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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第四章・魔王vs勇者

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07 説得

大勇者御一行が冒険者ギルドを去った後、俺はギルマスにまた来たとしても普通に対応するように命じる。


受付の者に影鼠かげねずみを潜ませ、次の来訪を待つことにした。


そして王国へ移動し、エステマにも大勇者の事を伝えることにした。


「魔眼をはじいた?」

「ああ。ものの見事に弾かれて、何も情報を得ることができなかった。4人まとめだったからスキルというより魔道具か何かだろう」

「で、見た目ではどうなんだ?」

「多分俺たちと同じぐらいの年齢だと思う。男女2人ずつで大勇者だろう見た目だったのは男だった」

「で、話はしたのか?」

「ああ。だが警戒されまくってすぐに転移で逃げられた。食堂に大穴開けてな……」

「そうか」

エステマが何やら考えているように顎に手をあてる。


「それと、あっちは俺が国民を洗脳してるって言ってるんだよな」

「なんだそれ。真司にそんなスキルがあったんだな。怖いわー俺も気を付けなきゃだなー。洗脳されちゃうー」

エステマが笑いながら茶化している。


「あるわけねーだろ!ったく!それも女神の神託なんだろうな。迷惑な話だ……」


俺の言葉にエステマが笑っていたが、すでに魔窟でもかなり深いところに潜ってるようだし……それに物足りなくなったら今度は4人で乱戦でもして、レベルを上げて行くのだろう。

何とか説き伏せられないものか……


「なあ、今度魔都で見かけたら俺を呼んでくれないか?俺と女性陣で今までの事を全部話したら、旨く行ったら仲間に引き込めるかもしれねーぞ?」

「危なくないか?」

「話を聞いた限りでは、ターゲットはお前だけみたいだからな。俺たちに危害を加える気は無いんじゃねーか?」

「たしかにそんな風に見えたが……じゃあ、まかせた」


そして話し合いはエステマに任せることを決め、次に大勇者一行が魔都の冒険者ギルドに現れたのはその翌日のことだった。

早すぎだろ……


御一行は昨日のギルドの食堂の修繕費を払いに来たと言う。

俺に確認の連絡が来たので「気にするな」と言っておくよう伝えた。


剣士の男、たぶん大勇者だろう直樹という男が、謝罪してから4人で魔窟へ潜って行ったそうだ。


そんな話をエステマに伝え、それと同時に真理とリザにも話を通しておく。

そしてその日の昼過ぎにはエステマと一緒に茉莉亜まりあ、イザベラがやってきて、そこに真理とリザも加わりいつでも話をできる態勢で待機していた。


俺も久しぶりの偽装の装備を身につけ、こっそりと食堂でコーヒーを飲みながら待機していた。

そして夕方、ついに御一行が戻ってきたのを確認、4人の方にエステマが動き出したのを見守っていた。



Side:真理


「よう」

エステマちゃんのそんな一言でその4人のパーティへ話かけて行く。


夕方の冒険者ギルド。

魔窟から戻ってきたであろう大勇者御一行に、軽い調子で右手を上げ声を掛けたエステマちゃんを見る4人の顔は、かなり戸惑っているように見えた。


「少し、話を聞いてくれないか?」

そう言いながらエステマちゃんはさらに4人に近づいてゆく。


「ああ。女王エステマ……様、でいいんだよな?元勇者の……」

戸惑いながらも剣を携えた男の子が返事を返す。多分あれが大勇者なのだろう。


「そうだ。俺はエステマ。不本意ながらもこの国の王をやってる。今も勇者のつもりなんだけどな」

「そうか。それは失礼。俺は、私は直樹と言います」

「ああ、言葉使いは普段通りでいいぞ?俺も元はやんちゃな下級貴族だ」

「それは、助かる」


たどたどしい顔合わせとなったが、なんとかエステマちゃんの誘導により、ギルドのエントランスに設置してある休憩所のテーブルへと4人を誘導することができた。


「さて、話を聞きたいんだが少し知り合いも混ぜて貰っていいか?」

「ああ、構わない」

エステマちゃんの言葉に直樹と言っていた男の子が許可を出す。


私はリザたちと一緒にそのテーブルまで足を運んだ。


「二人の聖女様と、そちらの方々は?」

「イザベラよ!イタリアからの召喚者で……エステマ様の大事な女よ!」

腰に手をあてそう言い放ったイザベラを見て、私とエステマちゃんは苦笑いだった。


「私はリザ。真理様の専属メイドです」

冷静に自己紹介をして頭を下げるリザに直樹くんも頭を下げていた。ちゃんと礼儀正しい子なんだけどね。逆にこの4人の方が女神に洗脳されてるんじゃないかと思ってしまう。


そして話し合いが始まった。


「俺は真司が人間から白い目で見られている時から見てきたが、悪い奴じゃないぞ?王国の危機を救ったし、今も人間と魔族との懸け橋になっている。そもそも洗脳なんて能力も持ってないしな!」

「では……女神が嘘を言っていると?」

少しだけこちらを睨みながら反論する直樹くん。


「そうなるな」

エステマちゃんの言葉に他の3人も少しだけ顔を歪ませていた。


「失礼ながら、あなた達もそう言うように魔王に洗脳されてるのでは?」

「俺たちが?」

「ああ」

「アイツ、真司に……ここにいる5人が洗脳されてるとでも?」

「そう言う事だって有りえるだろ?」

エステマちゃんが呆れてため息をついている。


「あーもうめんどくせーなー!スキルで俺たちも、そしてこの世界の人間全てを洗脳してるって言うのかよ!」

エステマちゃんがテーブルを叩きながら立ち上がり4人を睨みつけるが、それに反応するように3人が立ち上がりエステマちゃんを睨みつけていた。1人だけぽけーとしているようだが……


「全員とは言わないが、国を代表するような立場の者だけなら、洗脳することができないとは言い切れないだろ?」

直樹くんのその言葉に、どうやらエステマちゃんでは説得できないのだと思った。


「エステマちゃんはこの辺で」

そして私はエステマちゃんを手で制するようにして会話に入ってゆく。


「次は私のターンだよ!真司への冤罪は私が晴らしてあげる!」

直樹くんを指差しそう宣言する。私の秘策で絶対に納得させてあげるんだから!


「あんたは聖女だな。そこのあんたと……どっちが魔王の嫁だ?」

「ふふ。私が真司ちゃんのお嫁さんよ」

直樹くんの突然の質問に、私を差し置いてほほ笑みながら答える茉莉亜まりあお姉ちゃん。


「ちょっと!お姉ちゃん!こんな時にふざけないで!私が本当の真司のつ、つ……お嫁さんよ!」

「照れてる真理ちゃんも可愛いよー」

「もうっ!」

お姉ちゃんの言葉に顔がほてる。折角かっこよく決めたかったのに!


「じゃあその嫁さんがどう弁解するって言うんだ?」

もう一人の男の子がそう話しかけるので、私はその男の子にも視線を向け、ふふんと笑う。


「まずはこれを見てから言ってほしいな!じゃないと無様に吠え面かくことになっちゃうからね!」

そして魔法の袋から取り出したのは私の秘蔵の宝物、大量の新聞記事だった!


ドドンと取り出され、山のように詰まれたその新聞記事をバンバン叩きながら4人を見る。あまりの量にびっくりした表情を見せているようだ。これが私の愛の大きさだ!

ちなみにこの新聞記事は、専用の魔道具でひとつひとつ丁寧に魔力コーティング済みだ。さあ、存分に堪能するが良い!


「これが真司の全記録!これでも洗脳されてるっていうの!」

「すげーなこれ……」

直樹くんは新聞の山を唯々見ているようだ。横の男の子が新聞のひとつを手に取って驚きの声をあげている。


「日付順に並べてあるからね。ちゃんと読んで!これだけの出来事があったの!その全てが事実なの!洗脳されて書かされてる事かどうか、全部読んでから判断して!」

「いや待てって。多いよ。多すぎるよ」

直樹くんが戸惑っているようだ。その態度に少しだけすっきりする。


「それだけ真司はこの世界に来てからみんなに目の敵にされ、注目されてきたの!そして苦労して私のを救い出してくれたのよ!それなのに王国を救うために前の魔王を倒して、帝国との争いにも打ち勝って、何もかも守ったの!分かる?」

私は思わず興奮しながらその記事の山を再度バシバシしてしまう。私も力が上がっているから周りにもその音が高らかに響いている。コーティングしておいて本当に良かったと思う。


「苦労してきたのは分かった。頑張ったのだろう。だが今はどうだか分からない。苦労した分だけ恨みも募るのが人間じゃないのか……」

ああ言えばこう言う……私の中で直樹くんに殺意が目覚めた。


「ねえ。今みんなが平和に暮らしてるけど、真司くんの目的ってなんだろね?」

茉莉亜まりあお姉ちゃんが話に入ってくる。


「それは……ハーレムとか?」

直樹くんじゃない方がそう答える。ハーレム?何それ美味しいの?殺意の矛先が移動しそうだ。


「真司くんって、私が知る限りでは真理ちゃんとしかそういう感じになってないけど?」

「それは……」

私は茉莉亜まりあお姉ちゃんの言葉に「ふへっ」っと声が漏れそうになる。


駄目だよ?本当のことだけどちょっと恥ずかしいんだから。


「私は一度も口説かれたことないよー?結構自信あったんだけどー」

「ふふん!いくらお姉ちゃんが綺麗でも、真司は私にぞっこんだからね!」

また私を揶揄おうとしているであろう茉莉亜まりあお姉ちゃんの言葉に、気を取り直して腰に手をあてドヤってみるが、また顔がほてるのが分かる。


何を言っているんだ私は……


「じゃあその真理ちゃんを惚れさせるためにとか?」

「私、こっちに来る前から真司と付き合ってるけど!なんなら召喚の時は教室でまったり抱き合ってた最中だったからね!」

少し可笑しなテンションになりつつある私は、気付けば4人を指差し叫んでいた。もう今日は暑くてまいっちゃう。もうどうにでもなれーと思う。


何はともあれ、茉莉亜まりあお姉ちゃんのアシストもあって、もうこれで納得してくれるだろうと汗ばむ顔を手で扇ぎながら、4人の様子を見守った。


「でも、何かあるはずだ!」

直樹くんじゃないほうが机をバンと叩く。いい加減にしてほしい。


「じゃあ……真理ちゃんが『解放』してみたら良くなーい?」

「えっ?解放?」

お姉ちゃんの言葉に直樹くんが戸惑っている。そうか。解放か。


「そこの黙ってるポニテちゃん、貴女あなた、鑑定持ちでしょ?」

「それは……」

お姉ちゃんが後ろの気の強そうなポニーテールの女の子にそう話しかけている。


「た、確かに私は鑑定を持ってるわ……」

「だよねー、こっちを覗き見るような視線を感じてたからー。だったら解放がどんなスキルか分かるよね?」

そんな視線……私は分からなかったけどさすが茉莉亜まりあお姉ちゃんだね!


「あらゆる状態異常を解除するって能力だと思うけど、合ってるかな?」

「そうだよ!呪いだろうが洗脳だろうが!全部解除してあげるんだから!ってことで……後はよろしくね!」

鑑定持ちと言われた女の子の言葉に返事を返し、お姉ちゃんの意図を汲んだ私は、ちらちとリザの方を向いて後のことを任せることにした。


そしてこのギルドの建物程度を効果範囲として『解放』を全力で使った。


身体から急激に魔力が放出される。

絶対に納得させてみせると籠めれる限りの魔力を注ぎこんだ。久しぶりに虚脱感を感じながら遠のく意識の中、リザが少し嫌そうに顔を歪めているのを見て、笑いそうになった。


そして本当に「ふへへ」と声が漏れた気がすると感じた中、目の前が真っ黒になり全身の力が抜け落ちてゆく……

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