表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/529

15:ステージの確認

 2週間頑張ったご褒美に近いようなステージでのイベント。狭いところでしかできなかったから、ものすごくテンションが上がる。

 できることなら、カップリング曲は外して、ポップな曲ばかりでライブをして締めたかったなぁ。まぁ、いずれそんな日が来るんだろうけど。


「そしたら、ミーティングして、リハーサルと行きましょうか」


 それだけ言うと、円陣を組んで声を吐き出す準備をした。


「わかってると思うけど、デビューシングル〈そよ風に〉のリリースイベント最終日です。振り合わせの時にも翔稀が言ったけど、完璧にこなして成功して終わりましょう!行くよ!」

「っと、その前に」


 思い切り叫ぶ準備ができていたところにマネージャーがミーティングに参加してきた。


「俺から一つだけ。今日のイベントは今まで写真撮影とか一切NGだったけど、最終日の今日はファンサービスってことで、写真撮影だけイチブオッケーってことになりましたんでよろしくお願いします」


 おぉ。珍しいな。たしかに今までのイベントは撮影禁止で統一していた。なんの心変わりだろうか。


「イチブって、昼からのライブ全体ですか?それとも一部分って意味っすか?」

「おっと、そういえばそうだな。ライブから特典会に変わるときとか、リハーサルとか本番のフリートーク中とかだから、そこだけってことで。だから一部分だな」

「了解っす。知名度アップを狙ってるんすか?」

「それしかないだろ。オリエンタルライムはミアシスしかいないんだから」


 まぁ、そりゃそうだ。田村さんは、初めてあった頃に、「新規事業として」って言ったもん。詳しいことは分からないけど。


「そうっすよね。あっ、なら、リハと本番の間、ステージ下に降りてもいいっすか?ファンサービスとして」

「いいけど、調子に乗りすぎるなよ。中にはサービスを勘違いする奴がいるらしいから。やるんだったら、チラシ配りと写真撮影と握手。この3つだけ。それ以外はNGで。あと、誰にでも平等にいくこと。それさえ守ってくれたら大丈夫」


 ここはいつも通りにしたらいいということか。それなら問題は無いだろう。


「了解っす!ほないこか!」

「はいはい。行くよ!ゴーハイゴー!」

『ウィーアーミアシス!』


 そんなことで始まったリハーサル。リハーサルに使う曲はデビューシングルの2曲。あとはネタバレになるから、リハーサルなしのぶっつけ本番に。

 いつもと同じように、立ち位置をしっかりと確認してからリハーサルを始める。

 ステージの感触、声の伸び方、振りの柔らかさなど。ただ歌ったり踊ったりするんじゃなくて、水泳のアップみたいに丁寧に。



 それぞれ1番だけを歌って、リハーサルは終わり。あとは確認だけだけど、時間がもったいないから撮影のことだけ伝えようか。


「えーっと、そうしましたら、リハーサルはここまでです。あとは本番をお楽しみってことで、引き上げるんですけど、その前に、私たちミアシスもこのリハーサルで確認しておきたいことがいくつかあります。それを今からさせていただいて、13時からの本番にしたいと思ってます。で、今日はこのシングルのリリースイベント、最終日を迎えています。日頃の感謝っていうものあれなんですが、こういうフリートークや、ミアシスのメンバーが皆さんのお近くに伺うときとかこういうトークをしてる時だけ、写真撮影をオッケーにさせていただきます」


 きょとんとしてる方が多い。

 私たちに興味がないんだろうなと思いながら、話を進めていく。(一人でしゃべってるから余計に寂しい。)


「写真撮影に関して、少しだけ注意点があって、今はこうして私だけが喋ってますけど、こういうトークの時だとか、さっきも言いましたが、皆様のお近くに伺うときだけ写真撮影のみオッケーにしてます。写真はオッケーなんですけど、動画の撮影はご遠慮ください。そして、私たちを可憐に撮ったら『こういうグループがいたよ』みたいな感じでSNSとかにアップして拡散してください」


 勢いで言っちゃったけど、一応、舞台袖にいるマネージャーに顔を向ける。

 マネージャーは縦に首を振るだけ。どうやら大丈夫みたい。


「それじゃあ、ルールを守ってお楽しみください」


 ここからはミアシスで確認。マイクを離して近くいた翔稀と話した。


「感触は?」

「悪くねぇよ。沙良の言う通り、詰めれるところは詰めて、大きく見せるところは広がった方がいいな」

「立ち位置のマーキング、調整する?」

「ボーカル陣が必要ならすればいいし、いらんねんやったらせんでええんちゃう?ダンサー陣は感覚で行くし。亜稀羅と相談してきたら?」

「ダンサーはいらないのね」

「今あるやつに合わせるだけ」

「了解」


 翔稀と話した後は亜稀羅と話す。


「亜稀羅、翔稀が沙良の言ってた通りにするってさ。で、ポイントが若干変わってくるけど、マーキングしとく?」

「そう。ならあったほうがええんちゃう?それやったら感覚もうまいこと行くやろ」

「オッケー。それだけ。マネージャーに言って足してもらうね」


 それだけ確認すると、マネージャーのいる舞台袖に。


「すいません、色を変えてマーキングを足してもらっていいですか?」


 それだけ言って、沙良と翔稀の近くに行った。


「沙良、どれくらい大きく見せるつもり?それを聞いてなかったんだけど」

「そうやね。3列で2歩くらいとちゃうかな?それ以上行ったら、広がりすぎるやろうし。詰めるところは靴一足分でええ?」

「そうやな。それくらいがええんじゃねえか?1歩も詰めたらぶつかるぞ」

「それは俺の歩幅でいいのか?」

「はい。大丈夫っす。田村さんの足の幅で」


 そこから沙良と翔稀の言う通りにマネージャーが動いていく。


「こんなもんでいいか?」

「田村さん、完璧っすあざっす。なら、美桜、一回地声で軽く合わせて降りるか」

「どの部分歌えばいいの?」

「Aのサビでいいだろう。あれ、俺と美桜は横一列の隣だろ?そこだけ確認しようぜ」

「わかった」


 ってことで〈そよ風に〉のサビだけ歌って翔稀と距離の確認をした。


「サンキュ。これで行けるだろ。なら、ファンサービスに移るか。また喋ってくれよ」

「はいはい。たまには自分で話せばいいのに」

「だから何度も言ってんじゃねぇか。俺は話ベタだって」

「はいはい。わかったよ。言えばいいんでしょ、言えば」


 少しあきれながらマイクを構えた。


「そうしましたら、これでリハーサルは終わりです。本番が始まるまでの十分弱。皆様のもとへミアシスがお土産を持ってお伺いします。ちょっとでもお話ができたらなぁと思ってます。 そうしたら、以上!」

『ミアシスでした!ありがとうございました』


 最後を合わせていったんステージから降りた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ