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<ケセド編> 122.決まりきっている答え

122.決まりきっている答え


 シャキン!!キュワン!ズバァン!!

 ガシッ!


 スノウはキラーマンティスの鎌を手に入れた。

 エクステンドライフソナーで禁樹海の生命反応を捉えた上でキラーマンティスの位置を特定して捉え、一瞬の内に首と鎌を切り落とし手に入れたのだ。

 スノウはイリディアの魔力量に応じてソナー範囲を広げる魔法式を頭の中で描いた上で魔法を発動したのだが、上手くいった。

 無我夢中で見様見真似の発動だったが、スノウの天技エンパスの力で見事に発動させることができたのだった。

 最初は手加減出来なかったため、禁樹海の半分をカバーするとてつもない範囲にソナー展開したのだが、徐々に魔力を抑えていった。

 その中で虫系魔物の動きを一体一体同時に感知し、バッタ系、蝶系、トンボ系、ムカデ系など記憶を頼りにカテゴライズし、ゆっくりと動き一瞬で別の生命反応と重なったものを蟷螂と特定し、そこへ向かったのだ。

 複数の感知対象を同時に認識し、判別するというのはスノウがイリディアが使った魔法式の一部を書き換えた独自の魔法応用だった。

 スノウの推測は正しく、いきなりキラーマンティスに遭遇し鎌を手に入れた。


 ギュワァァァン‥‥


 崩壊核(コラプシオン)のいる広い空間の場所が分からなくなったため、スノウは上空に浮上した。

 そこで驚愕の光景を目にすることになる。


 「!!‥‥一体何が起こったんだ?!」


 小片の破壊者(ガアグシェブラ)が沈黙し、神の塔が破壊され、反転アガスティアの位置が大きく変わっていたのだ。


 「とんでもない爆音が聞こえたとは思っていたが、まさか神の塔が破壊されるとは‥‥いや、あの化け物の攻撃があったといえば頷けるか‥‥!!」


 スノウは周囲を見渡した。

 反転アガスティア落下による凄まじい衝撃波と小片の破壊者(ガアグシェブラ)が放った“アーリカの火(アグニマ)の魔力の炎を帯びた岩や石などによってかなりの広範囲が焼け野原のようになっていたのだ。

 そしてあるはずの街が見当たらなかった。


 「おい‥‥ふざけんなよ‥‥何でポロエテがないんだ?!ハチ!ハチ!!聞こえるかハチ!!」


 スノウは肩に乗っている火の精の分霊を通してハチに問いかけた。

 だが応答がない。

 

 「くそ!!一体何が起こってんだよ!」

 (どうする?!)


 スノウは答えが決まりきっているにも関わらず自問自答した。

 シアを救いにいくためにはポロエテに向かうわけにはいかない。

 だが、今ポロエテに行かなければハチと二度と会えない予感がしていた。

 今ポロエテに行けばハチを救えるかもしれないという根拠のない希望を抱いただけに、スノウは険しい表情で自分を納得させようとしていた。

 

 「くそ!!」


 スノウは禁樹海の中心に向かって進み始めた。

 その時。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 「!!」


 突如ヒンノムの大地が揺れ轟音を放ち始めた。


 「地震か?!」


 グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


 さらに凄まじい轟音が大地から聞こえてきた。

 目視でも大地の揺れが確認できる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 「!!‥‥おいおい‥‥何だよあれは!!」


 アディシェスの地の反転アガスティアが覆う大地の部分が大きく隆起し、そのまま巨大な大地が浮上し始めたのだ。


 「アガスティアとヒンノムの大地が一体化して浮き始めた‥‥一体何が起こっている?!」


 スノウはその場で目の前の信じられない光景に視線が釘付けとなってしまった。


 ヒュゥゥゥゥゥゥン!!


 「!!」


 少し離れた場所に地上から登ってきた者が現れた。

 美しい翼と見惚れるほどの艶やかなキトンを纏った天使だった。


 「あいつは‥‥ハシュマルか?!」


 見窄らしいローブ姿しか見ていなかったが、スノウは感覚的に天使がハシュマルだと理解した。

 反転アガスティアよりも高い高度で静止したハシュマルが片手を上げた。


 「!!」


 スノウは空が一瞬光ったのを認識した。

 次の瞬間、巨大な光の槍が天から反転アガスティア目掛けて飛んできた。


 ヒュゥゥゥン‥‥ドガガガガガガガガ!!


 光の槍は浮上している巨大な大陸に当たったが、何かの壁に阻まれそのまま粉々に砕け散った。

 さらに光の槍が空から降ってきたが、障壁に止められた後、粉々に砕け散った。


 「まさかメギド‥‥メギドが効かないのか?!‥‥何か来る‥‥アディシェスからか?!」


 ヒュン‥ヒュンヒュヒュン‥‥


 突如アディシェス城の方から光の点が見えた。

 次の瞬間。


 ズバババン!!


 アディシェスから放たれた光線がハシュマルを攻撃し美しい翼に穴があき、左腕が吹き飛ばされた。


 ヒュン‥ヒュンヒュヒュン‥‥

 シュバババン!!


 ふたたび光線が放たれるが、ハシュマルはそれを辛うじて避けた後、姿を消した。


 「!!‥‥まるで大陸の要塞‥‥いや戦艦だな‥‥」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 巨大な大陸戦艦が100メートルほど浮上したところで大骨格コスタが再び光り始め、小片の破壊者(ガアグシェブラ)から “アーリカの火(アグニマ)が放たれた。


 「!!‥‥何ていう破壊の力だ‥‥」


 とてつもない超高熱の魔力白熱光線が大陸要塞に向けて飛んでいったが、大陸要塞に届くその直前、何かに阻まれたかのように、一点を中心にして方々に散っていった。


 バシュゥァァァァァァァァァァァ!!


 「おいおい‥‥あれが効かないってのか?」


 ギュワァァァァァァァン‥‥


 大陸戦艦はさらに上昇し徐々に加速し始めた。


 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!


 遥か前方に超巨大な転移魔法陣が形成された。


 「今度は何だ?!‥‥巨大な‥‥転移魔法陣か?!‥‥い、いや違う‥‥魔法陣の奥に見えるのは‥‥カルパか!!‥‥まさかあの大陸戦艦ごと越界しようってのか?!」


 ギュワァァァァァァァァァァァン!


 巨大な転移魔法陣に大陸戦艦が埋もれていくようにして消えた。


 「越界‥‥したのか?!」


 しばしの沈黙の後、凄まじい叫び声がヒンノム全土に響いた。


 「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 突如小片の破壊者(ガアグシェブラ)が口を裂きながら凄まじい叫び声をあげたのだ。

 まるで巨大戦艦を逃してしまったことに凄まじい怒りの感情を露わにしているかのようだった。


 バシュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!


 小片の破壊者(ガアグシェブラ)は無作為にアーリカの火(アグニマ)を履き始めた。


 「やばい!!」


 ダシュゥゥン!!


 スノウは凄まじい速さで禁樹海の中心の開けた空間へと飛んでいく。


 「のわ!!」


 ヴュワンァン!!


 魔力超高熱の白熱光線がスノウに直撃しそうになったがギリギリ躱すことができた。


 「!!」


 スノウは禁樹海の中心部分の開けた空間に、すでにワサンたちが到着しているのを確認した。

 そして開けた場所の中央の空間が不気味に歪んでいるのが見えた。


 「何かいる!!崩壊核(コラプシオン)か!」


 バシュゥゥン!!


 「ワサン!!」

 「!!スノウか!!」


 ガバッ!


 スノウはワサンたちにキラーマンティスの鎌を見せた。


 「よし!崩壊核(コラプシオン)を呼び出すぞ!」


 ギュルルルルルルルルオォォォォォォォ!!

 ギュワァァァァァン‥‥パァァァァン!!


 ワサンの前に超巨大な生物が出現した。

 全身黒紫で透過しているようにも見える深い闇がを帯びた怪物。

 全身に怪しく光る無数の線が走り、そこに脈を打つように薄く光る点が線を辿るように動いている。

 腕のようにも見える触手が無数にあり漂うように蠢いている。

 頭部には巨大な口しかない。

 

 ブフゥォォォォォォォォ‥‥


 周囲に凄まじい風が吹き始めた。


 「これが崩壊核(コラプシオン)じゃな!」

 「ああ!」

 

 イリディアは飛行し上空から崩壊核(コラプシオン)の口の部分を見た。


 「異次元への入り口は見えぬぞ!」

 「大丈夫だ!スノウが鎌を取ってきた!このまま吸い込まれるぞ!」


 バフォォォォォォォォォォォォ!!


 凄まじい吸引の力が働き、とこかに掴まっていないと直ぐに吸い込まれそうになる。


 「本当によいのじゃな!」

 「ああ!」


 ワサンとシンザは掴んでいる木の枝から手を離し、崩壊核(コラプシオン)の口部の方へと引き込まれていった。


 バシュゥゥゥン!!


 ワサンたちが吸い込まれる直前、スノウが飛来しキラーマンティスの鎌を振り翳した。

 同時にスノウのポーチに入っているアガスティアの大地の削り粉、ザーグの歯、ソニアとシンザの耳に付けられている赤い魔力石、カディールの持つ悪魔の角、ライドウの持つマグマ石が光始めた。


 ヴアァァァァン‥‥


 崩壊核(コラプシオン)の口の中が禍々しい咽喉から小宇宙へと変化した。


 バヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!


 スノウ、ワサン、シンザ、ソニアが吸い込まれた。

 そして少し遅れてイリディア、カディール、ライドウ、ルナリが吸い込まれた。


 バジュガァァァァァァン!!


 その直後、小片の破壊者(ガアグシェブラ)の放ったアーリカの火(アグニマ)崩壊核(コラプシオン)を破壊した。





いつも読んで下さって本当に有り難うございます。

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