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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第四章・魔王vs勇者

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03 修行

Side:直樹


異世界生活3日目。

朝食後に少し体を休めてからいよいよ訓練に入る。


魔導士フェリルさんと一緒に訓練場へと足を運ぶ。

そこで戦士長をしているコーディナルさんという男性を紹介された。


「君たちが勇者御一行様だね。私はコーディナル。一応城の兵士たちをまとめているのだが……私より強い人たちに教えることになるからちょっと緊張してしまうね」


そういうコーディナルさんは城の他の人達よりは高い魔力を持っているように見えるが、それでも俺たちよりは弱いことは分かる。だが実践経験などない俺たちには訓練が必要だと理解している。


「いえ、俺たちは喧嘩すらしたことのないので……素人として色々教えて頂けると助かります」

「喧嘩すら?君たちのいた世界は随分平和だったんだね。よし分かった!少しでも力になるようにフェリルと一緒に稽古するけど、手加減はしてくれよ?多分俺たちに強く当たられると死んでしまいそうだからね」

そんなことを言いながらコーディナルさんはハハハと笑っていた。笑い事ではないと思ってしまうのだが……


そして俺は昨日購入していた軽鎧と身につけ訓練用の木剣を渡される。どうやら今日はコーディナルさんに教えられながら基本の素振りをするようだ。

他の三人は昨日購入したローブを身につけ、順平はごつい杖、早苗と加奈子は魔力操作のできる腕輪と、フル装備でフェリルさんに魔法の使い方を習うようだ。


俺も後から魔法の使い方を習うようだが、まずは剣術の基礎を習った方が良いとこの日は半日、木剣を振り続け初めてのレベルアップも体験した。


ステータスを見ると力が20増え、素早さも10増えていた。そのことをコーディナルさんに報告すると、普通は一つの能力が5とか多くても10程度しか上がらないと言われたのでやっぱり加護が効いているのだと思った。

結局半日で力も200程度増え、スキルに『剣術』と『斬撃』というものが増えた。


それにより剣の動きがスムーズとなり、まるで時代劇のベテラン俳優さんのように自在に剣を操れるようになり、力をこめて剣を振ることで木剣から真空刃とでも言うような攻撃を飛ばすことができた。

最初に放った時に、丁度向かいあって構えていたコーディナルさんが必死に避けたためケガをすることはなかったが、後ろにあった魔法練習用の石の塊に大きな傷がついていたので少し怖くなった。


幸い意識をして『斬撃』を飛ばさないように制御することもできるようで、対人では使わないように気を付けようと思った。


他の三人も同様にすぐに魔法を覚え多様することで何度もレベルアップを経験し、スキルもいくつか覚えたようだ。


順平は魔力がどんどん増えているようで、『業火』と『雷神』と言う攻撃スキルや『魔素吸収』という周囲の魔素を吸収して使える便利なスキルも覚えた。

先ほどから『雷神』で地面に雷を落としまくって地面に大穴を開けていた。


早苗は『結界』と言う光の壁を作れるようになり、『回復』と『状態異常回復』と言うスキルも覚えた。試しに『結界』を素手でなくって見たら『結界』は砕け散ったものの、拳が激痛とともに津田彼になってしまう。

それを『回復』してもらうと暖かい光に包まれすぐに治ってしまう。

とは言え、傷つけば痛いのでなるべく『回復』を使わせないで済むようにしておきたいところだ。


加奈子は『物質融合』と『神眼』というスキルを覚えていた。物質融合は周りにある物質を組み合わせ変化させることのできるスキルであったようで、地面に手をあて何やら魔力を籠めると、様々な武具や魔道具を作り出していた。

すでに持っている『大賢者の理』により仕組みについてはなんとなく理解できると言うので、土から鉄などに物質変換して作り替えるようだが、残念ながらここの土では少し力を入れると壊れてしまうような物しかできないようだ。


もちろん素材がちゃんとした物なら強度のあるものも作成でき、魔石などを組み合わせることで魔道具として動くものが作れそうだと言っていた。これだけでも十分魔王に対抗できるのでは?と思ってしまう。


さらに『神眼』で相手のステータスが分かると言うので、試しにフェリルさんとコーディナルさんを視てみると、スキルや能力値の他に年齢や今のメンタルの状態なども視えるというので少し怖くなった。


「なあ、俺は加奈子に隠し事とかしてないからな……」

「順平はスキルなんて使わなくても、隠し事したらすぐに分かるけどね」

順平と加奈子の会話に仲が良いようでと茶化してみる。


「良かったな順平、加奈子ちゃんはお前のこと理解してくれてるってよ」

「そ、そうだな、ハハ……よかった」


順平の苦笑いを見ながら、結局その日は初日ということもありお開きとなった。

この時点で神都にある魔窟に行っても問題ないと言われたが、少し不安があるので2~3日程度、訓練に付き合ってほしいことをお願いし、昼食を取りに食堂へと戻ってゆく。


昼食を食べながらフェリルさんから最近の国外情報についての話が出た。


「魔国は竜などの空飛ぶ魔物を何匹も使って運送などを手掛けているようで、資金面でも潤っているようです。その為に迎合する商人たちも多く、いずれそれを足掛かりにしてこの国にも根をはり、何か仕掛けてくるのでしょう」

竜という言葉に少しだけ不安がよぎる。しかも何匹もというからには相当な数がいるのであろう。


「竜を……その竜はとんでもなく強い魔物なのでしょうか?」

「そうですね。上位の竜であれば多分コーディナル様でも単独で狩るのは難しいかもしれません。ワイバーンなどの下位の竜種なら倒せると言ってました。でも皆様達なら少し経てば単独でも上位の竜に勝てそうですけどね」

そう言いながら笑顔を見せてくれるフェリルさんに少し安心する。


俺たちなら少し頑張れば竜も倒せそうなのか。

だが魔王はその竜たちを多数従えている。という事はその何倍も強いのだろう。それに竜にのって移動できるのであればそれは凄いアドバンテージとなるだろう。油断できる相手ではない。


「魔王が竜に乗って突撃してきたら堪ったものでは無いですね……」

「そうなんですが、噂では魔王は空を飛ぶことができるのだとか……それに合わせて勇者エステマ含め、何人かの者は同じように空を飛べると聞いています。見たことは無いので誇張だと思っていますが……」

「空を?それは魔法で実現できるのですか?」

空を飛ぶという言葉に危機感を感じる反面、気持ちが高ぶってしまう。


「いえ、空を飛べるのは魔族の特権だけだと思います。少なくとも私は飛べません。試したことは無いですが……」

「魔族は飛べるのですか?」

「はい。魔族は昔から飛んでいるのが目撃されています。だから魔王がその力を勇者たちに分け与えたりしているのかもしれないと思っています」

「なるほど……」

フェリルさんの言葉に納得するものの少し考えてしまう。もしかしたら自分たちなら空も飛べるのではと……


「フェリルさん。午後から休憩のつもりでしたが、やっぱり少し訓練しても良いですか?」

「それはもちろん構いませんが……」


こうして、俺たちはまた訓練場に行って訓練を再開する。

まず始めたのはもちろん空を飛ぶことだ。



「おっ、おわっ!うおぉ!」

俺が空を飛ぶためにイメージを膨らませ体に魔力を纏わせることを考えると、少しだけ体が浮き上がりバランスを保つことができなくなり地面に転がることになった。


「ぷっ。直樹、何やってんのよ」

「あんなに無様に慌てる直樹もめずらしいからな!でもすげーよ、一瞬だけど浮いてたじゃん!」

加奈子と順平が俺を見て笑っている。


「あっ、できたよー」

地面に寝そべる俺が早苗の声を聞き顔を上げると、早苗が両手を軽く広げ目をつぶりながら少しだけ浮かび上がっている。


「おお!すげーな!俺もやってみるわ!」

「すごいよ早苗!私も私も!」

「でもこれ難しいかも。疲れちゃうからー」

盛り上がる二人と対照的にふーと息をはきながら地面へ足を着ける早苗。集中力が必要なのだろうか?


多分だが俺が午前中に剣術を習っていた反面、三人は魔法を習っていたわけで魔力の扱いになれているのだろう。順平と加奈子の二人が難なく宙に浮き、それなりに漂うことができているようだ。

正直羨ましいのだがこればかりは仕方がないと思い練習を繰り返す。


そして練習を繰り返す俺たちを、フェリルさんとコーディナルさんが驚きすぎて固まった表情をして、何を言わずにジッと眺めていた。


結局この日は夕方まで空を飛ぶ訓練のみとなり、順平と加奈子は自由に空を滑空することができ、早苗もそれなりに自由に飛ぶことができていた。俺は少し遅れぎみではあったが何とか飛び続けることはできるようになった。


そして4人共レベルも上がっており、魔力がそれなりに増えていた。

このことでやはり魔力を使うだけでもレベルは上がるのだと、改めて理解することができた。今日からは寝る前などにも魔力が尽きるぐらいまで使うことを考えていた。


後でフェリルさんから普通は魔法を使うだけだと魔力は上がるがレベルは上がらないと聞いた。普通は組手など相手がいて初めてレベルがあがるのだとか……やはり俺たちに加護があるからなのだろう。


夕食後、俺は他の三人を自室に集め話をした。

そして一度その真司という魔王を見に行こうと提案してみる。


「せっかく飛べるようになったんだし、まずは一回魔王ってやつを見に行ってみないか?」

「そうだな。いいんじゃないか?」

順平は乗り気のようだ。


「まだ早いんじゃない?」

加奈子の言葉に早苗も賛同するようにうなづいていた。


「まだ訓練を始めたばかりでしょ?もう少し慣れて魔窟でも実践。そしたら見に行ってみたらいいんじゃない?」

「うーん、俺たち結構強いみたいだし、もしかしたら簡単に倒せたりするかもしれないぞ?」

「それならいいけど、でも殺されたら終わりなんだよ?私たちはレベルがどんどん上がるみたいだし、もう少しレベル上げたら今の何倍も強くなれそうじゃない?それからでも遅くないでしょ!」

「そうだけどよ……」

どうやら順平では加奈子には勝てないようだ。


「フェリルさんに魔王のこと聞いてみたらー?」

「そうだな。まずはそれからか」

早苗の言葉に俺も他の二人も賛同する。まずは魔王たちの能力値が知ることができれば、俺たちも今後の動きを決めることができそうだ。


結局その日はそのまま寝ることになり、各自魔力を無理の無い程度で放出することを提案して話し合いは終了となった。

そして俺はその夜、床に胡坐をかいて座ると限界まで魔力を放出するようにしてみたが、途中で激しい眩暈を感じて初めての魔力枯渇という症状に陥り、慌てて布団まで這うとそのまま潜り込み気絶するように眠りについた。


――――――

新規取得スキル

――――――

田中直樹 ジョブ:大勇者

『剣術』剣捌きが自在に行える動きができる剣神の力

『斬撃』魔力を飛ばず斬撃を放てる剣神の力

――――――

武田順平 ジョブ:大魔導士

『業火』魔力をこめた強力な炎を放つ火の精霊の力

『雷神』魔力をこめた強力な雷撃を放つ光の精霊の力

『魔素吸収』周囲の魔素を吸収し無限の魔力を操る魔導の力

――――――

白田早苗 ジョブ:大神官

『結界』敵意を阻み身を守る光の精霊の力

『回復』治癒の光で他者の身と心をを癒す。

『状態異常回復』全ての状態異常を回復する光の精霊の力

――――――

黒木加奈子 ジョブ:大賢者

『物質融合』物質を融合し変化させる土の精霊の力

『神眼』相手のすべてを見抜き解析する神の瞳

――――――

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