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10話 血伐隊試験開始?

 従来の銀の剣を装備する血伐隊と今年から導入された弓を使う血伐隊は試験会場が違うため、一先ず2人は自分達が受ける従来の血伐隊試験会場に来ていた。試験場には約3000人もの人々が集まっている。


「流石に多いね。合格するのは100人だけなのに。いや、私とジャンを除くから98人か」


「自信たっぷりだね。多い理由はそれだけ血伐隊になれば大きな特があるからだな」


「メーリさんは誰でもいいと言っていたけど元凶悪犯罪者とは仲間を組みたくないよ」


 血伐隊に入隊できれば大きな特を得る。1つは全てただで生活できること。血伐隊は国から特殊な口座を貰い好きな時、いつでも引き出せること。2つに自身の犯罪歴を消せるということである。有期刑の凶悪犯罪者も参加を認められているのである。その他にも色々あるが今は省く。


「メーリさんに国にそんなお金があるのと聞いたことがあるけど理由を聞いて納得したよ」


 その資金源は外国である。外国の政府が吸血鬼が来ないためにハンプ島にお金を出しているという。ハンプ島が滅びれば次は自分達の所かも知れないと心配しているからだ。


 ゴーン、ゴーン、ゴーンと鐘の音がなる。試験会場は一瞬にして静まり返る。参加者は鐘の音を聞くと同じところに視線を送る。王族の死後ハンプ島を任せられているジャクソン家の家長イーサン・ジャクソン(52)が会場に現れて台の上に立ち話しはじめる。


「今年も多くの者がハンプ島のために血伐隊試験を受けてくれることに感謝している」


 唐突に指を受験者に向けるイーサン。


「そこの者!お前が受ける理由はなんだ?」


「はい、私は妻を吸血鬼に殺されました。どうしても自分の力で殺したいんです」


 理由を聞くと間髪いれず指を指していくイーサン。受験者たちの理由も様々であった。


「子供が殺されました」

「不自由なく暮らしたいです」

「刑務所から出たい」

「吸血鬼を解体して観たい」

「人は殺してはいけないが吸血鬼はどんなに殺してもいいから」

「女の吸血鬼もいると思っているから犯したい」


 一通り受験者の声を聞くとイーサンはしゃべりはじめた。


「毎年私は聞くが毎年どれも似たようなことを聞く。そしてこれから言うことも毎年言っている。お前達の血伐隊としての()()()()()1()()()()。1年間銀の剣を装備して吸血鬼を殺すことを目指してもらう。だが、生き残ることが出来るのは平均10人だ!それでもなりたいか?辞めたいのなら今だぞ!」


 イーサンの話を聞き考えを改め受験するのを辞めるのは毎年数人いる。今年も数人が会場から姿を消していく。その姿をジャン近くにいた屈強な男が小さな声でバカにしていた。


「ライバルが減ることはいいことだ。俺は吸血鬼殺しなんてどうでもいい。1年耐えて黒のカードをもらうことが願いなんだ」


 1年間血伐隊として生き残った者達には黒のカードが発行される。銀の剣と同じ効力があり、これを目当てに挑む者も数多くいる。


「数名立ち去るのも毎年同じ。しかし!今年はこれからいつもとは違う話をする!」


 会場に緊張がはしるなかジュリアはニヤニヤしていた。


(私たちのことでしょー。だって初めて吸血鬼が殺されたんだしね!あんたの話が始まるまで回りでも吸血鬼殺しの話題ばっかりだったんだから)


「今年は血伐隊となるものは1()0()0()()()()()()!」


 静寂が続くが次第にザワザワとしてきた。


「驚くことも無理もない。今年は18年に一度の厄年と言われている。なぜか18年に一度の吸血鬼の活動が活発になり1月でほぼ全滅してしまう」


「無礼かと思いますが質問させてください!」


「構わん、申せ」


「1月で全滅してはその後の11ヶ月は誰が血伐隊として島を守るのですか!?」


「もちろん血伐隊だ。今年はここにいるもの()()()()()にして、1人死ねば1人補充して血伐隊を維持する。補充しなければ一般のものが次々殺され島が崩壊する」


「俺たちは生け贄だとも言いたいんですか!」


「そう言う言い方も出来る。どうだこのまま血伐隊として生きたいか。来年になれば通常の血伐隊試験になるぞ。今選べ」


 ジャン達の回りで1人帰ると言い出すと次々に同調して多くの者が帰っていった。


「残ったのは1000人くらいか。意外と残ったな。全員合格だ」


 ジャンはこの時叫びたかった。「俺がいるから安心しろ。吸血鬼を全て殺してやる」と。


「よし、初めの100人は決めている。エントリーをした順に血伐隊隊員だ」


 この雑な選び方が18年に一度の厄年の悲惨さを表しているとジャンは感じた。ジャンとジュリアは無事血伐隊員となりイーサンから銀の剣を受け取った。

 会場の外に出て弓使いの会場に向かう2人だった。


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