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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
1年目
45/558

43:美桜さん、叫ぶ

 帰宅ラッシュとぶつかり、座れなかったけど、40分ほどで目的の駅に。駅に着いた頃には外は真っ暗。街灯だけが薄く照らす。

 駅から少しだけ歩いて少し大きな公園があり、中に入って少し歩いていくと、目の前に海が一望できるところに着いた。


「誰も何も知らないくせに!」


 気がついたら訳も分からず叫んでいた。溜まりに溜まった鬱憤がちょっとだけ出た気がした。

 それでも全く叫び足りないというのが本音。ストレスが溜まりつづけている。吐き出さないままだったらどうにかなっていたと思う。


「あぁ、ほんとむかつく!ふざけんな!なんで私だけこんな目にあわなきゃいけないの!」


 しばらくライブがないから何をしたってかまわないと思ってる。レコーディングも10月のうちに終ってるし、あとはPV撮影だけ。これもあと少しのところまで来てるらしく、あとはこの土日で全部撮るって言ってた。

 ちょっとくらい無理したって問題はない、はず。こうなれば思い切り叫んでやろう。


「誰も何も私のこと知らないくせに!ほんとにうざい!消え失せろ!」


 そう吐いた後、冷たい何かが頬を伝った。

 それが、自分の流した涙だということにしばらく気づけなかった。


 叫んだあとは近くにあったベンチに座ってただただボーっとして時間をつぶした。高速を走る車の音が少し聴こえ、電車が走る音がかろうじて聞こえてる。


 はぁ。なんでこんなことになったんだろうな。地元にいたままだったら、友だちといっぱい遊んで華の高校生活を楽しんでいたんだろうけど。

 ミアシスのオーディションなんか受けなきゃよかった。ミアシスのオーディションを受けたからこうなったんだ。

 私にとってミアシスって何だろう?

 特になりたいという強い思いもなかったし、なれたらいいなって感じだった。

 落ちることを前提に受けたはずなのに、なぜか受かって、こっちに来ることを決めた。なんでそうしちゃったんだろう。しかも、何もかもが素人なのに、リーダーって。田村さんは何がしたいんだろう。最近、そればっかりを悩むようになった。


 もう、どうかしちゃいそう。っていうか、もうどうかしてる。何もする気になれない。

 ……1回だけ踊ったりしたら、気分が変わったりするかな?そんなので変わったらほんとに何がしたいかわからなくなる。

 今日はもうこのまま帰ろう。で、明日はお休みをもらって、気分晴らしに泳ぎに行こう。気分変えても結局は落ち込んでる私に戻りそうだけど。

 とりあえず、帰って明日の準備でもしようかな。どうせ明日も学校なんだし。



 翌日。やっぱり、昨日と同じ紙が貼られていた。気にせず丸めてゴミ箱に入れた。

 その瞬間、教室の緊張感が解けたように感じた。

 もう、何を言っても変わらないし、ワーワー騒いだって仕方がない。逆に私がうるさいっていう風に思われる。

 それに、私もいつまでもこんなバカに付き合ってられない。

 そう思うと、自分の席に座っていつものように音楽を聴きながら、ミアシスのノートを広げて、レッスンで注意されたことをしばらく振り返った。


 しばらくさかのぼって読んでいると、頭に何か当たった感触がした。

 周りを見ると、私の左にくしゃくしゃに丸められた紙が落ちていた。

 拾い上げてシワを伸ばしてみるとやっぱり同じ自体で同じ文字が書かれていた。

 それを確認して、鋭い視線で周りを睨みつける。そして「誰?」と威嚇して言った。

 周りは何も答えない。


「誰がやったのって聞いてるの?答えられない理由があるの?私に言えない理由が」


 それでも周りは黙っているだけ。


「あっそ。ならいい。そんな態度とるんだったら、私ももっとそうしようかな。誰に何を言われても答えない。もっとこのクラスをめちゃくちゃにしてあげる。高校生活はなかった方がよかったと思わせるくらいにね!」


 そういうと、やっと誰かが「桧山たちだよ」とぼそっと言った。


「そう。誰か知らないけど、クラスの平和が守られたね」


 それだけ言うと、席を立ち、そのまま隣のクラスに無言のまま殴り込んだ。

 そして、彼女たちを見つけると、近づいて行って机を思いっきり倒した。

 机の中のものが散乱して周りに散らばる。それも気にせず上から土足のまま踏んづけて自分の教室に戻った。

 それでもまだ気分は全くすっきりしない。まだ暴れたりないくらい。


「ちょっと何?あんた頭ラリってるんとちゃう?」


 そう言いながら殴り込んできたメスゴリラ4匹。


「何が?やられたからやり返しただけだけど。何か気にくわないところがあったかしら?それとももっとかまってほしいの?気持ち悪っ。死んだらいいのに」

「なんなん?こいつ。マジで殺したいねんけど」

「どうぞ殺してみたら?さぞかし面白いことになるでしょうね。いじめていた女子生徒、やり返されて同級生を殺す。いいじゃない、新聞のタイトルには。ただ、未成年だから五年から九年の不定期刑と名誉棄損で何年刑務所に入ることになるでしょうね。就職もできないし、家族は殺人犯の家族と呼ばれるし、つらいのはどっちでしょうね?」

「てめぇ!ふざけんなよ!殺してやる!」


 そう言って持っていたカッターナイフの刃を出して私に切りかかってきた。それでも、私は避けることをしない。別のところを怪我したら避けた意味が無いから。


「お前ら!何をしとんねん!」


 そこに生徒指導で一番怖い中元先生が入ってきた。

 それでもカッターナイフを持った桧山の動きが止まることはない。

 振り下ろしてくると思っていたから、近くにあった小さなカバンを振り上げた。中にはお弁当が入ってるくらい。ただ自分をかばうには十分で、きれいにぶつかって、カッターナイフはカバンに刺さったまま机に『ゴン』と音を立てて、カバンは机に叩きつけられた。


「桧山!今すぐ生徒指導室に来い!お前ら4人もじゃ!山岡!2人離して連れていくから、中川を生徒指導室に連れていくの手伝ってくれ」


 教室の中をすごい声が走り抜ける。教室は、ドライアイスで固められたようにみんな動かない。そして、私は山岡くんに腕を掴まれ歩いていった。

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