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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第四章・魔王vs勇者

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04 偵察

Side:直樹


翌朝、無事に目を覚ますことができホッとする。


フェリルさんに聞いてはいたがこんなに突然くるとは思っていなかったのでかなり焦った。死んでしまうこともあると聞いていたので、翌朝起きた時にはじっとりと汗をかいていた体を起こし、生きていることに安堵した。


どうやら魔力もしっかりと回復しているようだ。


朝食時に三人にその話をすると、順平は俺と同じように胡坐をかいたまま魔力放出しつづけたが、一向に枯渇することは無く、いい加減眠くなったタイミングで切り上げ寝てしまったようだ。

魔力も100程度増えたようで順平の持つ『魔素吸収』が羨ましいと思った。


加奈子と早苗は少し気持ちが悪くなったタイミングで止めて寝たようだ。それでも1時間ほどかかったようで、10分程度で枯渇した俺との差はなんだろうと首をかしげる。


フェリルさんにその話を振ると、おそらく俺が一気に魔力を使いすぎたのだろう言われてしまう。試しにその時と同じ量の魔力を使ってみると、加奈子が一気に使いすぎだと呆れられた。

そして自分が使った魔力はこれぐらいだと見せてくれたが、俺の半分以下の量だったのでやはり一気に魔力を放出しすぎらしい。急激に消費した魔力に止めるタイミングを誤ったのだろうという結論になった。

今後気を付けないと本当に死ぬとフェリルさんからも注意された。


そして魔王の話となりフェリルさんからあくまで噂なのでと前置きをされ、5000程度の能力値でさらに眷属たちにより底上げもされるのだと教えてくれた。

魔王に従っている勇者エステマについても3000程度だと噂されているようで、今のところ俺たちでは勝てそうにないと思える。

だがもしかしたら大げさに言っているだけの可能性もあるとも言っていた。だが万全を尽くすなら今はしっかりとレベルを上げ、実際に加奈子に『神眼』で視てもらった方が良いだろうと思った。


そんなことも話しつつも今日も訓練場に向かう。

フェリルさんたちを加えた6人で魔法を討ちあったりしながらの訓練となり、さらにレベルを上げつつ実践的な動きを体験したが、自分の急激な成長を感じられるほどドンドン動きが良くなってくるのが分かった。


能力値も順調に増え、さらには新たなスキルを覚えてゆく。

この調子なら近いうちに魔王にも打ち勝つことができるかもしれない。そう思いながら訓練を続け、3日後には少しだけ興奮する気持ちを抑えつつ、魔窟へと向かう準備を整えていた。


◆◇◆◇◆


2週間後、神都の魔窟で訓練を繰り返した俺たちは、能力値が概ね3000を超え、多数のスキルを覚えていた。

魔窟については最下層にたどり着くまで1週間もかからなかった。


俺と順平は元より、後衛職の早苗であってもすでにソロで無双できるぐらいになっていた。

早苗が『結界』を広げ魔物たちを一気に押しつぶす様は、付き添ったフェリルさんから見ても異常だと言われてしまう。


加奈子の方も、魔石と鉄の塊から作成したバズーカのような魔道具を複数周りに浮かべ、バンバン魔法の玉を放出して魔物たちを屠っていった。

魔法を放つより効率が良いようで一斉射撃だと俺でも対処に苦慮するほどの火力であった。


そして充分に修行を積んだと感じた俺たちは、遂に魔王を見に行くことを決めた。


さらには可能ならそこで倒してしまおうと言う話も出たが、今まで俺たちも漠然と魔王を倒せ!なんて言っていたが、実際にそんなことできるのだろうかと頭を悩ませることになる。

そもそも倒せる能力値だと分かったとしても、人を殺すことに抵抗がある。ましては同じ日本人だ。絶対に無理だと思ってしまう。せめてねじ伏せて悪さをしないように約束を取り付ける程度であれば何とか、というところだ。


その為には一度完膚なきまでに叩きのめし、それを勇者などに見せつけ、もう魔王に従う必要はないと思わせることが大事なのだと考えた。あとは俺たちが抑止力になれば滅多なことは起こさないだろうと……

その為にも魔王のステータスを視ないことには始まらない。出発を明日に決め、早々に布団に入り体を休めた。


いよいよ魔王を見ることができる。中々眠りに付けないまま、最悪三人を逃がすことを優先し、命を投げ出す覚悟も必要だとさらに思考の波に飲み込まれつつ、気付けば寝落ちしてしまったようだ。


翌朝、俺たちは魔国に向かうことをフェリルさんたちに相談し、竜便を使って王都に一泊してから魔国へ向かうことになった。

魔王の提供するサービスを利用するのも癪ではあるが、王都の様子も見ておきたいし空を飛ぶなら無用な警戒をされてしまうかもしれない。


初めての竜を見て、空の度に若干の興奮を覚えつつも王都へたどり着く。

街並みを眺めると人々の笑顔があふれているのが見える。ここも神国と何ら変わらない風に見える。あくまでもその中に魔族たちが紛れていなければの話であるが……


王国の街並みに溶け込むように複数の魔人がいるのを見て、どうしても眉間にしわが寄ってしまう。


「なあ、ちょっと聞きたいんだが、あれは魔人だろ?怖くは無いのか?」

「おっ?あんた他所から来たのかい?」

「あ、ああ。ちょっと神国から初めて王都に来たんだが……」

近くの屋台の売子に、売り物のクレープのようなものを買いながら話しかけ情報収集をしてみる。


「はは。南の島国だな。まだ向こうには魔人さんたちも行ってないのかい?」

「そうだな。見かけたことはないな」

「王国に来ている魔人はみんな魔国の王の眷属だからね。この街の発展に力を貸してくれているよ。下手に粗暴な冒険者より治安の維持に貢献してくれてるし、みんな助かってるんだぜ。

魔人だって獣人やドワーフ、エルフたちと変わらないんだから、この大陸ではそういった差別意識は好まれない。思想は色々だろうが、あんまり口に出さない方がいいと思うぜ」

「それはすまなかった。それなら良いんだ。色々ありがとうな」

売子の言葉に頭を下げつつ代金を払ってクレープもどきを受け取り、さらに少しだけ世間話をしてから3人の元に戻る。


そのクレープもどきはかなり美味しかった。というか普通にクレープだった。これも転生者、茉莉亜まりあという聖女のアイデアだという。知識チートもやってるのかよ。そう思いながらも食べきってしまう。


「しかし落ち着かないな」

順平が魔人を見ながらそう話す。


「そうだな。だが共存はしているようだ。だがいずれそれも変わるんだろ。気づいた時には支配され奴隷のように操られて……なんでこともあるのかもな」

俺の言葉に三人も嫌な顔をしてため息をついていた。


その後、露店をはしごしてお腹を満たし魔国までの竜便に乗り込み魔都へと上陸した。

王都と同じようににぎわっている。

そして魔人たちが王都より多く見かけるようだ。


「ねえ、ここにいる魔人の中で強いのだと2000前後あるよ?これ全部魔王の眷属なんだよね……普通の人間じゃ太刀打ちできないんじゃない?」

「そうだな……2000全ごなら少なくともコーディナルさんでも勝てないレベルだ」

魔国の魔人たちの強さに驚く。いずれこの全てと戦わなきゃならないかもしれない。


早速賑わった商店街を歩きながら街の人達に魔王の評判を聞くと一様に良い返事が返ってきた。その話だけを聞くと魔王はこの国の人達に随分慕われているようだ。

これが女神の言っていたという洗脳の力なのだろうか……


そこに多少の疑問を持ちつつも魔王がどこにいるのか聞いてみると、意外とすぐに見つけることができそうだった。

この時間なら聖女と共に街を散策してるのでは?と言っていた。なんでも今日は休息日らしく、休息日にはだいたい聖女と仲良く街中を散策しているようだと教えてもらう。


その言葉に従い4人で街中を端から探ってみた。


そしてすぐに屋台で仲良く飲み物を買っている、魔王と聖女と思われるカップルを見つけることができた。


「バレないように気を付けなきゃな」

そう言いながら4人で路地に隠れる。


「うげ!すごいね……」

加奈子が声をあげ路地の奥まで後ずさる。


その時、魔王がこちらをチラリと見たような気がして加奈子と同じように後ずさる。4人で顔を見合わせうなづくと、ゆっくりとその場を離れて行く。


かなりの距離を後退し、町はずれまでくると人並がまばらとなったのでようやく一息ついた。


「で、どうだった?」

「うーん、ヤバいかな?」

加奈子のその言葉にゴクリと喉が鳴る。


「平均で8000ぐらい?魔力は1万超えてた」

「げっ、やべーな」

今のままじゃとてもかなわない数字だ。それもさらに眷属により底上げされるというのだから震えがくる。


「あと隣の聖女、真理って子だけど、魔力以外は4000前後だけどさ……魔力2万とかやばくない?」

「は?」

「なんだよそれ……」

「ほへー」

なんで聖女の方が高い魔力なんだよと心の中でつっこみを入れつつさらに加奈子の話を聞く。


「で、スキルはどうなってるか見れたのか?」

「一応見たけど、詳細を見るほど余裕なかったよ?」

たしかに余裕はなさそうだったのは分かる。


「まあスキル名だけ確認できればいいんじゃないか?なんだかこっち見たような気もするし警戒しなくちゃな」

「やっぱそうだよね。私もやばいって思った!私たちと同じように加護もあったし。あと『魔軍』てのもあって多分魔族を眷属化するスキルじゃない?あとさ『魔眼』って言うの持ってた……他にも色々……覚えられなかったけど」

「そうか。短時間だったからな……」

どうやら本気でレベル上げしていかないと太刀打ちできそうにない。


『魔眼』とかあきらかにヤバイ感じのスキル名だ。


「聖女の方はどうだった?」

「うーん、さっき言った能力値以外だとスキルがいっぱいあったぐらいしか覚えてないかな?『結界』とか『回復』はあったけど他にもいっぱい……」

さすがに短時間では確認は無理だったようだ。


「まあ仕方ない。それより魔王が『魔眼』とかやばそうなの持ってるから、暫く接触しない方が良さそうだな」

「そうだな。俺たちの考えが甘かった。魔窟にもっと潜ってレベルアップしようぜ。それでもこっちは4人だからな。何とかなるだろ!」

俺の言葉に順平も賛同する。加奈子と早苗もうなづいた。


こうして、初めての魔王との遭遇は自分たちの力不足を実感する苦い経験となった。ただ、偶然にも帰り道で王都に寄った際に、王国の女王でもある勇者エステマと遭遇することができた。


勇者エステマは5000前後の能力値と数えきれないスキルを所持しているようだ。そして一緒にいた茉莉亜まりあという転生者であろう聖女も3000程度だったが『死者蘇生』や『超回復』といったスキルがあることが分かった。

他にも『祈祷』と言うバフを与えるスキルもあって、敵として対峙するなら警戒しなくてはいけない存在だと思ってしまう。


さらには生者というジョブの女性は2000前後だが『輪廻の輪』という死者を操るネクロマンサーのようなスキルを持っているという。得体のしれないスキルであるため警戒を強める必要がさらに増した。


こうして俺たちは沈んだ気持ちのまま神国へと帰り着いた。

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