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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第三章・魔王vs魔道

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13 結婚

「再び集まってくれたみんな、本当にありがとう!」

俺のそんな言葉で始まった結婚式。


前回同様おしゃれに決めているミーヤは俺の肩に、真理の周りにはグリとモモの妖精ズがふわふわと浮かんでいる。


前回は俺と真理で話し合って普通の軽めの結婚式を計画していたのだが、それが途中で邪魔されたためどうせならとリザやレイモンズに相談し、今回はこちらの世界に合わせた式となっている。


前回の会場となった大講堂は破壊されてしまったのだが、リンドライド率いる建築系魔人たちの尽力によりあっという間に再建してしまった。

その際にどうせならと今度は俺や真理、茉莉亜まりあとイザベラの意見を取り込み、地球の教会風に建てるようアイデアを出しあった。


元々教会に近い建物はあったのだが、この世界にはステンドグラスのようなものは無かったため、そのアイデアを話すとすぐに色付きガラスが完成した。

それを使って俺と真理の姿をかたどった大きな窓が、両サイドに嵌めこまれているのでかなり恥ずかしい。


そこは神様とか天使とか色々あるだろう?と思ったが、作った魔人たちが嬉しそうにその完成を俺に見せてくれたので、今更作り直しを命じることができなかった。真理の方はその出来に嬉しそうにしているのだから仕方ない。


天井もそのステンドグラスで覆うような形で光を多く取り込むように作られている。それでいて魔道具により強固に保護されているので、多少の攻撃にも耐えられるという。


他には蝋燭風の明かりの並ぶ魔道具が壁に設置されたり、ゴテゴテとした紋様をあしらった無駄に大きなテーブルなどが設置されている。


そして誰も弾くことのできない大きなパイプオルガン風の置物もある。

それがパープーパーというなんとなくな結婚式っぽい音楽だけは出るように改良された。茉莉亜まりあからの要望だった。茉莉亜まりあはそれを弾くのを楽しみにしていたので、今日もすでに何回かその少し間抜けな音が奏でられている。


まあ茉莉亜まりあが楽しいのなら良いのだろう。


さらに教会らしくベンチのような椅子を並べようと思ったのだが、そうすると式ができないとみんなに止められてしまう。


俺は「どういう事だ?」と聞いてみると、式ではみんなが集まり輪になる工程があるのだと、さらに詳しい式の内容を教えてもらった。

その後は「もっと詳しく説明してくれ」という俺の質問に、みんなが答える形でこの世界の一般的な結婚式を教えられ、文化の違いに唖然としてしまった。


そして予定通りに先ほどの宣言で式が始まったのだが、まずは宴会から始まるというのでさらに俺は台本通りの言葉をつなげる。


「今日は、飲んで騒いで、そして俺たちを祝ってくれると嬉しい!ジャンジャン飲んでくれ!」

俺の号令に集まった皆が歓声を上げ近場の者と乾杯を繰り返し、そして茉莉亜まりあが楽しそうにパープーパーしている。


しかし本当にこんな始まりで良いのか?と思ったほど騒がしい始まりだったが、今回はこの世界風にすると決めたのだからと納得していた。


会場に並んだ各テーブルに次々に料理が運ばれてくる。

このあたりは日本の結婚式場でも良く見る光景だ。


今回は商業ギルドを通じて給仕や料理などを全てお任せしていた。いつも世話してくれる人たちにも楽しんでほしかったからである。


会場では俺と真理、あとエステマなど関係者経由で招待した人たちなどが、知り合い同士で固まって席についている。


そこにはみんなの笑顔があった。

やっと心から笑える。そんな結婚式が始まろうとしている中、新しいウエディングドレスを身につけ微笑む真理を眺め、やっと掴んだ幸せを噛みしめていた。


そして予定通りこの世界では最高級だというワインのボトルを片手に真理と各テーブルを回ってゆく。

近場のいわゆる身内席にはリザはもちろん、城の執事やメイド、文官たちに加えニガルス他、4名ほどの各部門の責任者も座って俺と真理のお酌に恐縮してグラスを差し出してくる。

相変わらずミーヤと妖精ズはメイドたちに人気で、すぐに餌付けが始まりテーブルに居座る形になったので仕方ないとそのまま放置して次のテーブルへと進む。


王国からは女王エステマにイザベラ、クリスチアのいつものメンバーだ。それに新しく宰相となったセイドリ、文官の長を務めることになったリカルド、あと見知った執事やメイドも何人か座っていた。

司会のレイモンズには先立ってお酌をしていたが気付けば茉莉亜まりあが居ないと思ったら……またオルガンの方へ行ってはパープーしていたので、仕方なくそちらに足を運んでお酌をした。

レイモンズと楽しく話しながらパープーしつつワインをグビグビと飲んでいる。


それを真理と笑いながら眺めた後、元の順路に戻る。


次の席では世話になっているナブール商会のサラディオ・ナブール準男爵をはじめ、商会を支える商人が座っている。何人か知らない顔が居たが、今後魔都の支店を任せることになった支店長などだと紹介された。


そして呼んだはずなのに顔が見えなかったリザの師であるヴァン・パイアーもこのテーブルで食事をがっついていた。どうやらサラディオからは日用品を宅配される仲ということで、このテーブルに居座っているのだとか……


ネクサスの街からは冒険者になったドンガや同僚だった門番ダイン、あのギルドのふくよかな受付のベレスもいる。

眷属魔人たちを紹介するため、ベレスと再会した時には緊張した顔で頭を下げてくれたが、ギルドの受付という立場上仕方ないことだと伝え、今では割と普通に接する仲にはなった。

他には何人か見知った冒険者や、オルトガの街の魔窟担当の兵士だったバロンやセドリック、その他の面々も同席している。


最後の席にはスライス帝国から帝王ギルダーク、宰相ドルジアーノ、帝王妃エドワースが揃って参加している。俺と真理が席に近づくとギルダークが席から立つと膝をついてグラスを高く上げる態勢をとった。


「真司様、真理様、ご結婚おめでとうございます!お呼びいただきありがとうございます!私のような男にもお情けを頂けるとのこと、ありがたき幸せ!」

「お、おお……」

呆気にとられながらも差し出されたグラスにワインに注ぐ。


「ふふふ。良い感じでしょ?私もそのギャップにやられちゃう。ということで、真司様、真理様、ご結婚おめでとうございます」

頬を赤らめながら祝いの言葉と共にグラスを差し出すエドワースを見て、隷属って怖いと改めて思った。


そしてその席には、南の島国であるデウルズ神国からはセイリウ神王、スサク姫が緊張しながら座っている。

さらには獣人の国からはクーガーとその嫁というラオレイという同じく獅子族の女性に挨拶した。

さらに一緒に来たという妖精族代表の3人の妖精も同席しており、すでに会場のお菓子を山のように集め嬉しそうに口いっぱいに頬張っていた。


真理と二人で「結構大変だな」と言いながらも席を回り切り、やっと席にもどって少しだけ出された料理を楽しんだ。


最初の挨拶から2時間程という時間になって、遂にやってきてしまった次なる儀式……


レイモンズの合図と共に各自がテーブルを端に寄せると共に、俺と真理は覚悟を決めて席から立ち上がる。そんな俺たちのそばに、いつも通りのリザと少しニヤつくエステマがやってきた。


この世界の結婚式でのメインイベントでありフィナーレでもある『愛の花道』の時間となった。

皆に祝福されながら初めての一夜を送るため、参列者に配られた花ビラを投げかけられながら、初夜を迎えるための場所へと送り出されるという謎の羞恥儀式……


その工程を聞いた時、当然のことながら必死に抵抗した。

だが「それはちょっと恥ずかしいから止めとくか」と言った俺に「なんだ、意外と小っちゃい男だな」とエステマが鼻で笑う言葉を投げつけられ、「よーし!やってやんよ!」と勢いでOKしてしまった。

その時は真理も少し感情を無くした目で俺を見ていたのを覚えている。


花びら舞い散る人の道を皆に送り出され、今夜はきっとやるんだね、という視線にさらされ歩くのは如何なものか……そう思いながらもこの世界の普通を体感する時間となってしった。

そんなことをまた頭の中で考え、また顔が少し熱くなる。


「それでは!我らが魔王真司殿と、聖女真理殿の……愛の花道のお時間です!」

レイモンズの高らかな宣言が拡声魔道具から響く。


そして待機していたリザとエステマに連れ出され俺と真理が中央へと移動すると、皆が取り囲んで「頑張って!」とか「いっぱい愛してもらうのよ!」とか「大丈夫!やれるやれる」とか……

散々な事を言われ中がその輪が出口に向かって割れ、道ができると同時に周りにいた参列者たちが両サイドに花びらの入った篭を持って走り待機している。。

そして二人でその道を歩き始めると、周りから一つかみでバサリと上にバラ撒かれた花びらがヒラヒラと舞い降りてくる。少し綺麗な光景ではあった。飛び交う言葉が少し卑猥なのを除けば……


そして大講堂の外へと出ると庭に待機していた会場には入れなかった眷属魔人や魔物たちが祝福の声を掛けてくる。

この場にはクロも居るのが見えたが、目の前に出された骨付き肉の塊に食いつくのを一瞬止め、こちらをチラリと見た後にまた肉に食いついているので「ああ、いつものツンデレだな」と呟き足を進めた。


庭を抜けると、城まで100mほどある魔都のメイン通りの両端が集まった人たちであふれていた。

魔人も人族も獣人たちも皆笑顔でこちらに手を振っている。


なんとも素敵な光景だと思った。

ただその民衆から歓声と共に卑猥な言葉が飛び交っていなければ最高だったなと思いながら、二人で顔を赤くしながら城までの道のりをゆっくりと歩いて行った。


何はともあれ、俺は真理と夫婦となった。二人で愛を育み異世界で生きて行く!

俺たちのこれからに幸あれ!


――――――

古川真司 ジョブ:魔王

力6750 硬4285 速7010 魔9865

パッシブスキル 『異世界語』『神の加護』『魔軍』『念話』『魔力の理』

アクティブスキル『神速』『眷属召喚』『魔眼』『眷属融合』

――――――

『異世界語』異世界人特典・どんな言葉も理解可能

『神の加護』神の寵愛・成長速度促進

『魔軍』魔物の王たる力。力でねじ伏せ眷属化する

『念話』心を通わせた眷属と意思疎通する

『神速』疾風の風を纏いし神の如き速度で駆けぬける風の精霊の力

『眷属召喚』眷属をその場に引き寄せる魔王としての力を行使する

『魔眼』相手のすべてを見抜き解析する魔王の瞳

『魔力の理』魔力操作を簡素化して威力を高める魔道の力

『眷属融合』眷属との融合により一時的にその力を増加させる魔王の力

――――――


◆◇◆◇◆


のどかな風景が広がる小さな村。

父親にお弁当を届けるために畑へと向かって農道を歩いていた一人の村娘が、突然虚ろな表情をして足を止める。


そしてその村娘セレネは、女神との対話を体感する。


「行かなくちゃ……」

意識をこの世に戻したセレネは村役場へ歩き出す。


「セレネちゃんどうしたの?」

「私、カリス様に会ったの……神都に、行かなきゃ……」


役場のお姉さんは困惑した。

見知った近所のお転婆娘、セレネが昇天の定まらない虚ろな表情で意味不明の言葉を口にしているのだから。


大丈夫かな?と心配して受付から出ると、セレネがふらりと倒れそうになったので慌てて支えたのだが、腕の中のセレネはすでに意識が無いようで、すぐに他のスタッフを呼び医務室へと運ぶことになった。


そしてセレネが目覚めてすぐ、小さな村は大騒ぎとなった。


ここは南の島国、デウルズ神国。


村役場に常駐する神官の鑑定により『僧侶』から『伝道師』というジョブへ変貌したことが分かったセレナは、女神の神託を受けたとしてその国の中心地、神都ピュロスを目指すことになる。

これにて『第三章・魔王vs魔道』は終了となります。

これで終わりではないのです。もう少しだけお付き合い下さいませ。

引き続き『第四章・魔王vs勇者』をお楽しみください。


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