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<ティフェレト編>22.トラウマ

22.トラウマ



 エスティ、レン、ケリーはメルセンカタラン山脈を左手に見ながら草原地帯を馬車で走っていた。


 「もうすぐだよ。ねえさまたちのところ」


 徐々に見慣れた景色になってきたようでケリーが反応した。

 ここまでの道中何度か魔物に遭遇したがエスティにとっては造作もなかったのでほぼ危険のない旅になっていた。

 しばらく馬車を進めると岩場にさしかかった。


 「この岩ゴツゴツの向こうがケリーの村だよ」


 「いよいよね。無事だといいけど‥‥あ、いえ、無事に決まってる!そうよね!レン!」


 「えぁぁ!?そうっす!間違いないっす!」


 (相変わらずアネゴの焦ってオイラに振ってくるのやめて欲しいっすよ‥‥)


 「でもここで馬車を降りていかないとならなそうね。あそこの物陰に馬車を置いていきましょう。レン、留守番していて?」


 「えー!オイラも行きたいっすよ‥‥」


 「じゃぁ馬車このままにしておくつもり?」


 「分かりましたっすよ‥‥」


 不貞腐(ふてくさ)れているレンを置いてエスティとケリーは岩場の奥に進んでいく。

 足場の悪い岩場を抜けるとそこはまさに絶景だった。

 メルセンカタラン山脈とカレンザカタラン山脈の交わっている場所で麓の草原地帯には緑が生い茂っていた。

 天気は良く澄んだ青空が広がっているため、足元からゆっくりと空を見上げていくと、美しい緑から少しずつ山脈の雪化粧の眩しい白に変わり、澄み渡る青に移っていくコントラストが見える。


 「綺麗‥‥」


 エスティはこの世界に来て初めて陸地に足をつけたが、生まれ育ったホドは人工物と空・海の青一色だったため、このような壮大かつ色鮮やかな自然に触れるのは初めてで感動し心震えていたのだ。

 一面牧草地帯で遠くに山脈の見えたスタン、ローリー夫婦の家も素敵だったが、この鮮やかなコントラストはまさに絶景だった。

 こんなところで育っていたらもっと違う自分になっていたのかもとエスティは思った。


 「あっちだよー」


 ケリーの指差す方向に歩いて向かうと小高い丘が見えた。

 その先に小さな森がある。


 「あの森の中がケリーの村だよ」


 丘を登りきると待ちきれないとばかりにケリーは翼を広げて村の方へ向かって飛んでいった。

 エスティも足早に後を追いかける。

 エスティは森の中に入る。

 木漏れ日の中しっとりとした深緑と輝く緑のギャップが美しい。

 自然の美しさの連続にエスティは感動しながら足を進めた。

 しばらく進むと一気に開けた場所に出る。

 中心に祭壇のようなものがあり、その周りの木々の上にはハーピーが住んでいると思われる立派な家が無数に建てられていた。

 奥には切り立った崖がありその側面にもいくつかの穴が空いていてそこもハーピーの住処のようだ。


 「ケリー?どこにいるのー?」


 一足先に村に入ったケリーが見当たらない。

 ざっと見回しても気配がない。


 カラン‥‥


 エスティは物音のした奥の崖の住処の方に向かう。

 奥に歩いていくとケリーが立っていた。

 その前にいくつかの影が見える。


 (まさか?!遅かった?!)


 エスティは急ぎケリーのそばに駆け寄る。


 「ケリー!」


 目の前にいたのは人間だった。

 しかも見覚えのある顔だった。


 「この人、確かレネトーズ卿の屋敷にいた召使いの。だ、大丈夫?!」


 エスティは倒れている人たちをさすって生死を確認する。

 一応息はあるようだ。


 「大丈夫?」


 「ん‥‥あ、あなたは‥‥」


 「目が覚めたようね。あなたたち一体ここで何しているの?何があった?!」


 「そ、それは‥‥」


 「エスティ!怖い!ねえさまたちの匂いがするのに声が聞こえない!代わりに怖い声が聞こえるの!!」


 ゴカッ!!


 「ケリーだい‥がはっ!!」


 「エスティ!!」


 「それはね。あんた達を待ち伏せていたんだよ。この女を縛り上げろ。ハルピュイアも連れて行け」


 背後から忍び寄った影に後頭部を打たれたエスティはその場で気を失ってしまった。

 ケリーも他の人影に取り押さえられてしまった。



・・・・・


・・・



 「ん‥‥んん‥‥」


 ゆっくりと目を開けるエスティ。

 目の前には羽をむしられて吊るされている4体のハーピー、いやハルピュイアがいる。

 その中にはケリーの姿もあった。


 「ケリー!!あなたたち何てひどいことを!!」


 反応がない。

 エスティはライフソナーを唱える。

 一応4体とも生命反応はあるようでひとまず安心したが、やっと自分の体の自由が効かないことに気づいた。

 両手を後ろに縛られ座る形で木にくくりつけられていた。


 「おお、気づいたかい?」


 「あ、あなた達は一体何者?!目的は何なの?まさか王室クエスト?」


 「はっはっは!馬鹿馬鹿しい。なぜ俺たちがあんなチンケなクエスト目当てにこんな所まで来なきゃ行けねぇんだよ」


 「一体あなたたちは?!」


 エスティは周りを見渡すと、自分と同じように何人かが後ろに手を縛られて木にくくりつけられている。

 見ると木に括られているのはレネトーズ卿の使用人たちだった。

 エスティは彼らのうち近くにいる意識ある者に小声で話しかける。


 「そこのあなた‥‥一体これはどういうことなの?あなたレネトーズ卿のところで働いている人よね?私のこと見たことあるわよね?」


 「エスティ様‥‥ですね。実は私たちもあなた様方を待ち伏せていたのです。火事の後、ハルピュイアの焼死体が実は偽物だと発覚し、コグラン様に問い詰められたのです。もちろんあの一件から恐ろしくて皆レネトーズ様のお屋敷での仕事は辞めたのですが、気づくと働いていたのです。コグラン様の目を見るとどうしても働かなければならないと思ってしまう。それで今回、エスティ様のお顔を見たことのある者がハルピュイア捕獲の指示を受けてここまでやってきたのです。コグラン様からエスティ様たちが(かくま)っている1体とこの村にいる3体全て捕らえよという命を受けて」


 「なんですって?!」


 「も、もちろん私たちは抗おうとしましたが、どうしてもできなかったのです」


 「それは分かったわ」


 (恐らくスノウの言っていた言霊っていうやつね。でもあれを使えるのってプレクトラム王だけって聞いたけど‥‥)


 「それであの者たちは?」


 「私たちの護衛として雇った傭兵です。フォックスに登録されている中で最も強いキュリアを選び雇ったのですが、私たちの目的を聞いてしまった事で王室クエストの報酬よりも、レネトーズ卿と交渉した方がより莫大な報酬が得られるとなったのでしょう。ここへ着くなりみな襲われこの通り縛られている次第です」


 「自業自得ね。あなたたちも私やケリー、あの羽をムシられたハルピュイアを捕らえるつもりだったのでしょう?」


 「いえ、私たちは交渉しようと考えておりました。あの恐ろしいローマンからお救い頂いた恩あるお方ですから決してこのような暴力に訴えるような事は考えておりませんでした。ですが他の3体のハルピュイアは捕らえて帰るつもりでしたが‥‥」


 「仮に交渉でもあたしは断ったよ。そうしたらどうしていたの?」


 「正直に断られたと申し上げるくらいしか考えておりませんでした‥‥申し訳ございません」


 「あなたたち馬鹿だわね。本当に馬鹿すぎる。そんな事言ったらあのコグランに殺されて終わるわよ。それであいつらはこれから私たちやハルピュイアたちをどうしようとしているの?」


 「わかりませんが、恐らくあのハルピュイアをどこかに隠して多額の金品を要求するものかと思われます。金品はここまで運ばせて場合によっては途中で強奪し、再度金品要求することも想定されます‥‥」


 「冒険者の名を汚す犯罪集団ね‥‥」


 「オイ!おめぇら何こそこそ話してんだよ!ぶっころすぞ!ってかぁ?!ははっはーっ!」


 酒を飲み酔った風の男が騒ぐ。


 「おい!お前こそ飲みすぎるんじゃねぇ!ここからが本番だ!お前ら気を抜くんじゃねぇぞ!」


 今叫んだ男がこの一味のまとめ役のようだった。

 エスティはこの状況下でも冷静だった。

 喜怒哀楽の激しい女性ではあるものの、幼いころからの戦闘訓練や実戦によって、そして特に憧れたエントワの教えもありこのような戦闘状態では冷静でいられるようになっていたのだ。

 エスティはバングルの中に忍ばせていた小型ナイフで縄を切っていく。

 頑丈な縄のため、切れ味のよくない小型ナイフでは時間がかかるがそれでも5〜6分で切れるとふんでいた。


 「もうそろそろ飛ばした鳥がレネトーズの屋敷そばにいる仲間のところについたころだろう」

 「そうだな。まぁ4体全て揃えた状態だ。俺たちの要求に応えるしかねぇだろう」

 「これで大金持ちだな」

 「俺はこの金で故郷のシベレンで冒険者相手の酒場をやるぜ」

 「俺は女を侍らせて楽しむぜ」

 「悪くねぇな!だがお前ぇのことだ、すぐ騙されて金全て巻き上げられそうだな!はははは!」


 数人の冒険者崩れの一味はそれぞれ勝手なことを言って盛り上がっている。

 ケリーをはじめ4体のハルピュイアたちは薬で眠らされているようで生命反応はあるが動く気配はない。

 羽をむしられた痛みを感じていないだけマシか、とエスティは思った。

 そしてそろそろ縄が切れそうなところまできている。


 「!!」


 エスティは急に空気が重くなったのを感じ警戒する。

 重いというより痛い感じだ。


 「な、なんだ?急に頭が痛くなってしかも潰されるような感じで立ってられねぇ‥‥」


 「うおおお!!なんだよこれぁ!!」


 この異様な雰囲気を感じているのはエスティだけではなく、この場にいる全員のようだ。

 数人の冒険者崩れは四つん這いになり必死にこの押し潰されるような圧力に耐えている。


 「はぁ、全く。いったい僕の指示をきちんと完遂できる存在はいないのですかね」


 「!!」


 聞き覚えのある声の方向を向きエスティは驚愕する。

 いつのまにか四つん這いになっている冒険者崩れを椅子代わりにして座っている男がいる。


 コグランだった。


 しかもその様子は以前見たコグランではなく、頭から角が生え背中には尻尾のようなものが(うごめ)いている。

 手の爪は鋭く伸びており、目は黄色に怪しく輝いている。


 「さて。このような下らない手紙を送ってよこしたのはどこの誰でしょうか」


 そう言いながらコグランと思しき存在は何かを投げた。


 「うわぁぁぁぁ!!」


 転がったのは人間の生首で目はくり抜かれ歯も全て抜かれていたが、冒険者崩れにはそれが誰か分かったのだろう。

 首の主はハルピュイアを捉えた手紙を受け取り、レネトーズ卿との交渉にあたった仲間だった。


 「ぎやああああああ!!」


 「ああ、間違えました。手紙はこちらでした」


 そう言いながらコグランは手紙を放り投げた。


 「このように僕自身が出向くと、人間に遣われているみたいで虫唾が走るのですよね。でもなぜか、ここのところ上手くいかない。怒りで人間に変化しているのが少し解けてしまっているではないですか。この代償は大きいですよ?みなさん」


 そう言いながら立ち上がるコグラン。

 エスティはまだ縄を切り終えていなかった。

 この重圧と隙のないコグランの様子から縄を切る手が止まっていたのだ。


 「顔、潰れてしまいなさい」


 そうコグランが言うと、指さした方向にいる冒険者崩れの1人の顔がまるで頭の中心にブラックホールでもできたかのように中心に向かって吸い込まれるように潰れていく。


 「ぐべぇ‥‥」


 男は一瞬にして息絶えた。

 首だけ無くなっていた。


 「あなたは全身細切れなさい」


 その隣を指さしてコグランが告げると、対象の男は突然全身から血を吹き出してバラバラになった。


 「あなたは‥‥そうですね。溶けなさい」


 するとその隣の男が突然液体のように溶け出して跡形も無くなった。

 そうしてコグランは次々に冒険者崩れの男たちを言葉ひとつで絶命させていく。

 全ての冒険者崩れが跡形も無くなった。


 「さて、アエロー、オキュペテー、ボダルゲ、そしてケライノー。4体いますね。ケライノーがいるという事はローマン、いやニスロクを還してくれた者、もしくはその仲間がこの場にいるという事ですか」


 エスティは急いで縄を切りにかかる。


 「あなたたちはレネトーズの屋敷で見ましたね」


 そう言いながら目線をエスティの方に向ける。


 「つまり、あなたですね?僕の邪魔をしてくれている下衆な人間は。あなたは言霊(プネウマ)で殺すのはつまらないですし、僕の気も晴れませんから直々に八つ裂きにして(はらわた)をぶちまけてあなた自身に食わせながら殺してあげましょうね」


 そういうとコグランはゆっくりエスティの方に足を進めて来る。

 エスティは手を縛る縄を切ろうと小型ナイフを素早く動かす。

 コグランが目の前に立ち右手を振り上げる。

 振り上げると同時にするどい爪がが徐々に伸びていく。


 「さぁ、おしまいです」


 シャバン!!


 コグランの素早い切り裂く動きは空を切った。

 エスティは寸前で縄を切り、素早くよけたのだ。


 「あああああ!!イラつきますね!まぁでもいいでしょう。抗う人間をいたぶるのは嫌いじゃぁありません」


 エスティはありったけの肉体強化魔法をかけて凄まじい速さで動き、自身の武器を手に取り構える。


 「あ、あなたは一体何者?!」


 「おやおや、人間の分際で僕に質問ですか?あなたはミミズに名を聞かれて素直に答えるのですか?」


 「ミ、ミミズが喋るわけないでしょう‥‥」


 「しゃべりますよ?知らないのですか?ほら、あなたの周りのたくさんのミミズがあなたに問いかけていますよ」


 「あなたは一体何者?」

 「あなたは一体何者?」

 「あなたは一体何者?」

 「あなたは一体何者?」

 「あなたは一体何者?」


 「ぎゃぁーーーーー!!!」


 エスティはいつのまにか周囲に無数の大きなミミズが這って自分に問いかけている様をみて驚愕する。


 「んん?何ですか?あなたは “ぎゃぁ” という存在という事ですか?ダメですよ?きちんと答えてあげないと。あなた、自分ができない事を他人に押し付けるタイプの人間ですか?わがままですね。土人形の分際で」


 エスティは手に剣を握り、ミミズを切っていく。


 「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!」


 ミミズから悲鳴が聞こえる。

 無我夢中で切り刻んだあと我に帰るとそこには無数のバラバラに切り刻まれた死体が転がっていた。

 レネトーズ卿の使用人たちだった。


 「え?!何で‥‥」


 「あらあら、みんな殺してしまったようですね。全く面倒な事をして。僕がまた使用人を探して雇わなければならないじゃないですか」


 「ゆ、許さない‥‥」


 エスティは涙目になりながらも圧倒的な力の差に屈しないよう必死に精神を保ちながら剣をコグランに向ける。


 「許さない?‥‥カカカ!笑えますね。殺したのはあなたですよ?」


 「殺す!」


 エスティは凄まじい速さで剣撃を繰り出しコグランを突き刺していく。


 ズザ!ズザ!ズザ!


 「おや、殺す?僕をですか?威勢がいいですがあなたが刺しているのは誰でしょう?」


 耳元でコグランの声がしたため、声の方向に向かって剣を振るが、虚しく空を切る。

 では、自分が突き刺した者は?とエスティは振り返る。

 すると目の前に全身から血を流し恨めしい顔で自分を見つめるエントワがいた。


 「お、おじさまぁぁぁぁ!!」


 「あららぁ。また別の人間を殺してしまいましたね。その人間はあなたの大切な者の1人のようですが、無惨にも何度も何度も何度も何度も何度も、あーなーたーに!刺されて死んでしまいましたね!」


 エスティは精気が抜けたように地面に膝をつき項垂れる。


 「あたしが‥‥エントワおじさまを‥‥殺した‥‥の?」


 「その通り!あなたは自分の周りの人間をどんどん殺していきます。自分が不用意に信じた敵のために命を落としたそのエントワという人間はあなたが殺したも同然です。そうやってあなたは自分が信じた者に大切な者たちを殺されていく。その罪を背負って自分の内臓を食べて死ぬのです、カカカ」


 「あたしは‥‥みんなを‥‥不幸にする‥‥」


 「ものわかりが良くて助かります。それでは死んでもらいましょうか」


 コグランは手を思い切り振り上げる。


 ジャバァァァァ!!


 鋭く長い爪が思いきり切り裂く。


 「カカカカカ!!!苦悩に満ち絶望した人間を切り刻むのは実に快感です!」


 そうして何度も何度も切り刻む。


 「カカカカ!!!」


 ふと切り刻んでいる体から血が噴き出ない事に疑問を抱き手を止めるコグラン。

 あたりを見渡すと眩い日の光がさしている。

 目の前のエスティの死体に目をやるとそこにあったのは束ねられた藁だった。


 「!!」


 「ベルフェゴール。この者たちはまだやるべき事があります。殺させませんよ」


 コグランは思わず後ろに飛び退く。


 「こ、この声は‥‥お前か?!」


 「誰の差金かは知りませんが少し派手にやりすぎましたね、ベルフェゴール」


 「僕の名を知っているという事はお前だな?ミカエル!」


 コグランは目を閉じ声のする方向に向かって叫んだ。

 彼がミカエルと呼んだ先には直視できないほどの眩い光があるためだ。

 そして当のコグランはベルフェゴールという名の悪魔だった。


 「お前たち天使こそ一体何の用があってわざわざ介入するのですか?もはやこの世界にかつての力はない。創り変える者を待っているのです。今更お前たちの出番などないのですよ?」


 「それは貴様が決める事ではありません。さぁ去りなさい。出なければ還っていただく」


 「カカカ‥‥いいでしょう。今日のところは引いてあげましょう。ですが、お前がいるという事でこちらも準備をし直す事にします。かつての力を持っていないお前たちがどれほど抗えるのか楽しみにしていますよ」


 そう言い放つとベルフェゴールは砂のようにかき消えた。



・・・・・


・・・



 「‥‥ん‥‥あ、あぎゃぁぁぁぁ!!」


 悲鳴を上げながら目を覚ますエスティ。

 コグラン、いやベルフェゴールに痛めつけられた精神的ダメージがあるためだ。

 周りを見回すと冒険者崩れたちは見るも無惨な死体となっていたが、レネトーズ卿の使用人たちは木に括り付けられているだけで無事だった。


 「幻‥覚‥だったの?」


 恐ろしく生々しい使用人たちを切り刻んだ感覚やエントワを何度も串刺した感触がまだ残っており、目の前の光景を見ても幻覚とは信じられなかった。

 何より裏切り者のジライによってレヴルストラの仲間が窮地に立ち、エントワが殺された状況が自分がライジを信頼した事が原因で起こった事実として突きつけられた事で、かろうじて保っていたエスティの精神を著しく揺さぶっていた。

 エスティは涙が止まらずただただ泣きじゃくっていた。




12/18修正

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だいたい2日に1話のペースでアップしていきます。

準備している様々な伏線をつなげていくのに苦労していてなかなか進まず・・・という感じです。

複雑ですが最後には回収できるように頑張りたいと思います。

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