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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第四章・魔王vs勇者

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05 神厄

Side:真司


やっと終わった結婚式から2週間、平和な日々が続いている。


異世界に来てやっとの幸せなを噛み締める毎日が続いていた。


幸いなことに魔国内に多数ある小さな魔窟の周りにも順調に街並みが整備されてきたので、各地から人が押し寄せている状態だ。

その周りに大規模な農地を作り、魔人たちが開拓の手伝いをしながらも、各大陸の貧困層の人々なども受け入れている。


いずれはそう言った人たちも自分たちで考えながら新たな栽培方法や新品種などを作り、独立して豊かになってくれたら嬉しいと思っている。

この活動には王国や帝国からも多数の支援を受けており、スラム街の撤去などにも一役買ってくれているようだ。もちろん王国や帝国内でも同じように農地などを作ったりする支援はしている。

持ちつ持たれつというやつだ。


土木建築については魔人たちが居るので労働力に困ることは無い。移動手段も魔窟から出てくる竜種が順調に増えており、すでに大陸各地ををつなぐ移動の経路が出来上がっていた。

俺も少しづつ自由に時間を使えるような余裕ができている。とは言え、絶えず魔人や影鼠かげねずみなどから上がってくる情報を精査したりなんだりと、それなりに忙しい毎日を送っていた。


それでも週に一回は完全な休息日として一切仕事をしない日を作って、真理と街を散策したりすることができるようにもなった。

その日だけは真理と一緒に新商品の並ぶ露店で買い食いしたり、最近できた大劇場で歌やダンスを楽しんだりしている。


最近王国や魔国では、その劇場の他にもコントや落語のようなことを提供している劇場まで出始めた。どうやら茉莉亜まりあとイザベラが地球の文化を広めるようと頑張っているようだ。

今さっき露店で買った鯛焼きならぬ鉄砲魚焼きというものも、茉莉亜まりあのアイデアらしい。長く伸びた薄い鰭を模した部分がカリカリと香ばしく美味しい。


以前依頼で眷属化したっきり放置していた鉄砲魚の群れがいる池に、茉莉亜まりあを含めみんなで遊びに行ったことがあった。

その時に鉄砲魚に隊列を組ませてジャンプさせたりと、それなりに楽しい時間を過ごしたことがあったが、多分そこら辺からこれを閃いたのかもしれない。茉莉亜まりあたちもそれなりに異世界を謳歌しているようで良かったと思っている。


そんな中、少し敵意を持った視線に気づきそちらに視線を向けた。

その視線の先には少し強い魔力を持っているのが4人程見えたが、すぐに距離を取られてしまった。まあ未だに俺たちのことを敵視する者も多少なりともいるようなので、そのたぐいだろうと思う。


「ん?どうしたの真司」

「あ、いや、なんでもない。ちょっと視られてる感じがしてな。まあ気のせいかもしれないし……気にしないようにしとこうかな?」

「ふーん、あっ!次あれ食べよ!」

俺は次のターゲットと思われるがっつり丼物を指差しながら、俺をひっぱる真理に幸せを感じつつも先ほどの視線の主のことを考える。


それなりに強い魔力を持っているように思えた。最近は魔国の魔窟で活動している冒険者も増え、全体的に強者たちが増えてはきているが、その中でも上位に入るぐらいの魔力だと感じられた。

少しだけ不安ではあるが咄嗟のことに『魔眼』を使うことができなかったので、詳しくは分からないがまあ問題にならなければそれで良い。


せめてジョブだけでも見れていればとも思うが今はそれどころではない。

デートを続けるため満面の笑みで大盛りの肉が載った丼を注文する真理に倣うように、同じ丼を注文して近場にある席を確保した。


もう面倒事はこりごりだ。そう思いながら目の前の山盛りの肉丼に齧り付いた。


◆◇◆◇◆


『やあ、暫くぶりかな?元気にやってる?』

「まあ……ぼちぼちだな」

その日の夜。気付けばいつもの白い空間にいる。


「だが久しぶりだな。何かあったってことだよな」

『そうだね。最近は特に予定もなかったからね。寂しかったんだろうけど私も暇では無いから、そこは勘弁してほしいな』

何時もの口調に殺意が湧くが、それを飲み込みため息をつく。


『相変わらず魔王は冗談が通じないよね?』

「お前のその軽口がイラっとするんだ。仕方ないだろ?自覚が無いなら気を付けた方がいいぞ?」

『大丈夫だよ。私は最高神だし……それよりも時間が無いから話を進めるね?』

「はいはい。次は何が待ち構えてるんだ?ここ最近はやっと平和を謳歌し始めたとこだったんだけどな」

『そうだよね、なんかホントにごめんね』

急に頭を下げる自称神アイテールに嫌な予感しかしない。


「なんだよ気持ち悪い」

『娘がね、ちょっと無茶をしてしまってね』

「お前、結婚してたのか?」

『いや、そういうわけでは無いんだけど……女神カリスって知ってるかな?』

「ああ。聞いた事はある」

『あれは私が作り出した分身なんだよね。だから娘のようなものなんだ。ほんの数千年ほど前だけど少し管理を任せようとして作ってみたんだ』

数千年前って……時間の概念が違い過ぎる。


「へー。で?」

『デウルズ神国にね、神託を出しちゃってさ。どうやらちょっと面倒な感じの召喚をやっちゃったんだよね』

「なんだよ面倒な召喚って……何を召喚したんだよ」

やっぱり相当面倒なことに成るようだ。


『大勇者?』

「は?」

『大魔導士?』

「いや、ちょっと待てって。さらっと次に行く前に大勇者から教えてくれよ。なんだそのガキが考えたスゲー奴みたいなの……」

『じゃあ説明するね。大勇者なんだけど、2周目ぐらいの時に試しに作ってみたジョブなんだ……だけどスキルなんかがかなりぶっ壊れてるんだよね……』

ぶっ壊れとか何それ怖いだな。


そして2周目とか言う言葉にも何となく嫌な予感しかしない。

だが聞いておかないと不味いことに成りそうだと考えていると、それに反応してアイテールがうんうんうなづいていた。


「詳しく」

『この世界を最初に作った時は、中々調整がうまくいかなくてね。1回目は人族同士でドンパチ始めちゃってさ。気づけば世界が崩壊したんだよね。だからやり直し(リセット)したんだよ」

思わず告げられた世界の秘密に返事をできず戸惑ってしまう。


『まあ聞いてよ。反省を込めて2週目はうまく人族を導く存在としてある程度文明が進んだところで、大勇者というジョブを作って上手く制御させようと思ったんだよね』

その世界を制御できそうなぐらい面倒なのが召喚されたってことか……しかし今のこの世界は何周目なんだろうな。


『今は4週目だよ?』

さらっと言ったなこいつ……


『そしてその大勇者と一緒に大魔導士と大神官、そして大賢者を生まれさせたんだけどさ、結局は4人共その力におぼれて、その時は5年程度で大地が死滅して知的生命が絶滅しちゃったんだよ』

「なんだよそれ……4人で世界を壊せるもんなのか?」

『かなりチートにしっちゃったからね。もちろん悪いのは大勇者だけじゃないよ?他の3人も同様に素養が悪かったし、周りに群がった腐った貴族たちも利用しようと色々画策してたからね。仕方なかったんだよ?』

首をかしげて笑顔を見せるアイテール。殺意しか湧かない。


「その大勇者と大魔導士ってのが今回召喚されちゃったってことだろ?相当やばいんじゃねーのか?」

『そうだね、ついでに大神官と大賢者も揃っちゃったし……』

「……殴っていいか?」

勢ぞろいしてるじゃねーか!と全力で突っ込みを入れたい。


『殴って許してくれるならいいけどさ。どうせ痛みなんて感じないし……』

どうせ殴り損になるのだと握り締めた拳を下げ、落ち着くように深呼吸する。


「で、そいつらはどう動くんだ?」

『それがさ、カリスが何を思ったか知らないけど、魔王を倒せって神託出しちゃってるんだよ。この世界を洗脳している悪いやつだからって……あとすでに君と接触してるよ?魔都で視線感じたよね?』

今日のあれか……そうと分かっていたらすぐに捕まえて説教してやったのに……


『タイミングって大事だよね』

「くっそ腹立つな!」

我慢できず地面を何度か踏みしめる。


「その女神カリスってのはお前が作った分身だろ?そっちでなんとかしたらいいだろ?」

『それができたら苦労しないんだよ。すでに別人格だし……もちろん向こうに行ってみたけど部屋は鍵がかかってさ。入れてくれないんだよね……』

「どこの嫌われパパだよ……」

どうして所々人間味が見え隠れしてるのか、と何度目か分からないため息がばかりついてしまう。


『悲しいよねー』

「悲しいよねー、じゃねーよ!また俺の平和が脅かされるってのかよ!やってられねーな!」

『そこを何とか頼むよ、その召喚者は日本から来てるからね。同郷だろ?なんとかしてあげたいよね?説得してみてよ』

神が俺を拝み懇願している滑稽な風景に頭を抱える。


「そいつら女神の神託信じてちゃってるんだろ?説得とか無理じゃね?」

『それを何とかしないと……殺されちゃうよ?』

「お・ま・え・が!言うな!」

ちょっとイラつきすぎて酸欠しそうだった。意識だけの存在だから大丈夫そうだけど現実世界だとイラつき過ぎて血管切れてるんじゃなかろーか……


「ふー。血管切れそうだよ。じゃあその神託受けたってやつにお前が改めて別の神託出せばいいんじゃねーの?あれは間違いでしたーって感じで」

『それがね、神託は一度受けたら以後はその神と紐付きになっちゃうんだよ。その紐付きの対象者には他の神は手出しできないし、その紐付き由来で召喚された今回の4人にも同様に干渉ができないんだ』

以外に不便だな。役立たずじゃないか。


『ひどい言われようだね。泣いちゃうよ?』

「はー、実際そうだろうが。でも分かった。どの道やるしかないんだろ。んでその大勇者とかどうヤバいんだ?」

アイテールが顎に手をあて少し考えている。


『うーん、そろそろ時間切れが近いから手短に言うね。全員がそのジョブの強い資質を付与される。そして君と同じ成長促進の加護を持っていて、スキルも覚えまくりってところかな?』

ざっくりした説明だが分かりやすいとは思った。


「つまりは、勇者の素質がかなりある奴が凄い勢いで成長して、俺とは違ってスキルバンバン覚えちゃうって感じか?」

『正解』

「それが4人も?」

『大正解』

「はーもう俺帰るわ。頭痛くなってきた。何も考えたくないけど、なんとか説得する方向で頑張ってみるよ」

アイテールの説明にがっくりとうなだれる。本当に何も考えたくない。


『じゃあ、すまないけど任せたよ魔王様』

「うるせーよ」

そして視界が暗転する。


こうして俺は、じっとりと全身に汗をかきながら気怠さを感じながらも布団から体を起こした。

久しぶりの主人公登場会でした。

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