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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
1年目
22/558

20:美桜さん、ブチギレる part 2

「それに、これが初めてじゃないんですよ!2週間前からずっと。部活終わりだとか、移動教室だとかいろんなところでシャッター音が聞こえるんですよ!本人は気づいてないと思いますが!」

「ま、まぁ中川さん、落ち着いて、抑えて」


 春川先生になだめられるけど、それでも私はお構いなし。


「抑えられます?毎日毎日無断で写真を撮られて。ほんとに我慢できなくて今日ここまで来たんですけど!」


 そんな私をよそに冷静に岡田先生は男子生徒に聞く。


「丸山君、なぜ無断で写真を撮ったんですか?」

「それは……校内紙の来月号のスクープで中川さんをメインにしようと決まったんです。最近、中川さんがミアシスというアイドル活動をしていることがうわさで広まりまして。で、記事にするにあたり、写真を撮ろうと」

「許可なく写真を撮ったということですか?」

「はい」


 素直な答えを聞いても、私の怒りが落ち着くことは無い。それに、初めてそんなことを知ったから、なおさら怒りが溜まる。

 いつ追加で噴火するかも分からない。抑えられるかどうかも分からない。たぶん、この子次第だろう。


「何で?」

「許可を求めても断られそうな雰囲気を出していたからです」

「だからと言って勝手に写真を撮ってもいいのですか?」

「あかんことはわかってたんですけど、締め切りが近くなって、撮れてないと部長にいろいろ言われてしまうんで」

「はぁ。中川さん、こういうことだ。またクラブには俺から言っておくから、今日は許してやってくれないか?」


 そんなこといって、はいそうですか。なんていって引きさがれるわけが無い。ここは交換条件を突きつけるしかないな。


「なら、私からひとついいですか?」

「無茶なお願い以外なら」

「今まで新聞部が撮りためた私の写真を先生立会いの下、全部データを消さしてください。私、許可した覚えがないんで。もし、私の写真が掲載がされてるときは、部活を休止にさせてください」

「そのときは考えよう。で、丸山、次やれば、部は活動休止だ。わかったな」

「はい」

「それはそうと中川。なんでアイドル活動をしていることを隠してたんだ?」

「話せば長くなりますがいいですか?」

「まぁ、聞くだけ聞こう」


 ここから、私の長話が始まる。


 私の出身は埼玉です。

 もともとアイドルなんて興味がなかったんですけど、たまたまパソコンの下に広告みたいなものが出てくるじゃないですか?気になってクリックして、中身を見たら昔の夢を思い出してしまって……。で、力試しに受けてみようって。力試しで受けるものじゃないのはわかってたんですけど、やるだけやってみようって。で、なぜか合格しちゃって、上阪しなきゃいけなくなって、学校どうしようってなって、通信制はバカになりそうで嫌だったから、事務所に近い全日制の商業高校にしたいって事務所にお願いを言ったんですね。

 そしたら、ここを紹介されて、マネージャーがいろいろ手続きを済ませてくれて。で、ここに転校してきたわけなんです。で、卒業するまで『バイト』で隠し通すつもりだったんですけど、まず、川島さんに事情を話して、そこから平穏な日々を送っていたんですけど、たまたまライブ会場にいたあの有名な女優の虹谷理恵さんにあって、写真を一緒に撮って、SNSで公開されたら爆発的に拡散されて、一気に時の人になって、学校の人に、まずクラスメートにバレて、誰が話したのかわからないですけど、爆発的に広がって、で、写真部が盗撮をしてこういうことになり、今という感じになります。



「そうか。実はな。生徒指導部の先生は全員知ってるんだよ」


 全部話し終えたあと、岡田先生は暴露してくる。

 ……えっ!なんでそれを先に言ってくれないの!


「びっくりしてるだろ。南先生がたまたま4月8日に梅田の風の広場でリリースイベントをしたんだろ?」


 あのとき、川島さんだけじゃなくて、ほかの先生もあの場にいたんだ。もう、誰が見ててもおかしくない。もう、この手の話は諦めるしかないな。


「たまたまそこに用事があって、行こうとしていた時、白い五人組が見えたんだよ。ここでライブは珍しいな。とか思いながらしばらく見入っていたんだけど、で、そのときはあまり気にしなかったんだけど、その翌日、中川さんがアルバイト申請書を取りに来たでしょ?そのときに昨日見た子に似てるなぁと思ったんだ。まぁ、あとで確認したら中川さんだったということだ」

「まぁ、慣れへん環境で頑張ってるみたいやし、やめなさいとは言わへんけど、ウソつくのはよくないよな?そこはこれから注意すること」

「なら、以上!丸山、今のことは書くなよ。あと、中川さんから話題を外すこと。それを部員に全員に伝えなさい」


 少し厳しく言う岡田先生は、「もう迷惑をかけるんじゃないぞ」と言わんばかりの目だった。


「はい」

「あっ、あと、ミアシスは一部時間だけ写真撮影オッケーになったから、プライベートでまた撮りに来てね。校内紙に載せたら肖像権でごちゃごちゃ言うけど」

「はい」


 さぁ、ものすごくすっきりした。このまま気分を上げて新しい曲の振り合わせに行こうよ。


「中川さん、すいませんでした」


 新聞部の丸山君が生徒指導室を出たところで謝ってきた。


「別に気にしなくていいよ。本当のことを言えば、別に記事にされてもよかった。だけど、先生と約束したから駄目よ。私が怒った理由は勝手に写真を撮られていたから。それだけは気を付けてよね。別に写真を撮りたいって言って、私は断らないと思うから」


 それじゃあね。また先輩に言っておいてよね。

 まだ取れない標準語で通用門を足早に出た。

 思ったより時間を取ってしまってスタジオに行くのがギリギリになってしまった。

 今日は先にボーカルが歌いきることが難しいところを振り付けしながらやってやろうと思ってたんだけど、あまりできなさそう……。


 あれから日にちが経ち、新聞部の生徒には全員伝わったのだろう。私を見るたび、すぅーっと逃げていく。そんなに怖くないはずなのになぁ。とか思いながら、逃げていく生徒を見てた。


「美桜、あんたなんかしたん?」


 ほとんど授業が被っている菜乃葉が聞いてきた。


「ちょっと揉めたくらい。手とかもちろん出してないから何でだろうって私も不思議なんだけど、何か知らない?」

「そんなん、言われてもわからへんわ。言うとくけど、うち、そこまで情報通とちゃうし」


 いろんなところから情報を持ってきてくれて、教えてくれるから、今回もそのノリで聞いてきたけど、何も情報は持ち合わせていないみたい。


「だよね~」

「もしかして、きつい口調で言い合ったとちゃうん?美桜、知らず知らずのうちに言葉遣いキツイ時あるから」

「そう?あんまり自覚ないけど。まぁ、無断で写真を撮られて、本気で追いかけて、キレながら生指の岡田先生に殴り込んだけど……」

「……。うん。イメージつく。絶対、それが原因やん。普段の学校の美桜のイメージで、そこからマジギレやろ?鬼でしかないで。蛇に睨まれた蛙みたいな。部活の時、岡田先生に聞いてみよかな。どんな勢いで生指に来たんか」


 パシャ。

 なんだか、後ろからだけど、聞き覚えのある音が……。またか。

 ここから声のトーンを落として菜乃葉に話す。


「菜乃葉って新聞部にとってもいい許可って出してる?」

「そんなん出すわけないやん。緊張すんのに。しかも、知らん人に撮られるん怖いし」

「だよね。菜乃葉って50メートル何秒だっけ?」

「うち?うちは9秒3。まさか」


 たぶんそう。そんなことは無いと思うんだけど、耳のいい私にはしっかり聞こえている。間違いない。


「うん。行ってくるね」

「授業に間に合わせや!」


 菜乃葉の叫ぶ声を背中にダッシュし始めた。

 足音を立てずに走るから、向こうはまだ気づいていない。それどころか、写真が取れて満足しているのか、下を向いてにやけている。

 そんなのだからあっという間に追いついた。後ろからラリアットのような感じで攻撃してもいいかなって思ったけど、あまりにも危ないし、逆に怒られたら、私がバカみたいだから止めた。そのまま声をかけた。


「ねぇ、きれいに撮れた?」


 声はアイドルらしく少し可愛めに、顔は真顔で。


「どうやら、私を盗撮してかなりご満悦みたいね」


 急に後ろから声をかけてきた私に驚いたのか、顔は引きつっていた。


「あっ、そ、それは……」

「二年生の高崎君ね。高崎君は何部なのかしら?正直に言わないと本気で怒るわよ」


 すでに本気のところはあるけど、怒るともっと怖いんだぞというところを先に覚えさせる。これ以上、怒れないんだけどね。しいていうなら感情を荒げるくらいかな。


「しゃ、写真部です」

「写真部ねぇ。高崎君はこの高校のルールはわかってるよね?その件で部長とお話がしたいわ。放課後に写真部の部室に行くから、話、通しておいてもらえる?じゃないと毎日部室に行くから」


 まぁ、写真部の部長の名前は同じクラスの子だからわかってるんだけどね。

 さぁ、なんとか話はつけた。今からダッシュすればまだ授業には間に合う。急いでいくか。

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