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【完結】幼馴染の彼女は隷属された囚われ聖女。魔王の俺は絶対この国許さない!  作者: 安ころもっち
第二章・魔王vs魔王

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19 魔都

居城に向かって歩く俺たちの視界には、メビオス側の魔人たちがずらりと並ぶ光景が目に入る。


いよいよ最終決戦が始まるのだと思わず喉を鳴らしてしまう。


ザッと見てメビオスの眷属は50人ほどの魔族がいるようだ。

どれも以前のネルガルやラマシュトに匹敵する程度に強そうな魔力を感じる。そしてそのネルガルとラマシュトは……やはり以前とは比べ物にならないほどの圧を感じる。


そして一番奥には大きな玉座があり、そこにはメビオスがそっかりと座っている。

わざわざこんな野外に準備して待ち構えていたのだと思うと、少し滑稽に思え笑いそうになるが、すぐに俺の頭は沸騰しそうなほどの怒りが込み上げてくる。


メビオスの横には、ミーヤが、魔狼や氷狼ひょうろうが静かに待機している。

そして上空には風吹鷹かぜふきだか夫婦に火喰鷲ひくいわしが旋回しているのが確認できた。


俺から奪った眷属たち……早く取り戻さなくては……

そして50mほどの距離まで近づくと、こちらを見ている魔人たちを警戒しながら俺は大きく息を吸い込んだ。


「魔王メビオス!今度こそお前を倒し、ミーヤ達を取り戻してやる!」

メビオスはそれには答えず口元を緩ませるのみであった。


そして戦いが始まる。


開始早々、真理と茉莉亜まりあが『ホーリーライト』を使いメビオスたちを弱体化させていく。茉莉亜まりあは『祈祷』も使って俺たちの力を底上げしている。

まずは準備が整った。


俺とエステマ、そしてリザとヴァンがメビオスたちに向かって駆け出した。

一気に距離を詰めて左手に雷刀らいとう、右手には新たに対となる刀、氷牙ひょうがを持ち魔人たちを切り裂いてゆくのだが……固すぎる!クリーンヒットしても軽く傷を負わせる程度というから根本的に普通の魔人とはレベルが違うようだ。


この日のために二刀流の戦闘スタイルは死ぬほどやっている。流れるように刀を操り、さらには岩棘なども駆使して追撃しているのだが、相手は連携とかそんなものはまったく無くとにかく魔法や拳などが飛んでくる。

手口が読めな過ぎてからに面倒な相手だ。


そしてエステマにはラマシュト向かっていき対峙し、エステマを睨みつけていた。

当のエステマの方はリザへと対峙しているネルガルを見て「お前が来いよ!」と叫んでいるがネルガルの方はエステマに興味はないようで、リザをあの黒い闇のような瞳で見つめている。

そのリザの隣にはヴァンが居るので、何とか凌いで時間を稼いでほしい。


俺は半数程度のメビオス側の魔人たちに囲まれながら、それ以外の魔人たちが真理たちの方へと向かっていくのを見送った。あっちには俺の眷属魔人もいるしクロだっている。足止め程度なら何とかなるだろうとは思っている。


ニガルズ含む俺の眷属魔人たちは魔法を飛ばしそれを迎え撃つ。

真理と茉莉亜まりあが『ホーリーライト』を使いながら、真理は『結界』で魔法攻撃を完全ではないがその勢いを弱らせつつ、魔法で炎の槍を無数に作り向かってくる魔人たちに飛ばしている。

茉莉亜まりあは魔法で氷の槍を飛ばし、真理と同じように時間稼ぎをしている。

イザベラは『輪廻の輪』により周りに眠る魔人や魔物の魂を蘇らせ、メビオス側の魔人たちを足止めしつつ岩棘を大量に飛ばしていた。


『ホーリーライト』の効果もあってか何とか均衡は保っているようだ。みんな接近戦闘の訓練もしているので、迎撃できなかった相手の魔法をなんとかかわし、うまく距離を取りながら対応しているようだ。


俺も負けてはいられない。何とか数を減らすために両手の刀で切り付けているのだが、今のところ致命傷は与えられていないようだ。俺の攻撃でつけられた傷は攻撃の合間に自分ですぐに回復魔法で直しているようだ。

それにしてもメビオス自身は相変わらず高みの見物を決め込んでいるようで余計に腹が立つ。やはりデカイ攻撃で1体ずつ倒していかなくてはならないようだ。


「相変わらず脆弱な魔王よ」

メビオスが口元を緩ませ話しかけてきた。


俺はそれどころじゃないとは思いつつもイラつきが止まらない。それでも握る雷刀らいとう氷牙ひょうがに力をこめ振り続けて行く。


徐々に1体、また1体と深手を負わせることに成功し、メビオス側の魔人たちを戦闘不能にしていった。

残念ながら倒し切ってはいない。

俺の攻撃でうずくまりとどめを刺そうとすると目の前から消えてしまう。メビオスの方をチラリと見ると目の前にいたはずの魔人が傍へと引き寄せられたのかメビオスのそばで膝をついていた。


やはり『眷属召喚』をうまく使われてしまっているようだ。

だが今はこれが精いっぱいだ。

それでも数が減ればそれだけ動きやすくなってゆくので、俺は一心不乱に目の前の魔人を攻撃し続けている。


やっとの思いで襲ってきていたそのほとんどを戦闘不能に追い込み、メビオスに『眷属召喚』を使われることに成功した。俺はメビオスに突っ込んでいきたい気持ちを何とか抑えつける。

弱体化してもなお手強かった魔人たちをあれだけ従えている状態だ。おそらくメビオス自身も単身では無理だろう。そう思って周りを見渡すと、真理たちはなんとか抵抗して均衡を保っているようだ。


できればあっちに加勢して数を減らしておきたい。

そう思いながらもリザとヴァンの方を見る……二人は血塗れになりながらネルガルの繰り出す岩棘や大鎌を拳や『衝撃刃しょうげきじん』で打ち落としている。ネルガルに遊ばれているように見える。


そしてエステマも同じように露出した肌に傷を付けられ血を流していた。

ラマシュトは楽しそうにあの黒い魔剣を操りエステマを手玉に取っている。俺は魔力ポーションを苦悶の表情で飲み干しながらどちらに加勢しようか迷っていた。アッポジュースが飲みたいと思いながら……


事前に決めていたことだが正直つらい……魔力ポーションは何度飲むかわからないからアッポジュースを飲むのは止めようと今朝話し合ったことを後悔しつつ、俺は真理たちの加勢に行くことを決めた。

おそらくエステマとリザはまだ当分は生かされるだろう。どう見てもネルガルとラマシュトは二人を嬲ることを楽しんでいるように見えるから……心の中ですまんと謝りながら真理たちの元へ戻る。


そして手当たり次第にメビオス側の魔人たちを切りつけ、メビオスの元へと送り返していった。先ほどの戦いで少しだけレベルは上がったが些細な変化ではあったが、今は単騎ではない。

真理の『結界』や眷属魔人、クロのアシストのお陰でかなり有利に戦うことができた。


まだ全ての魔人を戦闘不能にしたわけでは無い。それでもすべての眷属魔人を手元に戻したメビオスに不気味な違和感を覚える。きっと回復した魔人たちが再度襲い掛かってくるだろう。


メビオスの動きを警戒しつつも真理たちと一緒にエステマたちの元へと急ぎで駆け付ける。

俺は『神速』を使いながらラマシュトの方へと割り込み、あの魔剣に勢いよく両手に持った雷刀らいとうを叩きつける。もちろん大量の魔力をこめている。バチバチとした雷鳴が鳴り響き、それを受けたラマシュトはあっけに取られた顔をしていた。


その隙にエステマには茉莉亜まりあの『超回復』がほどこされ傷が癒えてゆく。ネルガルの方にも真理の結界とイザベラの岩棘が割り込み、こちらの方に後退したリザとヴァンの方も同じように傷を癒され一息ついている。


「助かった」

エステマが俺の横までくると、俺とつばぜり合いしている魔剣に向かい、聖剣を叩きつけた。さすがに二人掛かりで叩きつけられ押し返されるラマシュトの魔剣。


「邪魔を……するなー!」

ラマシュトが怒りの表情で全身から黒いオーラを放出している。


以前なら恐怖していたであろう大量の魔力の放出……今なら分かる。あれは魔力の無駄遣いでしかないだろう。そう思いながらエステマと二人で切りかかる。だが中々魔剣の隙を伺えない。

というかこの魔剣、まるで勝手に攻撃を繰り出しているのでは?と思った時にはラマシュトの手が魔剣から離れて行く。そして空いたその両手にはどこからか出現した2本の細身の黒い剣が握られている。

頭上辺りに浮かぶラマシュトの魔剣から絶えず斬撃が繰り出される中、ラマシュトの両手から繰り出される攻撃に、俺とエステマはまた防戦一方になってしまった。


これはヤバすぎるかな?そう感じていたのだが、ラマシュトの繰り出す双剣の軌道を邪魔する光の壁が出現した。真理の方をチラ見ると、真理はきょろきょろと俺の方とリザたちの方を見ながら『結界』を上手に生成しているようだった。

もちろんその『結界』は双剣の斬撃を止めることはできてはいないが、その勢いを少し殺すことができているため、難なく捌くことができるようになってくる。


俺たちが攻撃をさばくにつれ、ラマシュトがイラつきを見せていた。

歯をぎりぎりと噛みしめるような表情を見せている。その顔を見て俺は少しスッキリした気分になる。「さすが真理!サスマリ!」とつぶやき少し油断したところで魔剣に雷刀らいとうがはじかれ少し体制を崩してしまう。

それに合わせてエステマも少し後退して距離を取った。にらみ合いとなってはいるが、どうやらラマシュトからの追撃はなさそうだ。


その間にリザ達の方を確認すると、ネルガルが本気を見せているのか先ほどより大きく少し固そうに見える鉱石のような岩棘を出して攻撃していた。

だがクロや他の眷属魔人たちの遠距離攻撃まで加わって物量作戦でそれらをしのいでいるようだった。


どうしよう。想像以上に強すぎる。

俺は考えが甘かったことを痛感しつつ、どちらに飛び掛かろうか考えていた。


そしてラマシュトとネルガルが視界から消えた。


「中々やるようにはなったではないか……」

その声に反応してメビオスの方を見ると、すでに回復している様子の魔人たちと並んでネルガルとラマシュトが立っていた。


「ではそろそろ、絶望を与えてやろう……」

メビオスがそう言いながら両手を上にあげる。


「ネルガル、ラマシュト、お前たちが少し大人しく見物を楽しむが良い」

メビオスのその言葉に二人は一瞬悔しそうに歯を食いしばっていたが、黙って膝をつき従う姿勢を見せていた。そしてメビオス側の魔人たちが目を赤く輝かせこちらへゆっくりと近づいてくる……


「『闇の衣』……これでもう、聖なる光は効かぬ。力の差を思い知るが良い」

そして辺りに一瞬黒いもやがかかったような感覚に陥る。メビオスの言葉が本当であればかなりヤバイ。『ホーリーライト』のWがけですら苦戦する魔人たち。しかもあの目は凶暴化のような状態なのだろう。


「ちょっとやばそうな感じ?」

「そう、かもしれないですね」

真理とリザが不安を口にする。ここからが正念場なんだろう。


「なんとかしなけりゃ、みんな死ぬだけだ!」

俺の言葉にみんながうなづく。


「真理も茉莉亜まりあも『ホーリーライト』はかけ続けてくれ」

「うん」

「そうだね」

真理と茉莉亜まりあから返事が返ってくる。俺は一度ゆっくりと息をはき目の前の魔人たちに駆け出した。


そこから俺たちは満身創痍で戦い続けた。。襲い来るメビオス側の魔人たち。皆で連携してなんとかしのいでいるのだが決定打がない。先ほど以上に固くなった魔人たちは大きな壁のように思えてくる。

それでも負ければ死という現実に必死に雷刀らいとうを振り続けた。


「なんだ……まだ増援がいたのだな」

朦朧となりながらもそのメビオスの言葉に動きを止める、メビオス側の魔人たちと同じように足を止めはじめた。


「それならしばしの猶予をくれてやろう……」

メビオスのその言葉と共に攻撃をやめていた魔人たちがメビオス側に少しだけ戻り距離を取った。


俺たちもメビオスが見ている方向、背後の空を警戒しつつも見てみると、そこにはぼろい飛行艇がふらふらとこちらに向かって飛んできていた。


「ここにいる他に、誰が来たって言うんだ?」

「まさか今更国軍でも送ってきたというのか?」

「それは無いんじゃないでしょか?」

俺とエステマ、リザがそう口にする。


そしてその飛行艇はすぐそばにゆっくりと降りてきた。

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