんせほぼ40年ぶりのライブなんだから。

 この次の曲も確かディスコ向きだった気がする。たまにそうじゃない曲が混じっているけど、たいていはそうだったはず。

 ただ、今はそんなことは関係ない。全力で暴れたおすだけ。

 ここの振り付けは難しいところがあるから、私と竹田さんだけが振り付けをこなす。あとのメンバーはボーカルに専念する。


 曲に合わせてひざを外側に曲げたり、内側に曲げたりというのが続く。

 ここが少しきついところになったりするけど、私と竹田さんの足を落とすタイミングがそろえば、気持ちのいいくらいにヒールがなってくれる。

 私に関しては、勢いで振り下ろしているところがあるから、ヒールが折れてしまうかな?みたいなことを考えてしまうときがある。


  勝手に身体が動く 音楽に合わせた勝手に足が動いていく


 ここだけが苦戦した。

 何が難しいって、足の動き。ただそれだけ。今までにやったことのない動きで、流れも複雑だったから余計に苦戦した。竹田さんは、以前にやったことがあるらしく、コツをつかんでいたみたいだけど。

 ここもうまくこなしたら、もう1回サビ。まぁ、サビに関してはあと2回くらいあるんだけど。

 少し気持ちに余裕が出てきて周りを見る余裕も少しばかり生まれた。サビのところで手拍子を求める林さんと市原さんが。

 本来なら、私もここで手拍子をしたり煽ったりするけど、さすがに今日はそこまでまわせる余裕がない。

 たぶん、本来ならこれはパフォーマーの仕事なんだろうけど……。

 ……1回だけ、無茶だとわかってるけど、やってみてもいいかな?この〈We never stop dancing〉で。

 ……ただ、むちゃくちゃなことになるだろうからやめておくか。

 いつもミアシスで煽るときは、振り付けをやめて、少し前に出て煽るし。この場で私がやることじゃないのかもしれない。

 そんなことを考えている間も曲はしっかりと進んでいき、林さんに続いて、橋爪さんもヒートアップして来たらしく、歌詞と歌詞の間にアドリブを挟んで観客を煽っている。

 それにしても、橋爪さんにこんな一面があるのは知らなかったな。意外な一面を見られた気がする。


 そこからたぶん、ほとんど無意識の中で踊っていたのかもしれない。橋爪さんが『ラスト!』と叫んだ声で最後だということに気づいた。

 最後だからといって、特段大きなことはしないんだけど……。

 曲が終わると、また長くなりそうな橋爪さんと林さんのトークが始まる。


 この間に水分補給をしよう。たったの10分しかステージに立ってないのに汗だくになってる。こまめに水分補給しないと、すぐに熱中症になりそう。

 さっきは腕まくりをして熱を逃がしていた橋爪さんは、袖を戻してパフォーマンス中。やっぱり、私としては熱中症が気になる。

 先に、ステージの陰に隠れて、小分けして持ってきた薄いピンク色のドリンクを一気飲み。そのあと、タオルで顔を覆って汗を拭く。

 やっぱり、この時期はカチューシャよりもヘアバンドのほうがいいのかもしれない。汗も吸ってくれるし。カチューシャだと、汗がたれてくるだけだ。


「さぁ、私たちは30分だけのステージですけど、楽しいフェスはまだまだ続きますんで、水分補給だけは絶対にして楽しんでくださいね」


 さぁ、ここでいったんバトンタッチして、橋爪さんたちに水分補給に行ってもらおうか。


「橋爪さん、少し水分補給してきてください。ここは、私が繋ぎますんで」


 耳打ちで橋爪さんに言ったあと、前を向きなおしてしゃべり始める。

 思ったより熱くなったステージでこれ以上炎天下の中で続けるのはさすがに危ないし、このあとのステージに影響が出る。熱中症対策をとらなかったら。


「さぁさぁさぁ、みなさん、懐かしのムーンライトスターさんのステージはいかがでしょうか?楽しみにしてたよって人クラップハンド~!」


 今、私、完全にミアシスのボーカルに戻ってる。マイクこそ、ハンドレスタイプのものだけど、言い方がもう戻れない。


「わぉ、すごい勢いですね。オサムさん、意外と皆さん盛り上がってますね~」


 ここは、ミュージカル俳優よりも、コンサート経験者を優先するでしょ。こういうのに強いだろうし。

「いや、ホントですよ。まだ始まって十分も経ってないというのに、すごいですね。それじゃあ、僕もひとつ。これからまだステージが続きます!どのグループよりも熱いステージをお送りします!まだまだ盛り上がっていける準備はできてますか!」


 会場は『ウォー!』という声が地響きのように広がり、ステージに届く。初めてのこの勢いに少しびっくりして負けそうになる。

 だけどね、私だって負けていられない。これから、こんなステージがいくつか続くんだから。

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