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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
第2章(6年目)
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569:動きの大きい沙良

 あっという間にサビが抜け、一度私は沙良から解放され、亜稀鑼のソロを聞きながら息を整えつつ、割り当てられている振り付けをこなす。

 この辺りはさすがに振り付けも変わらないから、私としてもやりやすいし、ちょっと安心する。

 まぁ、ポジション移動はどうせんをかぶらないように。と考えながら移動するから、少し苦労するけどね。

 それでも出逢って6年。そのカバーリングはダンサー陣もかなり上達した気がする。

 今までは、私が何とかミスに見せかけて避けていたところが多かったし。それを考えると成長を感じる。


『でも君が』

「どこにいるか」

『それが』

「わからない」


 亜稀鑼との掛け合いが済めば、また沙良とのコンビで振り付けをこなしていくことになる。

 どう動いてくるか。そんなことを考えながら、2サビに入って行く。

 この2サビも元々は私が後方でソロ振り付けのパートだから、動かなきゃいけないんだけど、ちょうど、由佳以外の4人が三角形を描くように動くから、動線は被らない。

 意外と急遽でもどうにかなるんだな。というのが正直な感想。

 まぁ、たまたま、こうなっているっていうのもあるんだけどさ。なんて思いつつ、また沙良の激しい振り付けに踊らされる。

 時々身体をグッと持って行かれることもあって、歌唱パートで「うっ」と声に詰まる場面もあった。

 さすがに予想外で、急すぎると対処できない。

 この時ばかりはさすがに沙良を睨んだ。

 まぁ、そんなことをしても、私にいい顔を見せてときめかせようと必死な沙良は、私のことに気づいていない。

 こういう小さな“差”なんだろうな。沙良と翔稀の。

 そんなことを思いながら、振り付けと歌唱をこなし、こちらもいつもよりハードな2サビが抜けていく。

 ここからは振り付けなしの亜稀鑼との掛け合い。正直、今日に限っては、ここだけが休憩ポイントだと思い始めている。

 まぁ、それが本当に休憩ポイントになるのかは、亜稀鑼次第なんだけど……。



  あれから君とずっと

  手をつないでる絶対に

  君と離れたくないから

  寂しい思いはしたくないから


  舞踏会の終わりまで

  君のことは離さない

  君を誰にも触れさせはしない

  まるで魔物から守るみたいに



 亜稀鑼から始まる掛け合いは、少し優しく、私を労わってくれるような感覚はあった。もちろん、振り付けはなく、変にアドリブを入れてくることはなく、淡々とこなしてくれた。

 何とかなった。そんな感覚香奈。でも、亜稀鑼も調子を合わせてくれて、無理に上げることはしなかった。

 たまに亜稀鑼もアドリブで掛け合いを重ねるごとに、声を強くすることがある。それがなかっただけマシだ。

 ただ、ここからなんだよな。一番きついのは。

 ラストサビに入ると、また沙良とのコンビ振り付けが始まる。これがラストだから頑張るけどさ。そんなことを思いながら、ラストサビに入って行く。



  スポットライトと

  月明りに

  照らされた2人は

  音楽がなり続けるまで踊る


  「まだ踊る?」

  「当たり前じゃない」

  そんな会話が2人の中に

  自然と生まれいつまでも2人は

  踊る



 案の定、ラストサビになって、沙良の動きは大きくなる。

 それがいつものことなのか、今日がたまたまなのか。それは、普段バディーを組んでいる翔稀に聞かないとわからない。

 だけど、今になってわかる。サビが進むにつれて、私の顔が変わらないから焦っているのだろう。

 大きな動きだけで私をとろけさせようもんなら、たぶん、それは間違ったやり方だろう。

 どちらかというと、少しの気配り、ほんの少し角度を変える。それだけだと思う。

 まぁ、曲が違うからって言うのもあるかもしれないけど、たぶん、この先、沙良が誰かをときめかせるというのは、コラボでこの曲をやる時くらいしかないんじゃないかなと思い始めてる。

 そんなラストサビを超えて、亜稀鑼との掛け合いをこなし、アウトロがないこの曲は亜稀鑼と声を重ねたらそこで終了。

 いつも以上に派手な動きをさせられて珍しく〈仮面舞踏会〉で体力を削られた私。

 ここでもともとMCが入る予定だったから問題ないんだけど、思った以上にスタミナを持っていかれた。

 ちょっと休憩したいかも。そんなことを思いながら、話しを始めようとした。


「ということで、えっと、美桜が思った以上にスタミナを持っていかれてるんで、ちょっとだけ代わりに喋りますけど、美桜~大丈夫か~」


 瞬時にトークを変わってくれた翔稀。たぶんラストの掛け合いで声が上がっていたことに気づいてくれたんだと思う。

 それだけでもありがたい。そんなことを思いながら「無理」とひと言だけ返す。

 そう答えると、場内からは失笑が漏れる。それでもいい。沙良の無茶振りについていけえない。6年目の活動でそう思ってしまった。


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