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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
3年目
118/568

116:お転婆娘

「……遊菜ちゃん。あからさますぎ。一瞬気づかなかったけどさ……」


 こういうと、握手する由佳の手が止まった。


「えっ……?」

「さっすが美桜ちゃん。観察眼、鋭いなぁ。メガネかけてたらごまかせると思ったのに」


 そういうと、かけていたメガネを外してにっこりする遊菜ちゃん。


「えっ、さっき言うてたスプリント超特急!?」


 由佳は派手に驚いてサインをせがまれたがために脇に挟んでいたペンとノートを落とした。無理もないよね……。握手している相手が噂のスプリント超特急なんだから。まぁ、フリーズするよね。沙良なら逆に大興奮なんだろうけど。


「で、私たちのことを待ち伏せしていたの?」

「そんなわけないやん。ご飯買いに行こうと思ってたら見かけたからさ。声をかけてちょっかいかけようって思ってさ」


 しばらく遊菜ちゃんと談笑をしていると、由佳が頭を抱え始めた。


「えっ、ほんまにスプリント超特急なん?由佳のイメージとまったくちゃうんやけど……」


 まぁ、そう言いたくなるのも無理はないよね。遊菜ちゃんはプライベートとレースの時とで顔が全く違うんだから。


「うちは普段がこうやで。レースとかタイム取りになるとさすがに集中するけどな。って言うかさ、今回の曲、ボーカル、亜稀鑼くんやないんやね。ビックリしたわ」

「最初は亜稀鑼で歌う予定だったんだけど、経験者の沙良と歌詞作ってるときに沙良が歌うほうが説得力あるんじゃない?ってなって、そうなった。って感じ。まぁ、提案した時は、沙良、相当嫌がってたけどね」

「そうなんや。……たしかに沙良ちゃんのSNSは半分ミアシスのこと、もう半分は競泳のことやもんね。うちの耳にも届いてんで。その熱愛っぷりは」


 そういえばそうだったな。沙良もSNSの半分は遊菜ちゃんの言う通り、競泳で溢れている。私も人の事言えないんだけどね……。


「恥ずかしいくらいよ。泳ぐ時間がないにもかかわらず、練習用のウェアもゴーグルもキャップも買ってさ。それは別に私も気にしないけどさ。ただ、買いすぎなんじゃない?って思うときすらあるのよね」

「ええんちゃう?うちもそういうほうが沙良ちゃんらしくてええなって思って肩の力が抜けるときもあるし。うちは意外と好きやで。メンバーの一面が見れんのは。あと、アクセサリーも紹介してくれるから、試してみようって思うこともあるし」

「……それならいいんだけど」

「で、今からお昼?それなら、うちも一緒になってええ?ちょっと客席で寝落ちしてたら、おいて行かれてさ。一人やねん。もちろん、二人がええっていうんやったらやねんけど」

「私は別に構わないけど、由佳は?」

「由佳も全然。イヤっていうわけないやん。めっちゃ可愛いし、ご飯食べるなら、花増えるやん?」


 おやじかよ。と思わず突っ込みたくなったけど、遊菜ちゃんがはしゃぐ姿を見て突っ込むのをやめた。


「で、美桜おねえちゃん、どこに行くつもりなん?」

「コンビニでお弁当買って、そこの公園でお花見しようと思ってるけど」

「それ、めっちゃええやん。晴れてるし、絶対気持ちええやん!はよ行こうや」


 なんか、由佳を二人連れてきた気分。この二人、テンションの波長が絶対一緒だ。


「おっ、美桜やん。由佳もおるし。先に行ったと思っとったわ。何してるん?」


 ここで翔稀と亜稀鑼が来た。すると、遊菜ちゃんの目がさらに輝いた。


「うそやん。メンバーが集まって来てる。うち、幸せもんや~」


 ちょっと発狂に近い気もするけど、無理もないか。ミアシスのファンだって私の前で公言してくれたもんね……。


「遊菜ちゃん、顔、とろけとる。なんか、やっぱりギャップがすごいわ……」


 由佳が若干引き気味なのは見なかったことにしよう。


「で、美桜、この子は?」

「あぁ、そうね。知らないよね。素顔を見てだけじゃ。さっき1バタに出ていた大神遊菜ちゃん。別名、スプリント超特急ね」

「別名って。うち、虫とかとちゃうんやけど……。まぁ、ええわ。えっと、スプリント超特急こと、大神遊菜です。ミアシスさんの大ファンで、なんか、幸せ感じてます」

「あぁ、さっき言うてた人か。レース、美桜の解説付きで見させてもらいました。めっちゃ速いですね。ビックリしました」


 翔稀から挨拶の握手を求められたとき、遊菜ちゃんはドキッとして「えへへ」と声を漏らしていた。意外とシャイなんだよね。遊菜ちゃん。


「また顔とろけとる。やっぱ、翔稀は女子をとろけさせるの得意やな。大神さんも虜になってんで」

「得意ってなんやねん。基本的に俺、笑いかけることしかしてへんねんから」

「はいはい」


 由佳が珍しく冷たくあしらった。珍しいな。こういうシーンを見るのは。


「それじゃあ、ここだと邪魔になるし、行くよ。翔稀も亜稀鑼も私たちと一緒に花見する?」

「あぁ、そういえば、昨日の公園、桜めっちゃきれいやったな。やる機会ないし行くか」


 翔稀はあっという間に乗り気になり、翔稀についていくだけのつもりだった亜稀鑼も流されるように賛成に回り、結果5人でお花見に。沙良を呼んでもよかったんだろうけど、知り合いに会っているから邪魔はしたくないし、でも、呼ばないとあとでいろいろと言われるんだろうけど……。

 ということで、近くのコンビニでお弁当を買い、桜が咲き誇る公園で食事。


 スイマーとダンサーの異文化交流はいろいろ話が尽きない中、時間だけが過ぎていく。それでも、新鮮で楽しい。これに尽きる。

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