51:美桜さん、バーカウンターから後輩を見守る
いつもなら、このままミアシスの曲に移るけど、今日はここから続いてハイアスちゃんの登場曲〈レッツスターティング〉が流れ出す。
ハイアスちゃんの登場曲は、私たちとは違って、バイオリンに似た音色で、優雅に踊るイメージが強く、藺沙ちゃんから始まり、サビっぽいところにはいるたび、気づけばひとり、またひとりと増えていって、曲の中盤で全員が揃っていた。
そこからは、4人で踊って、フィニッシュを迎える。
さすが、ダンススキルの高いハイアスの4人だ。
ミアシスとは違った魅力で場内を魅了した。そんな私もちょっと虜になってしまったところはある。それも、次の音楽が鳴ったころに解かれ、現実に戻る。
「さぁ、今宵のマジックライブは私たちだけではありませんよ!本日のゲストをご紹介いたします。茶々パレード! みなさん、今日もうちらの歌声にとろけて行っておくれやす。茶々パレードからシュウカ!そして、そして。今日もうちらの舞をその目に焼き付けておくんなし。茶々パレードからコズエ!」
ここも2人には、直前に言ったものの、うまく対応してくれた。
ただ、予想もしていなかったキャッチフレーズを付け加えられて出迎えられたことにびっくりしたのか、照れ笑いをしながら登壇していた。
ここはちょっとしたイタズラかな。なんて言っている余裕はなく、曲に合わせて最後のセリフを言って、最初のブロックを終わりにするために、ミアシス、ハイアス、茶々パレードの3組を舞台中央に寄せる。
「以上、3組で今宵のマジックライブをお届けいたします。みなさん、最後までどうぞごゆっくりお楽しみください!」
曲の終わりと、合わせて言い切ると、音響室にいる田村さんがいい感じに音を消してくれる。
そして、音が小さくなるのを合図に、ミアシスと茶々パレードさんは一度袖に。ここから25分はハイアスの時間だから。
ついでに私は裏を回り、バーカウンターに入り浸る。
マジックライブで、コラボ相手がいるとき、時間に余裕があれば、ここに来て無料でライブ観戦をする。今回もそのつもり。
ハイアスちゃんのライブは見ていて本当に気持ちがいいのよね。
文字通り、曲に合わせて暴れ倒すから。
まぁ、それが取り柄でもあり、人気なところではあるんだけど、さすがに〈ミラクルマジック〉という曲では、フリースタイルすぎて、私たちが少し慌てたくらい。
なんなら、陽可里ちゃんなんか、ステージから落ちそうになるくらいのところまで来ていたし。本当にそこだけはヒヤッとした。
だけど、それも演出の一つと言わんばかりの暴れようは私たちも何度か一緒のライブに出ていて知っている。
そんなことを思いながら、バーカウンターでマジックジュースを飲みながらハイアスちゃんのパフォーマンスをみている。
これだけ暴れられるのは性格も年齢柄もあるだろうけど、今のミアシスで常にそれができるのはたぶん由佳だけ。
あの子のパワーはお調子者という性格が関係しているんだろうけど、あれだけは真似できない。
それがハイアス全員なんだもんな。小村さんも田村さんも、相当体力を使っていそう。考えただけで少しゾッとする。
ただ、ミアシスもみんな好き勝手やっているようなものだからあまり変わらないか。
そう考えると、田村さんには苦労をかけているな……。もっと私がストッパーにならないといけないかな。
なんて思っていると、一番かわいく見える曲を最後に持ってきて、パフォーマンスは終わった。そして間髪を入れず登場するのは茶々パレードさん。
いきなり代表曲(と思っている)の〈マイステージ〉を持ってきて、華麗なる舞で魅せていく。
もちろん、魅せる曲はそれだけじゃない。ほかにも〈1000年先も〉という曲やもなかなかに楽しませてくれる。
それにしても、山添さんの振り付けだということがよくわかる振り付けだな。
茶々パレードさんのコンセプトに会わせているのかわからないけど、ターンが多いのよ。私たちもそうだから言えるなんだけど……。
逆に、ハイアスちゃんたちは、小村さんの友人で今中さんという女性にお願いしている。
こうやって振り付けをみていると、お互いの色がよく出ている。
さて、そろそろ私も準備しないといけないね。とは言うものの、私だけ下手からインするのはお決まりになっているから、バーカウンターの裏を回って、繋がっている下手に行くだけなんだけど。
「さぁ、今度はお待ちかね、ミアシスさんのステージです!まだまだ楽しんでいってください!」
シュウカさんがそう言うと、タイミングよく田村さんが音響室から〈サンキュー・フォー・ビジッティング〉を流してくれる。
これだけ呑気な美桜さん、久しぶりな気がします。自分のパフォーマンスがまだだと言うのに。
でも気分は、発表会を見守るお姉さんですかね?そんな気がします。
【御礼】
PVが1000を超えました。
細々と続いていきますが、この先もどうぞお楽しみください。
黒龍




