表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/9

ガチャを見つけるまで

よろしくお願いします!


「アシェル・ナーベラル。貴方のスキルは無い。【無能力者】だ」


 10歳の頃そう神父様から言い渡された。

 スキルというのは一つの才能の様なものだ。それが将来就く仕事の架け橋となる。10歳の頃、誰もが神様から与えられる。

 しかし、極たまにスキルを持たないものが居る。それが【無能力者】だ。

 他の人は


「俺は『【騎士】だったぞ!」

「私は【裁縫師】だったわ」


 とワイワイ言っていた。


 しかし僕には何も与えられなかった。自分で言うのもなんだけど、僕は周りと比べると、大体どんな事もそつなくこなす様な子供だった。


 そのため僕はこの村の期待だった。


「アシェル君なら、きっといいスキルが貰えるわよ」


 この村は小さいこともあり、顔を覚えられていた。だからよくそんな事を言われていた。

 しかし僕が【無能力者】だと分かった途端


「あ、あの」

「…………」


 村の皆んなから無視される様になった。


 【無能力者】は仕事に就きにくい。それは当たり前のことだ。

 仕事が無いならお金が無い。お金が無いなら誰かに頼ってくる。そう思われているから無視されているのだろう。

 小さいながらもそんな事が分かった。

 

 親もお金を渡して「この村から出て行ってくれ」と言ってきた。

 悲しかったが、この村にずっといるよりマシだと村を出ていった。


 幸い渡されたお金は多かった。僕は期待されていたから、貯金をしていたのだと思う。

 そのお金をほとんど渡してくるのは最後の情けってやつだったのかな。

 

 それでも僕は大金を渡してくれた親には心の中で感謝を言いながら、村を出ていった。



***



 それから5年後。

 僕は15歳になり冒険者として生計を立てていた。

 冒険者はどんな人でもできて、仕事も余る程あるから僕にとっての天職の様なものだった。


「マヤさん。今日もやってきましたー」

「ありがとうね。いつも誰もやらない仕事をやってくれて」

「いえいえ、僕にはこれくらいしか出来ませんから」


 冒険者と言っても魔物を倒したりすることは、難しいので薬草採取とかの誰でもできる仕事をやっている。


「そうだ! アシェル君。また薬草採取の仕事が入ったのだけど」

「やります!」

「言うと思ったわ」


 マヤさんはこの冒険者ギルドの受付をしている。

 僕が仕事を持っていく度に居るので、良く話している。

 無能力者と知っている数少ない人だ。その事を知っていても普通に接してくれるとても優しい人だ。


「じゃあ明日にその仕事をやらせて下さい」

「はーい。ありがとうね」

「じゃあまた明日、お願いします」

「じゃあね」


 マヤさんに別れを告げて、ギルドを後にした。



***



 次の日、僕は薬草採取の仕事へと向かった。

 いつも薬草がある場所があるのでそこに向かった。しかし


「あれ? ない」


 薬草が無かったのだ。こんな事は初めての経験だ。

 帰ることも考えたが、依頼を失敗すると違約金を払わないといけない様になっている。

 今でも切り詰めて生活しているのに、そんなものを払う余裕なんてない。だから他の場所を探す事にした。



 薬草を探しに夢中になっていたが、突然後ろから大きな足音が聞こえた為、思わず振り返った。

 

「オーク……」


 そこには魔物のオークが居た。そこでようやく気づいた。

 いつの間にか森の奥に来ていたと。

 周りも重く暗い雰囲気になっている。森の奥という証拠だ。

 森の奥には魔物が多い。もし魔物に遭遇したら僕じゃ絶対に勝てない。そのためいつもは近づかない場所だ。


 幸いあのオークに僕の存在はまだ気づかれていないみたいだった。でも気づかれるのも時間の問題だ。なので逃げようとゆっくり動いていた。


『パキッ』


 その時に僕は運悪く、木の枝を踏んでしまいオークに気づかれるほどの音を立ててしまった。


「グオオオー!」


 オークは音をしたこちらを見ると、すごいスピードでこちらへ向かってきた。


「や、やばい!」


 オークに背を向けて全速力で走り出した。

 距離はそこまで近く無かったので逃げ切れる、そう思っていた。しかし、周りが崖しかないという行き止まりに来てしまった。


「ど、どうしよう。オークが来ちゃう」


 どうしようもなくそこで止まっていると、オークが追いついてきた。


「グオオオー!」

「も、もう来たのか」


 僕は決心して崖に飛び込む事にした。崖から落ちたらオークは追ってこないだろう。


「一か八かの賭けだけど、やるしかない。——うおおー!」


 そう気合を入れながら崖に飛び込んだ。

ブックマーク評価感想してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ