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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
3年目
120/569

118:2回目に向けて

「あっ、せやせや。さっき、めっちゃ足元が滑ってんけど。あれってどうにもならへん?」

「あぁ、そういえば、水が浮いていたね……。ただ、公式アップが終わった後だからね……。一応水は拭きとってくれてはいたみたいだけど、やっぱり完全には無理だと思う。滑るのが気になるなら、白い輪ゴムを探して靴にはめてみる?幾分かマシになると思うけど……」

「まぁ、ほんまはスイマーの場所やから、うちらのことなんか何一つ考えられてへんって言うのがデフォやしな。ダンサーには申し訳ないけど、我慢してもらうしかないかもしれんな」

「まぁ、普通はそうやな。とはいうものの、革靴やもんな。何かしら目立てへん形で対策はしたいな」

「さっき美桜が提案してくれたけど白い輪ゴムがあればやんな。やけど、そんなんなったら苦労はせぇへんし。今から探すのも、たぶん時間かかるやろうし」

「あきらめるしかなさそうやな。あぁ、裸足で踊りたい」

「裸足って……。足やけどすんで。滑り止めのマット敷いてんのに」


 ダンサーは完全に諦めモードか自棄モードに入っている。なにか解決策を出さないと、確実にこのあとのパフォーマンスタイムに影響が出る。どうにかしないと……。

 そんなことを思いながら、ミアシスのグッズが入っているスーツケースを開ける。なぜここにあるのか、私の衣装を入れていたって言うのもあるし、明日以降、呼ばれているライブに出て、そこでグッズも販売するから。

 ……ただ、まぁ、ないよね~。輪ゴムがあったとしても、おなじみのオレンジ色。しかも、かなり大きいもの。さすがに目立ってしまうし、私としても、あまり「やろう!」とは言う気になれない。


「足元はもうあきらめるか。ちょっと役員の人に頼み込むか。もう少し床を拭いてほしいって」

「あっ、拭くなら、うちらのタオルを貸そうか?美桜も持ってるやろ?セーム。少しでも水分を拭きとって滑らんように出来たらええやろ」


 スイマーらしい考えだこと。それでも、ダンサーのパフォーマンスが上がるならそれでやってみるか。

「オッケー。えっと、2枚あるわ。1枚使ってよ」

「ありがたい!うち、今回の遠征に限って1枚しか持ってきてなくてさ。というか、もう1枚乾かしていたものを忘れててさ」

「とりあえず、役員さんに話するしかないか」

「それやったら、俺が話しとくわ。交渉事は俺がやるから。で、美桜と沙良はそのせーむ?かなんかわからんけど、用意してもらえるか?」


 と、沙良の提案に淡々と物事が決まっていき、田村さんは風のように話し合いをかけにいった。


「ほんま、田村さんの行動力は見習うもんがあるよな。動こうとしたら、すでに終わってるか、進んでる状態やもん。美桜も大概速いけど、田村さんはけた違いやで、ほんまに」


 田村さんの背中を見届けた翔稀がポツリと呟いた。その言葉にみんな「うん」とうなずくだけだった。

 そこから数十分は、ただただボーっとする形に。というのも、ほかのメンバーから気になる点が上がらなかったから。というか、私も含めて緊張のし過ぎで、そこまで気にする余裕がなかったというのが本音。さすがに仕方ないか。と思いながら、時間はもうすぐ4時過ぎ。

 まだ時間はあるか。ここで少しお菓子でもつまもうかな。このタイミングを逃したら、決勝競技が終わる9時ころまで我慢することになりそうだし……。そうなるとどう頑張っても我慢できない。

 そんなことを思いながら、肩掛けカバンの中に手を伸ばし、朝に買っていたあんパンを取り出し、袋を開ける。


「もう食べるんかいな。さっき食べたばっかりやん」

「ここで少し口にしておかないと。レースの見過ぎで食べる時間を失いそうだからさ。それに、私と沙良は表彰式のプレゼンターもあるから、悠長に食べる暇もないし。そう考えたら、ここしかないかなって。そう考えたら、ここしかないかなって」

「そうか。沙良はどないするん?」

「うちもこのタイミングで少しもの入れるつもり。タイミングは違えど、美桜とやることは同じやし」

「そうか。ほんなら、ついでやし口にもの入れとくか。ほんでパフォーマンスに備えるか」

「オーライ」


 亜稀鑼は少し眠そうかな。由佳もちょっと眠そう。朝早かったというのもあるだろうし、遊菜ちゃんとはしゃぎすぎたっていうのもあるかな。


「美桜、沙良。ちょっと」


 話し合いから戻ってきた田村さんに私と沙良が呼ばれた。


「さっきの話やけど、向こうから、もう少し拭き取ってみるようにします。ってことやわ。やから、セレモニー前に自分らで確認してもらって、最終確認して、ほんで、まだ気になるようなら、あとはこっちでやるっていうたから。……それでよかったよな?」


 正直、これくらいしかならないよね。思っていた通りって感じ。あとは自分たちでどうにかするか。


「はい、それで十分です。まぁ、仕上げはうちらでやります。まぁ、ちょっと不思議な光景になるかもしれませんけどね」

「よし。それじゃあ着替えようか。まだ時間は先だけど、先に準備していつでも動けるように準備しておこうか」

「はーい」


 口々に答えると、私たちは男女別で更衣室に入り、衣装に着替える。

 田村さんが私たちのいない間に衣装にすっきりした香りの香料を振りかけていてくれたおかげか、気持ちを一度リセットさせることができた。

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