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11話 弓使いクレイン・パーカー

 2人は弓使いの試験場である養豚場に向かっていた。


「それにしても簡単に手に入ったね銀の剣。簡単に選ばれて少し残念っ感じ」


「いいことだ、無駄な血を流さなくて。人間同士で戦うなんて変な話しだし」


「でも、この決め方だったら弓使いの人たちも同じなのかな。だったらすごい弓使いを選べないよ!」


「確かにな。俺が気になった男の実力も知りたかったのに。あっハンバーガー食べるの忘れてた。1個食うか?」


「も・ち・ろ・ん・です!」


 その後も会話をしながら歩いていると2人の視界には試験会場である養豚場が見えてきた。


「しかし少ないね。受験者は」


 受験者は50人くらいであると人の数を見て予測した2人。


「しょうがないさ。今まで誰もが剣を学んでいたのに3ヶ月前に突然今年は弓隊10人を結成すると言ったって無理な話だよ」


「狩猟の人しか来ないよね。それでもジャンが見込んだ男がいたんだね?」


「性格だけな。そいつがこの試験に合格できるかはわからない。それにこの試験難しくないか」


 会場につくとため息混じりの声しか聞こえない。


「何てったって動いている猪10頭に全てに弓を当てないといけないんでしょ。しかも10発で。百発百中って」


「苦笑いしか出来ないよな」


「30番失格!どうしたお前ら!今まで全員失格じゃないか!次31番クレイン・パーカー前へ!」


 試験管はハキハキした大きな声で言うが返事するものはいない。


「全員死んだのか!あー?」


「死んでないですよ。そんな一回呼ばれたくらいで表に出るような人は狩猟失格ですよ」


 受験者のなかで唯一の10代のクレイン。まだまだ線が細く頼りなさそうな雰囲気が出ている。ジュリアはこいつだと思いジャンのほうを向くとジャンはウインクして正解だと表現した。


「意味分からんこと言ってないで早く準備をしろ」


「もう、準備は出来てますよ。早く合図をください。全てはタイミングが大事なんです」


「やる気があるのかないのか分からん奴だ。まあいい、それじゃ始めだ!」


 試験官の合図により猪たちは養豚場の中を走り回る。猪が走ると意外と迫力があることを二人はずっと驚いている。たがクレインを見ていると微動だにせず集中しているのがわかった。


「ごめんよ。猪ちゃん、僕に命を捧げてくれ」


 パァスっといういい音が響くとその後にドスンという音が加わった。


「クレイン一発目成功!」


 歓声が響く会場。失敗が続き受験者達にはなぜかライバルと言うより仲間意識が出来ていた。


「すごいな。猪が一瞬で死んだ。撃たれてからピクリともしない。苦しまないで死んだのか?いや死んだことに気づかなかったかも知れない」


 ジャンは弓の知識はないが直感でそう思った。


「苦しまないように撃つからね」


 パァス、パァス、パァス、と立て続けに放っていくクレイン。その音の後には必ず猪が倒れていく。倒れた猪を見ていくと全て脳を貫通していることが分かる。弓音が止むと動いていた猪は一体もいなくなった。


「今日は猪パーティーで供養するから安心してね。ふぅー」


 歓声ではなく静寂。唖然する他の受験者達と試験官。ジャンとジュリアも同じだった。


「試験官さん、僕合格ですよね?」


「あ、ああ。31番クレインパーカー合格!」


 クレインはその言葉を聞くとすぐに群衆の中に入り身を隠した。その後、合格者はでずクレインだけに合格証明の銀の矢が30本渡された。


(矢が重い……。)


 クレインが試験会場を後にして歩いていると後ろから話しかけられた。振り向くとジャンとジュリアだった。


「クレインパーカーだよね。僕はフォン・ジャン。よろしく」


「私はフォン・ジュリア。よろしくね」


 クレインは握手を求められたが握手をせずに少しはなれる。


「こ、こちらこそ。なんのようだい?」


 額に汗をかき始めたクレイン。


「血伐隊は3人で行動しないといけないことは知ってるよね。仲間はいるの?」


「別にいないけど」


「なら俺たちと組まないか。俺たちと組むと確実に吸血鬼を倒せるよ」


「いきなり何を言うんだ。嫌に決まってるじゃないか」


「なんでよ。あんた仲間いないって言ってたじゃない?」


「今、挨拶された人と仲間になれっておかしいでしょ。それに君たち僕と年齢変わらないようだし。今年は誰でも受かったって聞いて、君たちの実力は分からないのも理由の1つだよ。それに僕は死にたくないから強い人と組みたいんだ」


「そういうことか。まー、俺も君の実力を見てから話しかけたからお互い様だな。よし、なら俺たちの実力を見るために3日ほど共に行動してくれないか。その間に実力を証明してあげるから」


「なんで君たちはそんな上から目線なんだよ。そう言う突拍子もなく発言するところこら見ると無茶しそうだから嫌なんだよな」


「クレインのそう言うところが好きなんだ。君をどうしても仲間にしたい」


「18年生きていて初めて告白されたのが男とは想像してなかったよ」


「ごちゃごちゃ言ってないでついてきなさいよ」


「ひぇっ、怖い女だよ!無理やりつれていこうとしても無駄だからな。今日中に家に帰らなかったら警察に連絡してって婆ちゃんに言ってあるから。お前達は犯罪者になるぞ」


「なら、どうしたら俺たちを信用して付いて来てくるんだ?クレインの求めていることをやってあげるよ」


「どこまでも上から目線だよね。それじゃ今ここで強さを証明して見せてよ」


「今日の夜ではどうだ?」


「それはダメだよ。今すぐ」


「今日の夜なら俺たちが吸血鬼を殺しても見せるんだか」


 それを聞くと驚くクレイン。


「もしかして今日の吸血鬼殺しはお前達が!?」


「そういうこと。性格に言うと私が殺したんだよ。すごいでしょ!」


「信用してもしなくてもいいけど今日の夜8時まで一緒にいてくれれば分かることだぞ」


 クレインは数分考えた。

「よし、分かった。今日は一緒にいるよ」


「決まりだな。握手だ」


 三人は今日旅館に泊まり吸血鬼を殺すことにした。



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