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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
3年目
109/563

107:リハーサル終わり

「オッケー。行こうや!」


 大丈夫そうね。集中もできてるように感じる。それじゃあ、私も集中しなおして、最後のリハーサルと行こうか。

 時間的にも最後になったリハーサルは沙良がなんとか持ち直し、音響、聞こえ方もちゃんと確認できた。あとは本番を待つだけ。そんな感じかな。


「美祢さん、どうだろうか?こんなものか?」

「そうですね。時間もぴったりです。あとは当日ですね。初の試みなんだうまくいくかどうか」


 私たちが本部の近くまで行くと、美祢さんと長谷部さんが話していた。そんな二人に私から話しかける。


「ありがとうございます。私たちもあとは本番を待つって感じですかね」

「そうね。選手がいいパフォーマンスを見せられるようないい歌だもの。絶対に応援できるようなパフォーマンスになるわ。よろしくね」


 美祢さんからほめてもらえた。こういう通告の人って、どんな時でも冷たいイメージがあるんだけど、イメージとは違って優しいんだ。そんなことを思いながら「明日もよろしくお願いします」と一礼して部屋の中に入っていく。


「思った通り、音ズレがなくなったわ。声もちゃんと音に乗ってる。イヤモニせんくても、ほとんど問題ないんやろうけど、したほうがきれいやわ」


 中に入ると早々、田村さんから一言。やってる本人からじゃ気づかないところ。こうやってちゃんと指摘とかアドバイスをしてくれるから、私たちとしてはものすごいありがたい。


「ほんなら、あとは明日に備えるだけやな。石塚さん、長谷部さん、美祢さん、本日はお疲れのところありがとうございました。明日もどうぞよろしくお願いいたします」

「いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします」


 田村さんと石塚さんがあいさつしたのを見て私もあわてて頭を下げる。それにつられたのか、メンバーも頭を下げたのがわかった。


「本当に、丁寧で礼儀のいい人たちですね。ちゃんと教育が行き届いていますね。社長さんがしっかりした人だからでしょうか?」

「僕なんてまだまだですよ。でも、そう言っていただけて光栄です。それでは、私たちはお先に撤収させていただきます」

「はい、お疲れ様です。明日もよろしくお願いいたします」


 そういうと、田村さんは先に本部室から出た。いつもはしない姿に目をとられていたけど、ハッとしてメンバーに声をかけて着替えさせる。

 さぁ、やるだけのことはやった。あとは本番でどう傾くか。本音を言えば、完璧にやり切って、応援できるようなパフォーマンスにしたい。

 すべては明日。明日にすべてかかっている。


「ま~た難しいこと考えてるやろ。顔、険しなってんで」


 さっきまでガチガチだった沙良に声をかけられ、またハッとする。

 ……そうよね。ここまで来てしまったら、どう転ぼうと、やることを全力でやるしかないよね。


「ごめん。なんか考えこんじゃうね。進退がかかってるならなおさらに」

「まぁ、進退かかってるのもそうやろうけど、ほかにも考えてることあるんちゃうん?それくらいの顔はしとったで」

「そう?今はほかのことまで考えてる余裕はないんだけどな。まぁ、余裕があったらやってるかもしれないね。とりあえず、今は明日のことしか考えてない。なんせ、はじめてのことだし、うまくいくとは言い切れないし。それだけが今は怖い」

「まぁ、わからんでもないけど、ただ、うちは人の心配してる場合とちゃうし、なんなら、美桜にはいつも通りでいてくれんと、うちがどうなるかわからんし」


 まぁ、それもそうか。考えていても仕方ないもんね。私は私らしくいつも通りしていればいいか。そのほうがメンバーも安心するだろうし。

 そんなことを思いながら着替えて男子と田村さんと合流して水泳場を後にする。


「あとは明日やな」


 近くのホテルに向かうまでに田村さんが一言放つ。そのすぐ後ろを歩いていた沙良の背中がビクッと伸びた気が後ろから見ていてした。


「そうっすね。田村さんの夢やった全国デビューがもう目の前まで来ましたからね」

「俺の夢とちゃうわ。オリエンタルライムとしての夢やわ。明日も頼むな」


 独り言のように言うけど、しっかりと翔稀が返している。こういうシーンは田村さんでさえも緊張しているということ。あと、返答する翔稀は緊張もプレッシャーもなにも感じていない。

 こういうところでメンバーの性格が露骨に出る。よくも悪くも、そういったところがミアシスらしさかな。

 会場から15分くらい歩いて今日のホテルに。もちろん、男女分かれて部屋を取ってもらっている。普段なら、トリプルの部屋が取れるならトリプルの部屋を2部屋とって泊まるけど、トリプルの部屋がないときは、ダブルの部屋を2部屋、シングルの部屋を2部屋とって泊まる。

 こういうのはちょくちょくあって、私と田村さんが一人で泊まり、沙良由佳コンビ、亜稀鑼と翔稀のコンビで宿泊することが多い。今回もそのパターン。

 そして、チェックインしてもらった田村さんからルームキーを受け取って自分の部屋に行く。

 ここまで来たら、ようやく張りっぱなしだった気を緩めることができる。

 そんなことを思いながらぺたんと言ったようにベッドに倒れこむ。そして、寝返りを打って、天井を見上げる。

 そういえば、中身の濃いあっという間の2年だったな。


 なんせ、去年は普通のアイドルなら経験することのないだろう、サポートメンバーで活動させてもらったうえに、1万5千人規模での全国ツアーも回らせてもらった。2年でここまでやらせてもらえるなんて思いもしなかった。なんなら、まだまだ地道に活動しているんだろうな。とも思っていた。


 そして、明日はミアシスにとって勝負の日。ここでミアシスの運命が決まるだろうなって勝手に思っている。……とりあえず、考えていても仕方ないし、お風呂入って早いけど寝ちゃおうっと。

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