これからの目的
少なめです
「ふう。気持ちよかったわね」
「う、うん。それには同意なんだけど……」
僕は俯きながらルイスの言葉に賛同した。
「どうしたのよ。下なんか向いちゃって」
「……なら、ちゃんと服を着てくれないかな?」
僕が俯いていた理由はルイスがタオル一枚で、普通に座っていたからだ。
「そんな事を気にしてたのね。私はドラゴンよ。気にする必要ないじゃない」
「いやいや、いくらドラゴンでも見た目は可愛い女の子なんだよ!」
僕もドラゴンって事を知らなかったら、普通に惚れててもおかしくないくらいの美貌なのだ。そんな女の子がタオル一枚でいたら気になるよ。
「わ、分かったわよ。そこまで強く言われると引き下がるしかないわね」
「よ、良かった」
ルイスは納得してくれたみたいなので、僕は「ほっ」と胸を撫で下ろした。
しかし落ち着く暇もなく、ルイスはまたやらかした。
「ちょっ!」
「うん? どうかした?」
「なんでここで着替えるの!」
ルイスは自分の身を守っていた唯一のタオルを剥ぎ取って着替えようとした。僕の目の前で。
僕は下を向いて目を瞑った。一瞬で目を背けたつもりだけど、少しだけルイスのあられもない姿を見てしまった。
「なんでっていいじゃない」
「僕が気にするの!」
「ならその状態でいたら直ぐに終わるわよ」
「はぁ……」
ルイスが着替えるのを目を瞑り待っていると、ルイスから「顔を上げていいわよ」と言われたので素直に従った。
そこには今までの服とは色違いの服を見に纏ったルイスが居た。
「はあ。やっと普通の状態になってくれた」
「そんなに焦る事?」
ルイスは不思議そうに訊いてくる。
「言ったでしょ。僕から見たらその姿は女の子にしか見えないって」
「ええ、言ってたわね」
「だから、ちゃんと服を着てくれないと困るよ」
「これからも一緒に暮らすし、善処するわ」
「頼むよ。本当に」
切実な思いでルイスに頼んだ。2回目以降もこんなことが起きたら、僕の苦労がどこまで行くか。
「じゃあ、そろそろ本題に入ってもいい?」
「えっと、何話すんだっけ」
「これから何するかでしょ」
「ああ、そうだった」
お風呂出た後大ハプニングが起きたし、忘れてたよ。
「じゃあこれからなんだけど、何したらいいと思う?」
「そうだなー。やりたいことはたくさんあるけど、まずは自分を鍛えることかな。強くなっておいて損はないと思うし」
「そうね。それは私がみっちり指導したあげるわ」
「ははは……」
ルイスの気合いのある返答に笑うしかなかった。どんな指導が待ってるんだろう、考えるだけで身震いしてしまう。
「後は、ガチャのことも調べておきたいな」
「そうね。あのガチャでスキルとか手に入れたんでしょ。それならもっと引いておきたいし」
「うん。だからガチャを引けるメダルも探さないと」
もう一個スキルが取れる希望はまだ諦めてないしね。
「やる事がいっぱいね。これに加えて生活できるレベルには仕事しなきゃでしょ」
ルイスは「はぁー」とため息をついてそう言った。
ルイスは落ち込んでるけど、僕は今までの生活と変わらないからなー。
「仕事メインでやっていけば情報とかも集まりそうだしそれでいいと思うけど」
「それしか無いわよね。今は地道にやっていったら良い事が起きるかもしれないし」
僕の意見にルイスは渋々同意した。
「そうだね。今日の出来事で自分の運の良さだけは実感できたし」
「スキル無しの見返りじゃ無いの?」
「確かにそうかも」
今までは大変だったけど、お釣りが来るくらいの見返りをもらえた気分なので頑張ってきて良かったと思う。
「じゃあ今の目的はこの三つでいいわね?」
「うん。それでいいと思うよ」
これからの目的も決まり、話も大体終わった。
……と思ったら最後にルイスが話しかけてきた。
「それじゃあ明日は朝早く起きて特訓するわよ。その後に仕事ね」
「う、うん。そうだね!」
早起きは嫌だな、と一瞬思ったが頑張らないと強くなれないという、ルイスの言葉を思い出したため大きな返事で返した。
「元気いいじゃない。ちゃんとこれから頑張るのよ」
「うん! 任せて」
今日の会話はこれくらいにして、寝ることにした。明日も早いし出来るだけ早く寝ておきたいからね。
「じゃあ、おやすみー」
「うん。おやすみ」
寝る前の挨拶をして部屋の明かりを消した。
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