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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
1年目
47/558

45:美桜さん、高校の終業式で寝る

 いろいろあった10月下旬と11月の上旬。なんとか走り切り、私の体調もしっかりと戻り、対立して冷え切ったクラスメイトとの仲は、多少マシになった。

 ただ、本当の私が姿を現したことが影響しているのか、私と関わろうとする人は少なくなった。


「おはよ~美桜」


 それでも変わらない菜乃葉は、いつも通り声をかけてくれる。

 その様子を見てクラスの緊張も少し和らぐ。


「うん、おはよ」


 菜乃葉に挨拶を返しながら、20キロのカバンをドスンと置く。


「ほんま、美桜のカバンって何が入ってるん?いつもすごい音するやん?いつも気になるんやけど」


 たぶん、本当のことを言うと、菜乃葉でさえ引くと思うから本当のことは今は言わないでおこうか。


「活動に必要なものが入ってるよ。見せられないけど」


 だよね~。と言ってカバンの中身をのぞこうとするのをやめる菜乃葉。

 まぁ、毎朝、カバンを机に置くたびにドスンと音を立てていたら気になるよね。実際は、カバンの底に5キロのダンベルを4つ入れているんだけど。

 そんな菜乃葉といろんな話をして、いろんな情報を仕入れる。

 結局、菜乃葉のことは、私が知らない情報を持ってきてくれる便利屋のように使ってしまっている。

 

「ほんでさ~、この前もミアシスの出てた箱に参戦しててんけどさ、ミアシスの前の出番やったアイドルグループあったやん?あれ、最悪やったで。ほんま、もっと練習して来いよって感じやったわ」


 正直、ほかのアイドルグループのことなんてどうでもいいんだけど、直前のグループのことだと話が変わる。

 そのグループ次第で、ミアシスの盛り上がりやお客さんの入りが全然違う。

 正直なことを言えば、ミアシスのセットリストはその都度で少し変わるから、一概には言い切れないけど、ある程度沈んだ後って言うのは、温めなおさないといけないというのがあるから、やりにくいのはある。


「あとさ、クリスマスさ、マジックホールで茶々パレードさんとコラボやろ?意外なところやからびっくりしてんけど、どういう意図があったん?」


 菜乃葉はすでにオリエンタルライムが主催の年内最終ライブに参戦すると息巻いていて、いろいろ準備をしているらしい。

 まぁ、次のクリスマスライブは、私アたちミアシスのほかに、妹分のハイアスと合同開催、そこに外部ゲストとして、茶々パレードさんを呼んでいる。

 茶々パレードさんとは、京都を中心に活動される2人組のアイドルさん。たしか、私より年齢が5つほど上だった気がする。

 そんな茶々パレードさんも、じわりじわりと界隈で知名度を上げてきているグループであるのも事実。

 茶々パレードさんを呼んだ理由は単純で、ミアシスのダンスコーチでもある山添さんが茶々パレードさんの振り付けを担当しているから。

 ライブゲストで悩んでいるときに山添さんから茶々パレードさんの推薦があった。

 もちろん、山添さんの推薦だけで決めたわけではない。

 田村さんが実際に茶々パレードさんのパフォーマンスを見て決めている。

 マジックホールに呼ぶゲストは基本的に田村さんが決めていて、パフォーマンスはもちろんなんだけど、それ以外の時間もどう過ごしているかも見ているらしい。

 その厳しい審査を経て、マジックライブのゲストを決めている。

 まぁ、それ以前に、茶々パレードさんとは別の現場で一緒になっているということも大きいかな。


 本当のことを隠しなが話をしていると、あっという間に予鈴が鳴る。

 ここからホームルームで伝達事項を伝えられ、あっという間に解散。そのまま終業式ということもあり、各々が体育館に移る。

 もちろん、体育館でクラスごとに分かれて、整列。9時から始まった終業式は、毎度聞くことが同じだから、私の頭からは早々に抜けていき、ちょっとした仮眠時間へと早変わり。

 最近は、ミアシスの活動も、事務所の経理のバイトも忙しくなって、3時に寝ることになったり、立ちながら寝たりすることもできるようになった。

 もちろん、目を開けながらっていうのはさすがにまだ無理だけど、列の中盤にいる私はバレることはないと思っている。

 そんな私はどうも立ちながら寝ていたみたいで、話はなにひとつ聞かない状態で、終業式は終わり、寝ぼけた頭のまま教室に戻り、終業式が終わってからの予定表をもらい、ろくに見ずにカバンの中へ。

 私の寝ぼけている頭は、ワンマンライブのことでいっぱい。行程を思い出しながら、誰がどの準備をするのかぼんやりと考えている。


「美桜、マジホ行かんでええの?」


 菜乃葉に声をかけられて気づいた。

 周りはほとんど立ち上がって帰ろうとしていた。


「あぁ、ありがとう。全然気づいてなかったよ。終業式でずっと寝ていたから、頭働いてないわ」

「そんなことしとったん?ようバレへんかったな」

「最近忙しすぎて、寝る時間が足りてないからね。立ちながら寝ることを身につけたし」

「またわけわからんスキルを身につけて~。なにがしたいんよ」


 そんなこと言われてもね~。寝る間を惜しんでみんなを楽しませようと努力しているんだから許してほしい。


「それほど頑張っているって言ってほしいかな。菜乃葉がそんなことを言うんだったら、ライブ、適当にしちゃおうっかなぁ」

「待って、それだけは絶対にあかんで!うちほど楽しみにしてるファンなんかおらんやろ?」


 年度のほぼ初めから私の追っかけをしている菜乃葉。もちろん、菜乃葉以外にも、追っかけでついてきてくれるファンがいることも事実。

 そんな人たちを裏切るようなことは絶対にしない。なんなら、楽しんでもらうことに全力を注ぐ。

 それは、私の中のポリシーになりつつある。


「冗談だよ。とりあえず、リハだとか、準備は明日1日がかりで全部終わらせるつもりだし、今日1日は空いてるよ。こっちに来たってことは、カラオケのお誘い?」

「マジか。なんでわかんのよ」

「菜乃葉といえば、カラオケのイメージだから?そうじゃないとしても、ご飯だとか、服買いに行くとかだけど、今の気分は歌いたいんじゃない?」

「全部把握されてるんやけど……。こわっ」


 いやいや。菜乃葉はたいてい鼻歌歌っているんだもん。そういうときはだいたいカラオケに行きたいとき。鼻歌がやんでいると、カラオケ行ったあと、スマホ見ながら話しかけてきたら、見ているページによるけど、新しい服か新しい食べ物のお店かのどちらか。

 これほどわかりやすい人がいるものかと思ったくらい。


「とりあえず、誰と行くの?」

「えっとな、うちやろ、美桜やろ、唯香やろ、晴香の4人」


 いつもの3人に私か。それなら何時間歌うんだろう。それより、絶対ミアシスの歌はあったとしても歌わない。それだけは心に誓う。



 結局、お昼ご飯を適当に食べて、そこから4時間も歌って、少し声が枯れかけてきたころ、ようやく解放されて、夕食の食材を買って家に帰った。

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