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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
1年目
42/558

40:美桜さん、キレ散らかす

 メンバーが集まったスタジオでは、珍しく振り付けの練習は一切しなかった。ずっとミアシスの声が部屋の中を静かにさせなかった。

 そして、2時間話しっぱなしで、やっとボーカルもダンサーも納得できるセットリストが出来上がった。

 カモンミアシスから入ってフライトゥブルーバードと続けてカバー曲や盛り上げられそうな曲を並べる。そして、ダンサーのスタミナやボーカルのスタミナも最後まで全力で飛ばして魅せられるようになっている。


「じゃあ、これで明日の打ち合わせに通すから。一応、アンコールで、頭に持ってきたフライトゥブルーバードを入れてるけど、もしかしたら、途中に入ってる仮面舞踏会とかそよ風に変わることも考えられるから、それも頭に入れておいてよ」

「わかってるって。ほんなら、カバー曲の振り付けだけ確認しとくか」

「ならさ、私『ハロウィンマジック』やっておきたい。あの曲、テンポ速いくせに、めちゃくちゃ単語が詰まってるから振り付けを捨てて歌わないといけない。せっかく披露するんだから、完璧にしてライブしたい」

「だとよ。ほかにやりたいことあるか?」

「由佳は、ライブのセットリストを1からやりたい。ぶっ通しで」

「俺もそっちの方がええかもしれん。個人的に気になるところは個人でやればええやん」

「今日は亜稀羅も珍しくかみつくのね。なんかむかつく。まぁいっか。よし、セットリスト頭からしよう」


 そういうことで、さっき作り上げたセットリストを頭からぶっ通しで流して踊り、確認して歌った。

 久しぶりに気分良く踊った感想は、ものすごい気持ちい。ものすごくすっきりした。



 週末が明けて、月曜日。いつものような顔で学校に向かい、教室の椅子に座り、いつものように気ダルそうな表情で周りを見て、違和感がないことを確認して寝るふりをして週末のライブの音源を聞きだした。

 今回のカバー曲は歌がなかなか覚えられない。しかも、初めてのソロがあるから緊張もする。カバーしてくれる亜稀羅がいないから。自由にできるのはいいんだけど、どう自由にしようか悩むところ。

 しかも、私が歌うのは学校にいるときの私と似合わず可愛らしい曲。亜稀羅みたいにクールな曲がよかったんだけど、メンバーからイメチェンだの、由佳が一緒に踊るだの。いろいろ言われて押し切られた。

 仕方なしに覚えているけど、なかなか頭に入らない。一番嫌いなジャンルだし、子供向けな気もするし。なんなら、学校だから、聴くのが引けるくらい。

 あぁ、気分が乗らない。こんなのオッケーするんじゃなかった。今ごろ言っても仕方ないから覚えるしかないんだけど。


「ヤッホー美桜」


 部活を引退したというのに、それでも元気な菜乃葉。逆に一層元気になったように感じる。


「顔、やつれてるけど大丈夫?」


 もしかしたらそれも原因だったりするのかな?昨日も結構遅くまでいろいろ作業してたし。だって、寝たの3時だからね。


「それにしても、やっときまったんやね。どうなるんか心配したけど」

「まぁね。今回はメンバー全員納得したし大丈夫だと思う。前回みたいなことはしたくないし」

「ホームページを見てわかってるって。いつもと特典会の内容ちゃうもん。変わろうとみんな必死やって言うのが。楽しみにしてんで」


 菜乃葉はね、いつも楽しそうにしてくれるからそこが救い。

 菜乃葉のはしゃぎ具合を見てると、なんだか安心するのよね。

 まぁ、菜乃葉にいつ裏切られるかわからないけど。


「中川さん、ちょっといい?」


 出た、またこの4人組。


「何か用?ライブまであまり時間が無いから話しかけてほしくないんだけど」

「その割には彼女とはよく話すのね」

「正直に言おうか?この時期に話しかけられたらイライラする。特に、単独ライブの一週間前はね」


 菜乃葉がいる前で堂々と言った。たぶん、菜乃葉は目の前で言われてびっくりしているんだと思う。ただ、表情はいつもと変わらない。いつものウソの話としてとらえているのかもしれない。ただ、私が言った言葉は本当のこと。少しイライラしてる。菜乃葉は気づいてないと思うんだけど……。


「昨日の話の続き。さっき、彼に話を聞いたけど、向こうが嘘言ってるらしいんやけどどういうこと?」

「またその話?だから言ってるでしょ。私は恋愛に興味ないし、木曜日にも聞いたでしょ?あの音声。あいつから言ってきたの」

「彼がそんなことするわけないやん。ケータイのデータかて、簡単に編集できるしな」

「なら、当事者同士で話をしよう8。これで白黒着くはずよ」


 そう言った瞬間、視界の隅で逃げ出そうとする福島くんが見えた。


「福島、逃げるんのか?」


 ドスの効かせた声で呼び止める。その間も、周りで女たちがギャーギャー言ってるけど、黙らせる。


「うるさい。黙ってくれない?負け犬みたいにキャンキャン言わないでくれる?耳障りなの。わかる?四人一緒でしか動けないくせして。四人一緒にいれば強いと思ってるなら一人で来なさいよ。バカ犬が」


 吐き捨てるように放った言葉。私自身、今まで出したことのない低い声が出て、周りの視線を集中させる。


「福島、こっちに来い。話がある」


 この声も、キレていることがまるわかり。隣にいる菜乃葉でさえ氷のように固まってる。

 そして、福島くんは怯えながらもこっちに来る。

 これ以上私を怒らせると収拾がつかなくなることを感じたのだろうかわからないけど、とりあえず、私の怒りはマックス。

 周りが冷気で固められたようにシーンとする。


「本当にいい加減にしてくれない?マジで迷惑なの?わかる?フラれた腹いせか何か知らないけど、これでもやめないなら、私にだって考えはあるから。あなたたちもそうよ。次に絡んできたらただじゃ置かないから。アイドルだけど、性格が悪いって昨日言ったけど、あなたたちのほうがよっぽど性格悪いよ。気にくわないことがあれば突っかかって、そろそろ気付いたら?あなたの周りが敵だけってことに。先生たちですら嫌ってるらしいね。いつまでも好かれてると思ってるみたいだけど、みんな社交的、平等に接してるだけ。早くそれに気づいたら?」


 凍り付いた空気をたたき割るように、わざと周りに聞こえるように言い放つ。だけど、私が黙るとすぐに修復されて再び冷気の塊になる。


「これ以上騒ぐようだったら、嫌でも黙らせる手はずをとるから。わかったなら早くどこか行ってくれない?ただでさえ目障りなのに」


 そういうと、女四人はそれぞれ舌打ちをして教室から出ていった。


「福島、次つまんないこと言ったら私が知ってる秘密、全部外にばらまくからね。それでもいいなら喋っていいけど。で、あと一つ。すでに先生来てるから」

「福島くん、話は終わったかしら?」


 実をいうと、周りがそろそろっと動き出した時点で担任が来ていることはわかっていた。だけど、雰囲気を出させないほどの勢いでしゃべっていたから向こうも気付かなかった。たぶん、来てから五分は立っていたはず。完全に遅刻扱いね。いい気味だ。

 でも、もう少しプレスをかけても面白かったのかもしれない。もっとビビらせるくらいに。

 あっ、あとで新聞部のところに行こう。締め切りがいつなのか知りたい。

 ホームルームが終わり、写真部の元部長の林くんのところに行った。


「林くん、新聞部に写真渡すときって締め切りまでに渡すの?

「あ、あぁ、そうや。それがどうしたん?」

「いや、ちょっと気になって。ちなみに、締め切りっていつなの?」

「毎月15日やけど。っていうか、本人に聞けよ」

「クラス知らないし。っていうか、今まで興味なかったし」

「あっそ。それにしても、あの事件の時よりお前がこんなに怖いとはな」

「キレだしたらとことん怖いよ。誰にも止められないくらいね」

「無断で写真撮れば暴れ出すな」


 確実にね。それだけ返すと、自分の席に戻り、授業の準備をした。

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