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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
3年目
123/570

121:競技前の一コマ

「ただいま~!買うてきたで!スタートリスト。美桜の本命の宮武選手と大神選手は別の組やったわ」


 息を切らして戻ってきた沙良。ほんとに、レースは一瞬たりとも見逃すまいって言うくらいの勢いで帰ってきた。


「沙良、まだ開会式すら始まってないよ。もうちょっと落ち着けないの?」

「無理やわ。やっと生で観られるんやから。黙れって言われるほうが無理やわ」


 そうですか。とだけ沙良に向かって言って、私はスタートリストをもらって眺める。

 やっぱり、注目されている男子4フリは原田選手がセンター4レーンで、隣の5レーンには去年の日本選手権で優勝した大迫俊介選手。


「ここ、予選で2秒差やもんな。えらいレースになるやろうな」

「本当にね。正直に言って、レース展開はどうなるかわかんない。大迫選手が優勝する可能性も大いにあるからなおさらに」


 やっぱり、日本選手権は文字通り、すごい人たちが集まる。それだけでもすごいのに、こうやって力と力のぶつかり合いを間近で感じるのも、観戦者、いや、ヲタクからしたら幸せなことだ。

 そんなことを思いながら、競技が始まりそうな雰囲気を肌で感じながら、窓に張り付く。

 その横に翔稀たち4人も集まるものだから、なおさらに面白い。ただ、なにもないとわかると、翔稀も亜稀鑼も由佳も私服に着替えだす。

 そして、着替え終わった3人はまた戻って来て、場内を見ている。


「パフォーマンスの時よりもなんか広く感じるのは気のせいやろうか?上から見てた時よりも広いわ」

「たぶん、気のせいとちゃうんちゃう?」


 翔稀の問いに沙良が答える。


「ここから見たら横幅もあるし、下から見る場内よりも広く見えるんやと思うで。でも、こっからの迫力もええな。この仕事受けてよかったって思えるわ。なぁ、美桜」

「そうだね。私も隠しているけど、これ、ミアシスじゃなくってソロでこの仕事を受けていたら、興奮であれこれ動き回っていたかもしんない」


 正直、私が翔稀を保てているのは翔稀たちがいるおかげ。あるわけないけど、其れなら、本気でヤバかったと思う。

 というか、許されるのであれば、このプールサイドを全力で走りたい。

 ……田村さんと掛け合ってみて、〈Take your Marks〉と〈Go high GO Swimming〉のミュージックビデオを撮ってみたいよね。

 今からだとさすがに遅いかな?なんて思いながら、この迫力をしっかりと肌に感じ取らせる。


 私だけ、違う舞台を経験したことがあるけど、その興奮とはまた違う興奮。正直、たまらない。

 そんな空気をひしひしと感じながら場内を見つめる。


「本音は泣く姿を見たくないんだけどなぁ」


 ふいに零れたのは私の言葉みたい。沙良が隣で「せやね」とだけ言葉を漏らしたから。


「美桜は聞いてたかもしれてたかもしれんけど、思ってるんはあれやろ?スーパーマネージャーの伊藤さんの中学時代に経験した実体験の話しやろ?」

「まぁ、それもあるけど、やっぱり、この大会に賭けているんだからさ、どんな形であれ報われてほしいよね。って思ってさ。まぁ、私の戯言だけどさ」

「せやな。それに、うちらにとっては、夢のような世界やけど、気持ちはわかるよな」


 沙良は控え室から電光掲示板に視線を移す。


「こう見ると、ほんまに日本選手権を間近で見るることがことができるんよな。なんか感慨深いな」

「ほんま、沙良と美桜は水泳バカよな。そこまでアツくなるのがすごいわ」


 翔稀は私と沙良を見て、少しばかりのため息をついたけど、それでも、飲み物を少し含んだ後、また私たちの方にやってきた。


「悪かったな。水泳バカで。でも、これがうちらやからしゃあないで。たぶん、これから先も」

「やと思うわ。それに、沙良も美桜もそれぞれから水泳を取ったら、一気に個性がなくなるもんな」

「これがうちらやからな。本音は、ここで泳ぎたいんやけど」

「もう何回も言うてんで。美桜も沙良も。それほど憧れの場所やから、ムズムズするのはわかるんやけどな。くれぐれも暴れだすなよ」

「そんなことはせぇへんわ。ここまで来て。来たときはちょっと危なかったけど」


 私もそうなんだよね。打ち合わせで初めて来たとき、様々なところを隅から隅まで見てしまったけどさ……。

 さて。そろそろ準決勝の競技が始まる。悔し涙は見たくないけど、競技の性質上、仕方ないかと思う。

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