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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第四章・魔王vs勇者

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12 結末

苦渋の決断。

ニガルズに震える手を伸ばす。


だがその手はニガルズの横にいた魔人に止められた。


「ニガルズ様にはまだ役目がございます」

「力不足とは思いますがお願いします」

「使うなら私たちを……」


補佐の3人がこちらをみる。そして俺はその真剣な瞳を見て歯を食いしばり声を掛ける。


そして『魔眼』で視た名を呼ぶ。


「タムズ、ベリト、サタナキア……ありがとう」

俺の言葉に頭を下げる三人。


そして俺は初めて『眷属融合』を使った。

三人が俺自身に溶け込むようにして消える。


そして力が溢れ出る感覚に溺れそうになる。内からあふれ出る強烈な破壊衝動。今すぐ誰でも良いから嬲り殺したい……そんな欲求を抑え込み、未だこちらを睨みつけている4人へ飛び掛かる。


先ほどから砕けた刃を魔力で補い切りつけてくる直樹も、俺の一撃で魔力の刃ごと叩き伏せる。

地面に打ち付けた直樹の首をそのまま抑え、ごきりと音がするまで締め付けた。茉莉亜まりあがいる……多少湧き出る衝動に身を任せつつも行動不能にすることを一番に考える。


もう躊躇している余裕はない。

甘い考えでこの機を逃せば、俺と融合した三人に顔向けできない。


俺は魔法の袋から拘束具を出すと直樹の首へと装着した。

そしてそれは光を放ち、直樹の全身を締め付けるように巻き付いてゆく。直樹はピクリともしなかった。胸が締め付けられ心臓が爆発するのではないかと思うぐらい脈打つ。


次は順平か。

俺に向かって飛んできた多重に重ねられた雷撃を拳で全て破壊する。

『神速』により背後に回り込み、頭を叩きつけ、ガハッと血を吐きながら声をあげる順平の肩口を踏みつけ、ボキリと嫌な音を聞く。


それでも抵抗しようともがいている順平に拘束具を装着する。

暴れているがその場から逃げられそうにないようだ。


後二人……

早苗と加奈子は先ほどと同じように固まって俺を迎え撃つようだ。


先ほどより色濃い『結界』をそこら中にばらまきながら、おそらく『ホーリーライト』であろう光も放っている。確かに多少なりとも力が抜かれるように感じるが、それは微々たるものだと感じてしまう。

加奈子の方は先ほどよりも大きな砲台のようなものを無数に生成したようで、それらを一斉に発射してきていた。


すでに二人は拘束した。だが手を緩めて逃げられてしまえばまた面倒になる。

俺はその攻撃に構わず突込み魔力を頼りに二人の首を左右の手でつかむ。そしてそのまま地面へ叩きつけた。我ながら酷い奴だと思ってしまう。いい加減逃げ出したいがここで手を緩める訳にはいかない。


もう一度首を持ったまま上へ上げ、二人を地面へと叩きつけた。

血を吐き呻く二人を見ながら、震える手で拘束具を装着する。


これで終わりだ……

俺はくるぐると眩暈がしそうになる感覚に膝をつく。


「真司!」

「真司くん!」

真理と茉莉亜まりあが近づいてくるのが分かる。


俺は後ろへごろりと体を転がし吐き気をこらえていた。

そしておそらく融合した三人の力であろう何かが抜け落ちる感覚と共に少しだけ心が落ち着いてくる。だがそれと同時に3人の消えた魂を思い涙が溢れる。

近くまで走ってきた茉莉亜まりあからは回復の光が照らされ全身の痛みだけは和らぐのを感じた。


飛びついてきた真理に抱きしめられ少しだけ心が落ち着いた俺は、近くに転がされている早苗と加奈子のうめき声を聴き慌てて上半身を起こす。


「なあ!真理の『解放』であいつら元に戻せないか?」

俺はとっさに思ったことを口にする。


「じゃあやってみるか!」

一番に反応したエステマが、一番遠くですでに意識を取り戻してこちらに顔だけを向け、俺を睨んでいる直樹の元まで駆けていく。


そしてムンズと直樹の襟首を掴んで戻ってくる。

順平の方にはリザが向かって行った。


すでに意識を取り戻しボロボロの体で呻きながら、こちらを未だ睨み続ける4人をひとまとめに集める。


「なるべく狭い範囲で使うから……後はよろしくね!」

真理は4人に近づきながらリザの方を向いて後のことをお願いしていた。


そしてリザがふいっと視線をそらし、俺の方を向く……

いや、また俺かよ……


リザの視線に合わせてこちらを向いた真理の顔はすでに真っ赤であった。


「まあ、後は俺に任せろ……骨は拾ってやる」

俺も顔が赤くなるのを感じながらそう茶化した。


そして真理が4人を包み込むように『解放』を発動する。

その光に呻いていた4人であったが、暫くすると意識を取り戻したように周りをきょろきょろと見渡しはじめた。


「もう、大丈夫そうだな」

俺の声に戸惑っている4人を見て安堵する。


「俺は、俺たちは、何がどうなってるんだ……」

直樹の戸惑いを見て、あの状態の時の記憶は残っていないのだと感じた。


とりあえず洗脳は解けたのだろう。だが今はそんなことを考えている暇はない。俺は腕の中にいる真理を見ながら、あの瓶の蓋を片手で開けるのだった。


「男は度胸!」

前回の恥辱を思い出しつつも気合の言葉と共に口にそれを含み、真理に口づけして口内のそれを流し込んだ。


疲れもあってか目を瞑った俺はそのまま意識が飛びそうになるが、そんな俺を真理がパンパンと肩を叩いて目覚めさせる。


「やっぱ恥ずかしいわ」

俺は地面に寝そべり両手で顔を覆っている真理にそう話しかけると、真理も首だけうんうんと動かしていた。


「ねえ、ちょっと試したいこともあるんだけど?」

「ん?何をだ?やるならやったら良いんじゃないか?」

イザベラの唐突な言葉に首をかしげるが、やりたいことがあるならやったら良いのに、と思いイザベラにそのまま伝えた。


そしてイザベラが、4人の拘束を解いているエステマとリザの横で『超回復』で手当てしている茉莉亜まりあの元まで行くと、何やら耳打ちをしている。

その後、地面に手を置くイザベラを見ていると『輪廻の輪』により俺と融合して消えていった3人が蘇る。


いつもの様に少し透けた状態で人形のように無表情をしているが、どことなくいつもより色が濃いような気がした。そして茉莉亜まりあが再び『超回復』を使うと……3人が実体化しているように見える。


そして3人が自我を取り戻したように動き出し、自分の手のひらを確認したりして戸惑っている。


俺は戸惑いながら『魔眼』で確認すると3人が魔人族・アンデットとなっていることを確認する。今までイザベラが魂を蘇らせた存在は『魔眼』で見てもアンデットとしか記載がなかったからどうやら本当に蘇ったのだと感じた。

3人もまた活躍できると嬉しそうにニガルズに報告しながら俺にも頭を下げ笑顔を見せてくれた。


「イザベラ、ありがとう」

「たまたま何となく彷徨ってる魂が濃いなって思っただけよ」

ちょっと照れながら言うその姿に、こいつも結構ツンデレなんだなと思いつつニンマリと笑ってしまった。


「すげーなイザベラ!」

「そうですよね!私凄いですよね!エステマ様もやっと私の魅力に気づきました?あんな男やめて私と結婚しましょ!」

「おい、レイの悪口はやめろ!」

「あーん!エステマ様の照屋さん!」


迂闊にイザベラをほめてしまったエステマが絡まれているのを見ながら、茉莉亜まりあにも目をむけた。


茉莉亜まりあもありがとな」

茉莉亜まりあはにっこりと笑い、俺に近づくとそっと頭を撫でてくれた。こういうところが姉のようで照れてしまう。


「いや、それはやめてくれ。さすがに恥ずかしい」

さすがに頭を動かし手を避けていた。


ようやく終わった戦いに、心の底から安堵する。そして全身から力が抜け、身体を支えることができなくなる。


「真司くん?」

俺が倒れそうになったのを茉莉亜まりあが支えようと抱きつかれた。なんだか柔らかくて良い匂いするな……不意にそう思いながら、意識が薄れ俺は目の前が暗転した。


◆◇◆◇◆


それなりに見慣れた白い空間。

目の前には自称神と……泣きじゃくる幼女……こんな呼び出され方は初めてだと思いながらも、思ったことを口にする。


「自称神からロリコン犯罪者に転職したのか?」

『それは不敬すぎだよ?処すよ?』

こめかみに手をあてながら言い訳する自称神アイテール。


『この泣きじゃくってるのが私が作った分身、君たちの言うところの女神カリスだよ』

「なるほどな」

でも幼女を泣かしてることには変わらないだろ?と思っていたら頭がバシンと叩かれた感覚に、思わず「いてっ」と声が出た。


そして少し冷静になり周りを見ると、直樹たち4人もいるのに気付くが、当の4人はきょろきょろと周りを見渡し困惑しているようだった。


『さて、今日はまず真司くんには謝っておくよ。うちのカリスが世話をかけたね。ほら!カリスも謝んなさい!』

『うう……ごめん、なさい』

少し怒り顔の自称神と涙を拭きながら頭を下げる幼女神。まずは説明を聞きたい。


『この間、カリスが4人を召喚させたのは話したね。あっ四人も覚えているよね?カリスに呼び出されたのは』

「あ、ああ。俺たちも最初は覚えていなかったが、徐々にカリス様に会ってから神国に召喚されたのは、何となくだけど思い出したよ」

アイテールの言葉に直樹が返事を返す。


『で、結局たいした争いには成らなそうだったから、盛り上げようとカリスが強制的に魔王を倒すように神の呪いを付与して……後は体験したとおりさ……

そうそう、あとで4人にも操られていた時の記憶を戻すから、まあ適度に償っておいてよ』

4人が「そんなー」と抗議の声を口にしていた。


「お前な、直樹たち4人も被害者だろ。んで、元凶はやっぱりその女神のせいってことで良いんだな?」

『そうなんだけど、でも結局は私がちゃんと監視できていなかったのが原因なんだよね。許してほしいな』

頭を下げる神を見て、結局双方に人的被害は無かったのだと考え、ため息をつきつつ水に流すことにする。

どうせこの感情も見透かされてるだろうし一々口にはしないが……


『カリスが4人に直接関与しちゃったから、私もいい加減にしなさいと乗り込んだんだよ。さすがに呪いに神力を使い切ってたようで、鍵が脆くなってたから破壊して連れ出すころができたんだ。

神の直接関与は重大なルール違反だからね。暫くの間はまた修行の日々を過ごしてもらうよ』

「なるほどな」

『色々すまないね。そしてそこの4人も巻き込んでしまって悪かったね。今後は自由気ままに平和な異世界を、思う存分楽しんでほしいかな』

どうやら4人も俺と同じように色々諦めたのか、うなだれたまま黙っている。


『じゃあ、今後はカリスを手元に置いて監視するから安心してほしい。まあ1000年程度だけど、二人で一緒にこの世界を管理してるからさ』

「1000年か……長いな」

『人族にとっては長いかい?まあ、お詫びと言ってはなんだけど、君たちと、ついでに真理ちゃんと茉莉亜まりあちゃん、イザベラちゃんの寿命を少しだけ伸ばしておくからね。後は人生楽しんで……』

どうやら今日はそろそろお開きのようだ。寿命が少しのびるのはいいな。やっぱ長生きしたいからな。


「おっそうか!ありが、って待て!その少しってどれぐらいだ?まさか1000年とか言わないよな?おい!ちょっと!まっ……」


俺は神の返事を聞けぬまま暗転し、ガバリと体を起こした。

いよいよ次回、1時間後に最終回です。

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