50:カモンミアシス
「ごめん、お待たせ。とりあえず、軽く最後のミーティングね」
ミアシスの輪の中に入っていった私はみんなに声をかけて、ミーティングを始めようとする。
「年内最後のマジックライブで、しかも、クリスマスイブ。ちょっと変な空気はあるけど、私たちは私たちらしく暴れていきましょう。翔稀、なにかある?」
私から言いたいことを言って翔稀に話を振る。
「そうやな。しいて言う心配事で言うんやったら、コラボ曲かな。普段することのない曲ばかりやから、戸惑うところもあるかもしれへんけど、もちろん、ミスはない方がええに決まってる。やけど、してしもうたらしゃあないねんから、引きずらんようにな。俺からはそれだけ」
翔稀は言いたいことを言うと、吠える準備に入った。
「他はなにもなさそうね。それじゃあ、吠えて、気合いをいれていこうか」
そう声をかけると、メンバーがそれぞれうなずいた。
「行くよ。ゴーハイゴー!」
『ウィーアーミアシス!』
すっきりするほど声を出すと、メンバーそれぞれとハイタッチをする。
そんなルーティンをこなすと、その場で軽くジャンプして身体のバランスをリセットさせる。
そしてそれもこなすと、袖にいる全員を見て、2階の音響室に向けて白のペンライトを3回点滅させる。
これを点滅させるというのは、演者側全員の準備オッケーのサインだ。
そして向こうから緑のペンライトが3回光る。これは、向こうも準備ができた証し。こうなればそろそろ流しているBGMが小さくなり、私たちの登場曲〈カモンミアシス〉が流れ出すはず。
流れとすれば、私たちミアシスの〈カモンミアシス〉、ハイアスの〈レッツスターティング〉、ゲスト曲でミアシスの〈ウェルカム〉の順に流して、メンバーが登壇する。
最後の〈ウェルカム〉はゲストさんが登場曲を持っているならそっちを使う。
さて、BGMも小さくなってきて、場内の照明もだんだんと薄暗くなってくる。
さすがの田村さんだ。手動なのに完璧。
場内のボルテージは徐々に上がってきている。そして、場内は照明が完全に落とされ、BGMも消えた。
ここからはマジックライブが始まっていく。
ベースとキーボードとクラップの音が同時に聞こえ出すと、私のなかでスイッチが切り替わる。
そして、タイミングを図って大きく息を吸い込む。
「Welcome to MiASYS magic hall today. Now call on stage MiASYS member. Before starting magic live. Are you ready? ……okay. Call on stage by MiASYS member. C'mon MiASYS! The first thing's come out on stage is ……Dancer, Sara Hasegawa! 」
つらつらと自慢のしゃべり方で場内を盛り上げつつ、沙良をステージに送り込む。
曲がなり始めていた時点でエンジン全開だった沙良は、待ってました!と言わんばかりに飛んでいった。
そこからたった20秒のソロパフォーマンスタイムを大きく見せて、そのあと、由佳の踊るスペースを開ける。
「The second thing's come out on stage is …… Dancer, Yuka Tazawa!」
由佳も豪快に飛び出していって、沙良と同様、20秒のパフォーマンスタイムを大きく見せたあと、沙良と2人でフリーパフォーマンス。
とは言っても、曲の強弱に合わせて観客をあおっているだけなんだけど……。
「The third thing's come out on stage is ……Dancer, Shoki Nomura! 」
翔稀は飛び出したと同時に連続でバク転を連続で繰り出して、ステージの中央に着地すると、派手に暴れるように動き、亜稀羅のためのスペースを開ける。
「The fourth thing's come out on stage is ……Vocalist Akira Kaneko!」
亜稀羅は勢いよく飛び出していったけど、まぁ、ボーカルなだけあってダンスをすることはないよね。
ステージ中央まで来ると、一礼して、ダンサーを中央に呼んで、ダンサーのパフォーマンスを促す。
もちろんここは振り付け通り。亜稀羅のパフォーマンスはちゃんとこのあとに残している。
オーオーオオオー!
クラップハンズ!ヘイヘイ!
クラップハンズ!ヘイヘイヘイ!
オオオーオーオー!
クラップハンズ!ヘイヘイ!
クラップハンズヘイヘイヘイ!
曲が少し小さくなると、亜稀羅がダンサーの前に出てきて、観客を煽る。
会場に一体感を持たせるために、今出ているメンバーたちで場内を暖める。
こうやって見ていると、場内の雰囲気はよさげに見える。それに、ミアシスのメンバーたちも楽しそう。そして舞台袖では、ハイアスちゃんも茶々パレードさんも、亜稀羅の声に合わせて手を叩いたり、跳ねたりしている。
この〈カモンミアシス〉はマジックホール限定曲でもあるから、ハイアスちゃんはとにかく跳ねる。それにつられるのが茶々パレードさん。ちょっと控えめなのはご愛敬といったところかな。
さて、この一体感を感じたあとは、私が登壇する番。
高校の文化祭以来、私の呼び込みは翔稀の担当に変わった。その呼び込みの声を聞いて、私も飛び出していく。
しっかりと私にも歓声が届いて、テンションが上がる。
そして〈カモンミアシス〉はラストに向かっていく。
もちろん、ラストくらいはダンサーたちと振り付けを合わせて、最後の煽りに持っていく。
私も煽りに加わると、場内のボルテージはさらに上がる。もう、どこを見ても楽しそうだ。
この姿を見ると、やっぱり安心するよね。
そして〈カモンミアシス〉はクラップを要求したまま終わる。




