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<ホド編 第2章> 49.間に合ったか

<レヴルストラメンバー>

【スノウ】:レヴルストラのリーダーで本編の主人公。

【フランシア】:最初にスノウを越界させた謎多き女性。スノウをマスターと慕っている。どこか人の心が欠けている。

【ソニック/ソニア】:ティフェレトで仲間となったひとつ体を双子の姉弟で共有している存在。音熱、音氷魔法を使う。

【ワサン】:ホドで仲間となった根源種で元々は狼の獣人だったが、とある老人に人間の姿へと変えられた。

【シンザ】:ゲブラーで仲間となった。潜入調査に長けている。

【ルナリ】:ホムンクルスに負の情念のエネルギーが融合した存在。シンザに無償の愛を抱いている。

【ヘラクレス】:ケテルで仲間になった怪力の半神。魔法は不得意。

【シルゼヴァ】:で仲間になった驚異的な強さを誇る半神。

【アリオク】:ケセドで仲間になった魔王。

【ロムロナ】:ホドで最初に仲間となったイルカの亞人。拷問好き。

【ガース】:ホドで最初に仲間になった人間。ヴィマナの機関士。

49.間に合ったか


 ヒュゥゥゥゥゥゥン‥‥バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!


 巨大な白熱の光線がグルトネイから空に向かって放たれた。

 雲が吹き飛ばされ青空が広がる。

 しばらく猛魅禍槌(タケミカヅチ)の白熱光線の柱が空に聳え立つ状態が続いた。

 そして十数秒後、光の柱は消えた。

 そこにはスノウとフランシアの姿はなかった。


 シュババババババン!!


 その直後、無数の禍槌(カヅチ)が上空に放たれた。

 だがそのいずれも空に舞い上がって消えていった。


 キィィィィィィィン‥‥


 スノウとフランシアが突如グルトネイの上空に姿を現した。

 猛魅禍槌(タケミカヅチ)が放たれる直前、リュクスがスノウとフランシアをヴィマナに転送したのだ。

 そしてふたたびスノウとフランシアをグルトネイの上空へと転送し戦闘体勢をとっていた。


 「シア!」

 「はい!」


 スノウとフランシアはふたたび魔法攻撃をしかけ、リゾーマタのクラス3魔法を連続で放った。


 ドゴゴゴォォォォォォォォォォン!!


 爆発が発生し黒煙の塊が膨張しながら上昇していく。


 キィィィィィィィィィィィィィィィィィィン‥‥


 グルトネイから100メートルほど離れた海中にアーリカが転送された。


 「スノウ船長。アーリカを転送しました」

 「よし、あとはシルゼヴァに任せればいい」

 「承知しました」


――アーリカの仮想空間――


 洋上にクルーザーが浮かんでいる。

 だが先ほどから景色は一変していた。

 前方100メートル付近に巨大な黒い塊が出現したのだ。


 「アーリカは洋上に転送された。前方のあの黒い塊は巨大戦艦グルトネイだ。既にシンザが扉の座標を突き止めており、リュクスが前方の黒い塊にマークを入れている。俺たちはアーリカをその目標に向けて進めて角を突き刺す。準備はいいか?」

 『おう!』


 ギュルルルル‥‥ギュゥゥゥゥン!!


 戦闘船アーリカが黒い塊のグルトネイに向かって進み徐々にスピードを上げていく。


 「(つの)変形」


 ギュワァァァァァン‥‥


 3本生えている角の位置が全て前方へと動き始め、太い角になった。

 前方に見えるグルトネイに赤い点とその上に “ターゲット” という文字が浮かび始めた。


 「あそこだな」


 アーリカは更にスピードを上げる。


――現実世界――


 「アーリカは無事に転送されたみたいだね。角の位置が変形してまっすぐここへ向かっているということは座標も認識できているってことか」

 

 シュン‥‥


 「シンザ、怪我はないか?」

 

 ルナリが瞬間移動のような速さでシンザの背後にやってきた。

 既に扉を特定しているため、負の情念の網の目を解除し、シンザを守るためにこの場所へとやってきたのだ。

 ルナリは負の情念のエネルギー波で幾重にもバリアを張った。


 ガン!ガカカン!!


 スノウとフランシアへの攻撃の合間を縫ってグルトネイはシンザとルナリへ禍槌(カヅチ)を打ってきていたのだ。

 ルナリは何度もバリアを張り、シンザを守っている。


 「ここならアーリカが突っ込んできても被害は受けないね?」

 「ああ。大丈夫だ。仮に何かあっても我が守るゆえ、安心するがいい」

 「ありがとうルナリ。君は本当に優しいね」

 「な!何という‥‥」


 ルナリは目から涙を流し始めた。


 「ルナリ、涙が!」

 「おぉ‥‥これが泣くという反応か。悲しくなくとも涙とは出るものなのだな。むしろ真逆の至極の喜びを感じている状態なのだが」

 「嬉し涙っていうのもあるんだよ」

 「そうか。ならば我はこの先何度も涙を流してしまいそうだ。さぁシンザよ、そろそろアーリカが衝突する。しっかりと掴まっているのだ」

 「うん!」


 ルナリの指摘通り、アーリカが凄まじい勢いでグルトネイに突進してきた。


 ファァァァァァァァァァァ!!


 突如女性の甲高い叫び声のような音が発せられた。


 「まずいな‥‥シア!」

 「はい!」


 シュン‥‥ビュワァァァァ‥‥ピタッ!


 スノウとフランシアは凄まじい速さで急降下し、グルトネイとアーリカの間に入り、アーリカを守るように浮遊した。


 ファァァァァァァァァァァ!!


 悲鳴のような音と共にグルトネイの上部から細い白熱光線が照射され、上空に進んだあと誘導弾のように弧を描いてアーリカの方へと向かってきた。


 スノウとフランシアはアーリカを守るため、エレメント系のバリアの幾重にも重ねて発動した。


 ドッガガガガガガガガガァァァン!!


 (こいつは猛魅禍槌(タケミカヅチ)禍槌(カヅチ)と違って動きが遅い上に範囲も狭く温度も猛魅禍槌(タケミカヅチ)ほど高くない。エレメント系の壁で防ぐことは可能だ。だが、何度も貼り直し続けなきゃならないが!)


 直進するアーリカと共にスノウとフランシアも並飛行しつつエレメント系の壁を発し続けてグルトネイの攻撃を防いでいる。

 アーリカからも禍槌(カヅチ)を発して攻撃を相殺し始めた。


 ズババババババババァァァァン!


 「これならいけるぞ!‥‥な!!‥‥マジか!やばいぞ!」


 スノウは猛魅禍槌(タケミカヅチ)の砲台がアーリカに向けられていることに気づいた。


 「急げシルゼヴァ!」


 グルトネイの砲台が照準をアーリカに定めるべく外殻上を移動している。

 砲台は移動している状態だが、その先端には光が収束し始めている。

 

 「ちっ!時間がない」


 スノウは凄まじい速さで砲台の方へと進んでいく。


 「直接斬ってやる!」


 シュバババババ!!


 「!!」


 砲台の外周から禍槌(カヅチ)が発せられた。


 スカカカカン!!ジャバ!ズバ!


 「うぐぁ!」


 咄嗟に体が反応し、フラガラッハで禍槌(カヅチ)をある程度防ぐも全ては防ぎきれずスノウは禍槌(カヅチ)によって左腕と左脇腹を斬られた。

 左腕は皮一枚で繋がっている状態で、脇腹は内臓が飛び出てくるほどの深傷だった。


 「マスター!」

 「なめるなよ!」


 スノウは左腕がちぎれそうになりながらもフラガラッハを振り下ろし、波動気を纏わせた飛ぶ斬撃を放った。


 ブワァァァァン‥‥シャガガン!


 禍槌(カヅチ)が放たれ、スノウの飛ぶ斬撃が掻き消されたが、連続して禍槌(カヅチ)を放ったことで溜め込んだエネルギーを少し消費してしまったのか、猛魅禍槌(タケミカヅチ)を放つタイミングが少し遅れた。


 「流石だスノウ」


 シルゼヴァは全速力でアーリカを進めた。


 「一気に魔力と生命力を注ぎ込め」

 『おう!』


 ヘラクレス、ソニア、ワサン、ロムロナは自分たちの魔力と生命力を放出し、アーリカにブーストの推進力を与えた。

 それによってアーリカは空中に浮き、そのままグルトネイの扉部分に突っ込んでいく。

 スノウの作り出した隙をついてアーリカは破壊されることなくグルトネイの扉に角を突き刺していく。


 ドグザァァァァァァァ!!


 ギュワァァァァン‥‥誘導白熱光線が放たれる。


 「リュクス」

 「承知しましたシルゼヴァチーフ」


 アーリカが消えていく。


 ドガガガァァァン!!


 アーリカが角を突き刺した扉部分にグルトネイの放った誘導白熱光線が当たり、凄まじい爆発が発生した。

 アーリカは誘導白熱光線があたる直前でヴィマナに転送されたのだ。


 「シア!シンザ!ルナリ!」

 『おう!』


 フランシアとシンザ、ルナリは風穴が開いた扉部分から中へと入っていく。

 スノウはグルトネイの上空に上がり、左腕と脇腹を回復した。


 「だいぶ血が減ったな‥‥だが、猛魅禍槌(タケミカヅチ)をあと2回以上は打たせないとな‥‥」


 スノウはリゾーマタの魔法を連続で放った。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォン!!


 凄まじい爆音が鳴り響く。

 黒煙が湧き起こる。


 「スノウ船長、来ます」

 「ああ」


 猛魅禍槌(タケミカヅチ)が上空に向かって放たれた。


 キィィィィィィィィン‥‥


 スノウはヴィマナのブリッジに転送された。


 ズン‥‥


 スノウは膝をつく。

 

 「スノウ船長、バイタル値が低下しています。これ以上戦闘に参加するのであれば輸血を強く推奨します」

 「そんな猶予は無いだろ。猛魅禍槌(タケミカヅチ)が消えたら再度転送してくれ」

 「承知しました」


 スノウはグルトネイの上空へと転送された。


 キィィィィィィィィィィン‥‥


 「さぁ打ってこい!」

 (素市(もとし)へ攻撃させないように、猛魅禍槌(タケミカヅチ)のエネルギーを使い切らせてやる)


 スノウはふたたびリゾーマタのエレメント系攻撃魔法を連続で放つ。


 ドゴゴガガガガァァァァァァァァン!!


 魔法はグルトネイの障壁に阻まれダメージを与えることが出来ない。

 そして砲台にはふたたび先端に光の粒を収束し始めた。


 シュヴァァァァン‥‥


 スノウはヴィマナに転送された。


 ズン‥‥


 スノウは両膝をついて息を切らしている。


 「はぁはぁ‥‥」

 (出血量が多いと魔力を消費しても体力まで奪われるのかよ‥‥)

 「これ以上の戦闘は危険ですスノウ船長。休養を要請します」

 「却下だ。猛魅禍槌(タケミカヅチ)が消えたら転送してくれ‥‥」

 「承知しました」


 スノウは転送された。

 今度は既にグルトネイの砲台に光が十分に収束されている。


 「マジか‥‥」

 (こいつタイミングずらしてきやがった‥‥)


 グルトネイはスノウが再び転送していくるタイミングを見計らっていたのだ。


 (転送が間に合わな‥‥)

 

 グルトネイは猛魅禍槌(タケミカヅチ)を放った。

 スノウは死を覚悟した。


 バシゥゥゥ‥‥

 

 「!!」


 猛魅禍槌(タケミカヅチ)は不発に終わる。


 「間に合ったか‥‥」


 グルトネイに侵入したフランシア、シンザ、ルナリが内部から破壊し、猛魅禍槌(タケミカヅチ)の機能を停止させたのだった。




いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

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