15話 血の可能性
遅くなりました…。
読んでる人がいるかは分からないですが。
いたら嬉しいです。
頭と体が別れた吸血鬼ルサンの遺体が転がっている。ルサンの顔は信じられないと表情をしたまま固まっていた。ジャンはルサンの血を振り払い血伐剣を鞘に納めた。
「勝ったのか?」
クレインは驚きを隠せないでいた。どうして勝ったのか検討もつかないからだ。状況は木のつるで縛られていた2人がつるを抜け出し、雷を食らっていたジャンが血を浴びると効かなくなって吸血鬼を倒したということだ。
「なに言ってるの!勝ったに決まってるじゃん。ナイスだよ!ジャン」
ジャンに手を振るジュリア。ジャンも振り返し応える。
「ありがとう、ジュリア。どうしたんだクレイン、そんな驚いて」
「いやいや、驚くに決まってるだろ!どういうことか説明してくれよ?何で倒せたんだ?」
ジャンはクレインに近付き肩をポンポンと叩く。
「その前にクレイン。俺たちの仲間になってくれるよな」
クレインは今、そんなことはどうでもいいと思っていたが言わないと話が進まないなと表情を読み取り話す。
「ああ、約束だからいいけど、説明してくれよ」
クレインの返事を聞くとジャンはニコッと笑う。
「よし、それなら教えてあげよう!まず、なぜ俺たちがつるを抜け出せたかというとそれは自分の血(吸血鬼の血と人間の血)をつるに馴染ませて腐らせたからだ」
クレインはつるをよく見ると確かに黒く腐っていた。
「でも、何で血を馴染ませただけで腐るんだ?」
「それはだな……」
「それは俺たちが吸血鬼のハーフでその混合血は吸血鬼にとって毒なんだ」
「はぁ?なにそれ?」
「まー、ゆっくり聞いてくれよ」
ジャンはもう一度自分達が吸血鬼のハーフだと説明した。もう一度、ハーフの血は吸血鬼にとって毒であり、その血を持つ自分達が吸血鬼を全滅させる使命なんだと
話す。聞いていたクレインの表情は今だ懐疑的だった。
「信じられないけど、信じないと説明がつかないと自分でも分かってる。だけど信じられない」
「まぁ、ゆっくりと理解してくれればいいよ」
「無理にでも理解しろということだな。抜け出した理由は分かったけど雷が効かなかったのはどうしてだ?」
「それは俺たちも新しい発見だった。自分達の血は吸血鬼にとって毒とは知っていたが、吸法(吸血鬼たちの魔法のこと)を無効にする力があるとは知らなかった。アイツに顔面を血だらけにされて雷を食らった時に気づいたんだ。顔だけがビリビリこないってね。それで作戦を思い付いたんだ。まずはつるを抜け出してジュリアの持っている血のビンを体に浴びせる。相手が雷を発動して効かないと相手が驚いて思考停止になっている隙をついて倒そうとね」
「どうやってそれを知らせたんだ?」
「恥ずかしい言い方だけど俺とジュリアは心が通じ合うときがあるんだよ」
「本当に恥ずかしいことだな」
「どうやって通じ合うかは分からないけど、ピンチになったときに通じ合って相手の言いたいことが分かるんだ。お前にもヒントはやったぞ」
「ヒント?そんなこと言ったか」
「言ったさ。諦めたとか俺は血を浴びたくないとか。俺が諦めるとかないからね」
「私もジャンの言うことを聞いてって言ったじゃん」
「分かるか!お前たちとは今日初めて会ったんだぞ!」
「クレインさっきから表情豊かになって別人だね」
ジュリアの言葉にいじられてると感じたクレインはジュリアを睨むがジュリアは笑っている。
「まあ、冗談はこれくらいにして今日はたくさんの収穫があった。ジュリア、死体はどうする?またどこかに飾っておくか」
「今回は持って帰ってメーリさんの研究材料にしようよ。A級の吸血鬼だしね」
「うーん、確かにその方がいいかもな。色々と情報を持った方がいい」
その後、死体は袋に積めてジャンとジュリアが交代交代で持ち、三人は六時間走ったり歩いたりしてメーリのいる山の家に帰った。