表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
3年目
114/566

112:予選競技

「由佳?どう?準備できた?」

「もうちょっと。髪飾りだけ。ただ、やっと沙良お姉ちゃんがワンピースで来た理由がわかったわ。着替えをスムーズにしたかったんや」

「えっ、今日、沙良、ワンピースなの?」


 一瞬過ぎて服装まで見れていなかった。それほど競技を見たいのか。そんなことを思いながら、由佳が準備をする様子を見ていた。


「ごめん、お待たせ」


 そういった由佳は、Tシャツにジーンズとラフな姿。私と似てるか。そんな由佳を連れて外に出て、亜稀鑼と翔稀と合流する。


「お待たせ。それじゃあ行こうか。あと、先に言っとくけど、私も興奮して話にならないときあるからそれだけごめんって先に言っておくよ」

「わかりきってることやろ。ただ、沙良よりましやって」


 まぁ、それもそうか。とりあえず、スタンドに上がって、観戦しよう。


『ただいまより第94回日本選手権水泳競技大会、競泳競技、1日目の予選競技を行います。プログラム1番女子100メートルバタフライ、予選一組の競技を行います』


 スタンドに着いたと同時に響く美祢さんの声。さっきとうってかわって、機械みたいな冷たい声。これがプロなんだろうな。そう思いながら、場内のスタート側を見る。

 すでに泳ぐ準備ができている4人。1組は4人で競技か。


「こんなに広いのに4人だけ?」


 亜稀鑼が不思議そうな声で聴いてくる。


「予選はエントリータイムが遅い順に組まれることのほうが多いはずだから、レースが進むにつれて、エントリータイムが速くなる。もちろん、正式タイムがいるからごまかしはほとんどできないけど、正式タイムを出してから練習の量でタイムがガラッと変わるから、私はあてにしてないけど、編成上はこういうことになるのよね。で、プログラムがないから何とも言えないけど、たぶん、こういう大きなレースって、8人ずつで組んでるけど、一番最初と、そのあとくらいは端数になるってこと。あと、棄権者が出ない限り、1人では泳ぐことはないから、どうしても端数になることのほうが多いよね。ただ、遅い順だからって侮れないよ。驚くようなタイムで泳ぐ選手もいるし」

「簡単に言えば、エントリータイムの速い順に組んで、ひっくり返すってことでええんか?」

「あぁ、そうだね。説明がくどかったね」


 そう返すと、笛が鳴って、場内が少しざわつきだす。そして「テイクユアーマークス」と聞こえた。その瞬間、私の身体も一瞬強張ったのが自分でもわかった。

 やっぱり、この瞬間だけは現役から離れても慣れない。そう思っていると、甲高い音が鳴って水中に飛び込む音が聞こえる。ちょうどレースが始まった。


「う~ん、やっぱり、しぶきもないし、なにより15メートルまでが早い。あの人たちのドルフィンどうなってるのか見てみたいな」

「美桜、すでにヲタク全開やぞ」

「そんなこと言われても無理。もう止めらんないよ」

「ってかさ、なんで15メートルってすぐわかるん?」

「あっ、えっとね。レーンを区切るコースロープあるでしょ?で、両端の赤いところが5メートルライン、そこからちょっと行ったところに15メートルライン、真ん中の赤いところが25メートルラインになってるのよ。たぶん、昔はなかったはずなのよね。スタートとターンから潜水距離に制限はなかったはずだし。ただ、ほぼ50メートルバサロキックで行った人が優勝して15メートルって言う制限がかかったんじゃなかったかな。たしかそうだったと思う」

「コースロープひとつでも歴史あるんやな」


 すでにヲタクの一面が出てきているような気もしているけど、もう止められないし、気にならない。


「3レーンが8秒インしてきたか。後半をどこまで粘れるかってところかな。よくて2秒ないし1秒後半ってところか」

「っていうか、美桜姉、めっちゃ前のめりやん……。っていうか、専門家かよ。しかもなに?競泳やってる人って下1桁しか言わへんの?」

「あっ、慣れた人はね。スイマー同士で話すときは下一桁で伝わるから。沙良もたぶん、同じこと言うと思うよ。っと、言ってる間にフィニッシュか」


 ホント、誰目線なんだろう、私。自分で思ってしまう。

「っていうか。ゴールしたけど、マジで1分2秒やん。美桜って預言者か?」

「そんなわけないじゃん。単なる予想が当たっただけだよ。まっ、一応、去年のタイムは見てるからね。入りタイムがわかれば後半は予選しやすいよ。特にバッタは」

「バッタ?」

「あっ、えっと、バタフライの略称ね。言い方は人によるところはあるけど、自由形競技はフリー。平泳ぎはブレ、背泳ぎはバック、個人メドレーはアイエム。沙良曰く、関西の人はコンメって言う人が多いみたい。あとは~、今回はないけど、リレーも略称があって、例えば、400メートルリレーは距離の頭数字の4とつなぐ意味で継続の継を合わせて4継って呼んだり、メドレーリレーだったら、私は普通にメドレーって言うかな」


 あれだな。ちょっと言い方を考えないといけないな。ポロポロと出てくるスイマー用語だと、まったく通じない。


「多いな。そんなに言い方あるんや」

「距離の数字が付くとさらに言い方が変わるけどね。ただ、基本的に言い方は変わらないかな。基本的にスイマーは私もそうなんだけど、数字が付くと後ろを2文字でまとめたいところはあるけど」

「もう、ますますわからんようになるわ」

「でも、慣れたらかっこよく言えるよ?」

「やと思うわ。そうでなくても、美桜の言い方がかっこええなって持ったもん」


『続いて3組の競技を行います』


 たんたんと進んでいく競技。高校の時でもここまでスムーズに行った記憶が薄いんだけど……。

 それとも、選手がみんな慣れているからって言うのもあるんだろうな。そんなことを思いながら、スタート台に立つ8人の選手を見ていた。

ここからどっぷり競泳のレースを見ていきます。

まぁ、美桜さんはレースをずっと楽しむようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ