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<ティフェレト編>9.グランディディエライト

9.グランディディエライト



 「いったん箱に戻ってもらうよ。嫌な気持ちになるだろうけど我慢してな?」


 スノウは自分の顔が見られれば少しは安心するだろうと思い、元いた世界から持ってきていた免許証をケリーに手渡した。


 「ありがとう!えへへ」


 免許証の意味を知ったらがっかりするかもしれないが、この世界の生き物には日本語など読めないため、ケリーにとってはスノウの顔が写っているだけで安心材料になる。

 ケリーにとってはそれでよかった。


 「でもなんかおじさんだねー」


 (やべぇ‥‥すっかりこの若い姿に慣れてしまっていて免許証がおっさんの時のものだって忘れてた‥‥)


 写りが多少ボケているので然程ではないが、それでもやはり40前の顔の老け具合は出てしまっている。


 「あはは‥‥風邪でも引いてた時のやつかなーははは‥‥」


 うまく誤魔化しケリーを荷馬車の箱の中へ戻すと、スノウは護衛馬車に戻り警備を続ける事にした。

 

 道中何度か魔物に襲われる事態に遭遇した。

 巨大なコブラのような魔物や人間以上の大きさのコウモリの集団、超巨大ムカデなどいずれも元々いた護衛では対処できないような魔物が襲ってきたがスノウ、エスティにとっては簡単な仕事だった。

 ただ一つ厄介だったのは野球ボールくらいの大きさの蚊のような魔物の群れが襲ってきた時だった。

 人が襲われるのはスノウのリゾーマタ系魔法で阻止したもの、荷馬車の馬が血を吸われてしまったのだ。

 血を吸われた部分が大きく膨れ上がり、馬は気が触れたように暴れ出した。

 荷馬車ごとどこかへ走り去りそうな勢いだったため、すかさずスノウは馬と荷馬車を切り離したが馬はそのままどこかへ走り去ってしまった。

 それにより荷馬車を引けなくなったが、暴れて荷馬車が破壊されるような事があればそれこそ大問題だ。

 致し方ない行動だったが、荷馬車部分を置いていくわけにもいかないので護衛馬車の馬を荷馬車につなぎ、護衛馬車はそこで捨てる事なった。

 スノウ達はチャンスとばかりに荷馬車に乗ると申し出たがレネトーズ卿はがんとして許さなかった。

 レネトーズ卿は、自分の空間にどこの馬の骨ともわからない冒険者風情が踏み込んでくる事に隠せない苛立ちを覚えたが、荷馬車に乗せるわけにはいかない事情もあり仕方なく豪華な馬車にスノウとエスティを乗せる事にしたのだ。

 スノウはスノウで荷馬車に乗れなかった苛立ちがあった。

 思惑は違うも両者とも苛立ちながら一つ馬車に乗り込んだ。

 レネトーズ卿はフテ寝を決め込んだがそのまま熟睡してしまったので、スノウとエスティも交代で仮眠を取る事ができた。

 気まずい雰囲気を予想していただけに、会話しなくてもよい状況はスノウとエスティのストレスを大分軽減した。



・・・・・


・・・



 約1日で無事にメルセン樹林を抜けた。

 そこからは見晴らしもよく襲ってくる魔物もほとんどいないという事もあり順調だった。

 半日も進んだところで前方に城壁に囲まれた大きな街が見え始めた。

 メルセボーだ。

 一行は無事にメルセボーに到着した。

 スノウとエスティはレネトーズ卿の計らいもあり、街一番の宿に泊めてもらうことになった。

 謝礼は用立てた後の翌朝に渡すとのことで、一旦同じ宿に泊まることなったのだ。

 スノウはスタンの家で自分を介抱してくれたという医者のリクドーを尋ねた。

 彼はスノウが回復したのを驚きつつも喜んでくれた。

 スノウは自分たちが記憶喪失だという事を伝え、この街のことを尋ねた。

 リクドーによると、メルセボーはメルセン地方からこの世界最大都市ノーンザーレやラザレ王宮都のあるノーンザ中央地に入るいわば関所のような役割も果たしており、この街に入るのは容易いがノーンザ中央地に向けて出ることは非常に難しいというものだった。

 冒険者であっても通行証が必要であり、エメラルド級以上でなければ通行証は発行してもらえない。

 しかも、誰かしらノーンザ中央地に住む者からの推薦状がなければ通行証がもらえないという何重にもクリアしなければならないハードルがあった。それだけ王都に近い場所に入る者を厳重に管理したいということが窺えた。

 推薦状はノーンザ中央地とのパイプのある上流階級が出すこが多いため、フォックスで依頼されるクエストは貴族などの上流階級が出すものは時に死人が出るほど取り合いになることもあるらしい。

 冒険者以外でも通行証が必要とのことだった。

 医者などは無期限の通行証を得ることは容易いらしいが、それ以外の者はほとんど通行証を得ることが許されず、仮に取得できても短期の期限付きになるとのことだった。

 因みに通行証を持たずにノーンザーレやラザレ王宮都訪れると最悪その場で処刑される。

 仮に通行証なしで入り込んでも、通行証を見せなければならない関所が多く行けるところがほとんどない上、フォックスで受けられるクエストも通行証がなければ儲け率の高いノーンザ中央地のそれを受けられなかった。

 そのため通行証を持たずにノーンザ中央地に入る者はほとんどいなかった。

 この世界の西側にあるコンレン地方はマルシュ川を越えないとならないが、巨大な川で且つ流れが速いらしく泳いで渡るのは死を意味する。

 どうしても渡りたいならラザレ王宮都から設置されている巨大な橋を渡るしかない。

 そして、北に位置するメーンザーレは獣人の街らしくわざわざ出向く者はいないということだった。


 (やはりおかしい。この国にも支配者と被支配者がいて、被支配者はなんらかの形で虐げられているようだ。気持ち悪いのはスタンのように不満を抱くどころか良き王だと言っている点だ。もう少しこの世界の状況を把握する必要があるな‥‥‥)


 スノウとエスティはリクドーに礼を言い、彼の病院を後にした。



・・・・・


・・・



 翌朝、スノウたちはレネトーズ卿に呼び出された。


 「おお、スノウ君、エスティ君よく眠れたかね?すまないね、本当はもっと良い宿で休んでもらいたかったのだが、なにぶんここはメルセボー。これでもこの街で最も高級な宿なんだがノーンザーレに比べるとはるかに格下でね」


 自分は大貴族である事を要所要所で誇示したいようだ。


 「いえ、私共のような身分の者にはこれ以上ないほどの上宿です。寛大なご好意で同じ宿に泊めさせていただき感謝の言葉もございません」


 「がっはは、いやいや満足してもらえたならいい」


 そういうと左手の人差し指をクイクイっと動かして御者を呼んだ。


 「謝礼だ受け取り給え」


 「ありがとうございます。ところでノーンザーレまでの護衛はもうお手配されていらっしゃいますか?」


 「あぁ。既にこの者がフォックスに依頼済みだ。この街は冒険者には困らんからな。まぁこの先は大した魔物もいないからエメラルド級冒険者で十分だ」


 「もしよろしければ、私共にお供させていただけませんか?」


 「ほう。其方達であれば腕は申し分ないし、仮に強い魔物が出た場合も安心だが、そこまで高い謝礼は不要だからな」


 「いえ、謝礼は既にいただいたもので結構でございます」


 「おお!そうか!まぁたんまり渡したからな!」


 「その代わりと言ってはなんですが‥‥」


 「ははぁん。通行証が欲しいのだな?」


 「流石はレネトーズ卿。もし通行証発行のための推薦状を頂けるのであれば、今後も何かある際にはいの一番に馳せ参じて護衛させていただきますがいかがでしょう?」


 「おお、なるほどな。お安い御用だ。私の推薦状があれば、無期限の通行証も簡単に手に入るだろう」


 「ありがとうございます」


 「では決まりだ!早速推薦状を書いてやるから直ぐにでも通行証をフォックスにもらってくるといい」


 「しばしお時間をいただきますがご容赦ください」


 「なぁに、これから人に会うからな。昼過ぎ迄に戻ってくれば問題はない」


 スノウとエスティはレネトーズ卿の推薦状を手にフォックスに向かう。

 ホドに戻る術を探る上で、この世界最大都市ノーンザーレやラザレ王宮都にいくことは必須だった。

 しかも簡単に手に入らない通行証を手に入れられるチャンスだ。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。


 「!」


 肝心な事を忘れていたとスノウは思った。


 「おれ、まだエメラルド級以上になっていないかもしれない‥‥」


 「だ、大丈夫でしょ!」


 (この男、自分がどんだけ強いか分かってないのかしら。本当に馬鹿だわ)


 エスティ曰く、こなしたクエストに応じたランクアップではなく、実際の強さをマジックアイテムの台座が読み取ってそれに見合ったクラスにしてくれるのだということだった。


 「スノウは間違いなくダイヤモンド級以上だわ」


 「だといいけどな‥‥」


 エスティとスノウは、メルセンのフォックス(FOCs)に着いた。

 ホドで初めて訪れた風景と同様に、長いカウンターの右端に石臼のように見える円柱状の石でできた何かがあり、その奥に受付の女性が座っていて、やたら息巻いている男の応対をしている。

 聞こえてくる会話から冒険者登録をしに来た人のようだ。


「俺の素質からいけば勇者か魔剣士あたりだろうな!驚くなよ?」


 一緒に冒険者登録をしに来たらしい仲間二人にそう息巻いている。


 「それでは両手をこの台の上に乗せて意識を集中してください。あなたの潜在能力を引き出し、眠っている天職を表示します。それに合わせて固有能力が使えるようになるのと、職業によっては高等魔法も使えるようになるかもしれません。」


 事務的に応対する受付の女。円柱状の台に手を乗せたこうるさい男はさらに息巻く。


 「よし!おらぁ!こい!はぁっ!!」


 (デジャブか?)


 スノウはホドで初めて訪れたフォックスで似たようなやりとりがあったことを思い出して苦笑いした。

 しばらくすると息巻いている男の手が光り、円柱状の台が黄色に光り出す。

 手を乗せた面には何やら文字が浮かび上がっているようだ。


 「おお!!黄金色!勇者か!、んん?なになに?固有能力はぁ。。ヘヴィーエンカウンター?なんだこれ?」


 「天職および固有能力の獲得おめでとうございます。それでは申し上げますね。色はオーカー、これは天職 木こりを表します。固有能力ヘヴィーエンカウンターは魔物を極端に引き寄せるパッシブ能力になります」


 「ぬぁぁぁっぁにぃぃぃぃ!う、うそだー!、おい!いい加減にしろよ!なんだこのマジックツールは!壊れてんじゃねぇのか?おれは勇者になる男だぞ?!」


 「お客様、落ち着いてください。ちなみに貴方が使える魔法があります。生まれながらに持つ精霊加護がひとつあるようです」


 「おお!なんだ?魔法が使えるってか!それはどんな種類の魔法だ?まさか!伝説の原初魔法アルケー系か?それとも神秘魔法のミュトス系か?」


 「いえ、ウルソーですね。肉体強化や滋養強壮といった類の魔法が使えます」


 「よぉし、ふざけんな!いよいよ木こりを極める気か!俺がそんな下等な魔法の使い手なわけねーだろ!てめぇやり直せ!」


 罵倒を浴びせながら受付女の胸ぐらを掴みかかろうとした時、一瞬見失うほどの速度でスノウがその男の横に詰め寄り、掴みかかろうとした腕を握りひねり上げながら一言言い放った。


 「ダンディズムとは自身に関わる全ての物事を受け入れ、ただひたすらに己を磨くこと。癇癪を起こし女性に手をあげようとするとは男を名乗る資格なし。おとなしく去れ」


 スノウはスッと伸びた姿勢で喚き散らしていた男の腕をひねり上げている。

 あまりの激痛に声もでない威勢のいい男は涙目になりながら走り去っていく。

 連れの二人も申し訳なさそうにお辞儀をして追いかける。

 まわりからは拍手とともに一部ざわめきが起こる。


 (一体誰だ?ものすごい速さだったぞ?!きっとダイヤモンド級だぜ?!)


 (まさか、こんなところにいるわけないって!ダイヤモンド級だったら既に知れ渡ってるはずだろ?)


 「ありがとうございます。冒険者の方。」


 受付女が答える。


 「いえ、当然の事をしただけです。それより天職照会と冒険者ランク確認をしたいのですがご対応いただけますか?私とこの女性です」


 「一体何者なんだ?」

 「あの紫髪の女も相当な使い手だぜ?」

 「でもなんでみんな知らねぇんだ?」

 「コンレンかメーンザあたりから来たんじゃねぇのか?」


 どよめきの中、スノウが背負っているフラガラッハの位置を直す動作をした瞬間に周りに緊張が走り一瞬にして静まり返る。


 「えぇ、もちろんです」


 受付嬢は全てを把握しているかのように笑顔で答える。


 「それでは両手をこの台の上に乗せてください」


 「ありがとう」


 内心どんな結果が出るかドキドキしているスノウ。

 大学入試の合否発表前の状態に似ているとスノウは思った。

 促されるままに手を置く。


 (前回は自分の天職ってのは分からなかったからな。やっと知ることができる。えぇっとなんだっけ、集中だったか)


 目を閉じ意識を自分の内面に集中させてみる。

 なにやら頭の奥のほうから小さな光が現れ少しずつ大きくなっていくのが見える。

 その光は七色に光っているようでどんどん大きくなっていき、やがて自分の意識を丸呑みするかのような勢いで視界が包み込まれていくのを感じた。

 その瞬間、ドン!!という大きな音とともに台座が真っ二つに割れた。


 「きゃ!な、なにこれ‥‥」


 「これはレベル10のマジックアイテムのはず。その魔力は第3階級悪魔ですら壊すことのできない代物の‥‥それが壊れるというのは?!」


 受付の女性は驚きを隠せずに声を漏らす。

 エスティも一瞬驚いたが、これまで理解を超えた出来事の連続だったこともあり直ぐに平静を取り戻していた。


 「またか‥‥」


 前回同様に何故か壊せないレベルの代物が壊れてしまった。


 「あぁ、いぇ、ちょっとあとで原因は調べますが、残念ながら貴方の天職は分からないということですね‥‥あ、でも冒険者ランクは見えますね」


 割れた台座に浮かび上がる文字を必死に読み取って答える受付の女性。

 ありえない事態なのであろう、相当狼狽しているようだが、そこはプロだ、仕事はきちんとこなす。


 「えぇっとお名前はスノウ‥‥さんですね。現在はレベル1‥7‥3‥‥‥173?!ですね。ランクはぐらんでぃでぃえらいと‥‥グランディディエライト?!‥‥です!前回登録レベルは、はぁ?!い‥‥1??」


 驚く受付女性。

 エスティも驚きを隠せないようだ。


 (グランディディエライト?なんだそりゃ?聞いたことない宝石名だな)


 冒険者ランクは宝石で例えられている。

 値打ちの高いものほど、高レベルの冒険者という仕組みだ。

 大きくふたつに分かれている。

 ダイヤモンド以下とダイヤモンドより上だ。

 これは、ほとんどの冒険者がダイヤモンドになれない為、まずはダイヤモンドを目指す冒険者が多いことからダイヤモンドより上のランクについてはほぼ触れられることがないからだ。

 冒険者ランクは以下の通りだ。


 レッドベリル(最高位ランク)

    ↑

 エレーメージェバイト

    ↑

 グランディディエライト

    ↑

 ポートレッタイト

    ↑

 タンザナイト(人間における最高位ランク)

    ↑

 レッドダイヤモンド

    ↑

 ダイヤモンド(上級ランク)

    ↑

 エメラルド(通行証入手基準ランク)

    ↑

 サファイヤ

    ↑

 ルビー

    ↑

 オパール

    ↑

 ガーネット

    ↑

 ローストーン(始まりの階級)


 エスティまでが驚いていた理由は、人間が到達できる最上ランクがタンザナイトだったからだ。

 恐らく、全盛期のエントワやアレックスがこれにあたる。

 人間が到達できない理由は、ポートレッタイト以上の場合、人間では到達できない条件が付与されるためだ。

 例えば魔法クラス4以上を使えるなどだ。

 つまり、魔物や精霊、天使や悪魔といった人ならざるものしか到達できない領域になる。

 人間以外でも冒険者は存在するが、タンザナイトを超える者はほとんどいない。

 なぜなら天使や悪魔はフォックスに来ないからだ。


 「これは、、どういうこと?!」


 理解不能といった表情のエスティ。

 いや理解しなければと自分に言い聞かせているようだ。


 「前回登録時はレベル1でローストーン‥‥ありえない‥‥あわわ!でもこのマジックアイテムが間違えるはずはない‥‥」


 焦りながら話し続ける受付女性。

 さすがはプロだ。


 「て、天職は破損箇所と重なってて見えませんが、これはフォックスマスターにお話をしないと。あ、でも今出張で不在でした‥‥。1ヶ月後に戻る予定ですので必ずもう一度お立ち寄りください。尚、推薦状をお持ちでしたらノーンザ中央地への通行証も発行できます‥‥ははは‥‥」


 (固有スキルの天技ってやつはエンパスだと判明しているから前回よりは自分を知ることができたかな。でも相変わらずおれの天職ってのはわからないってことか。まぁいいや。分かったところでどうってことはないだろう)


 「!!」


 表情がおかしくなっているようだが、受付女性は更に表情を硬らせている。


 「スノウ‥‥ウルスラグナ‥‥」


 「ええ?!」


 周りの冒険者達が一斉にどよめく。


 「あの英雄神か?!」

 「いやだいぶ昔に死んでるはずだぜ?!」

 「転生した英雄神か?」

 「同姓同名ってだけじゃねぇのか?」

 「でもグランディディエライトだぜ?!」

 「英雄神だったら納得か‥‥」


 まずい、とスノウは思った。

 この世界でもスノウ ウルスラグナという名は英雄神として知れ渡っていたのかと。

 目立つ行動は避けなければならない。

 この世界に三足烏サンズウーの別隊がいる場合、真っ先に標的にされてしまう可能性があるからだ。


 「ス、スノウ‥‥ウルサイナですよ。よく見てください」


 スノウはそういいながら受付女性に頷くように目配せする。

 受付女性は、それを神の隠密行動とでも受け取ったのだろうか、口裏を合わせるように慌てて答える。


 「ああ!あれ?!見間違えてました!し、失礼しました。確かにスノウ・ウルサイナさんですね。ランクが高位でしたので、先入観で間違って読んでしまったようです。申し訳ありません」


 「なんだよ別人かよ」

 「ややこしい名前だな」

 「でもグランディディエライトだぜ?」

 「人間ではないってことか?」


 「いえいえ、ややこしい名前でこちらこそすみません。私、精霊の血が混じっているようなので少し魔法が得意なんです。あと、偶々冒険で高レベルの魔物を倒せたものですからレベルが爆上がりしたようでそれでこんなランクが出たのでしょうかね。でも実力はダイヤモンドあたりですよ。私のこの連れの女性には戦闘で勝てませんからね」


 「なんだよ、ラッキーボーイか」

 「そりゃそうだよな。特別な生まれでもなけりゃあんなランクになるはずがねぇ」

 「お騒がせ野郎だ」


 どうやら周りの冒険者の認識は、 “実際にはダイヤモンド級のラッキーボーイ”  という事で落ち着いたようだ。

 ダイヤモンド級でもすごいはずなのに話がぶっ飛びすぎていて、周囲の者たちはスノウがダイヤモンド級だと言ってもがっかりしている。

 続いてエスティが台座に手を乗せる。

 壊れているが、一応反応するようだ。

 スノウと同様に天職が見られないが、レベルとランクは見ることが出来た。


 「えぇっと、エストレア レストールさん。レベルは152ですね。ランクはレッドダイヤモンドです」


 「おお!」

 「やるじゃなねぇかあの紫髪のねーちゃん」

 「ひゃー、一撃食らってみてぇー!」

 「よく見たら可愛い顔してんじゃねぇか!」

 「俺タイプぅ」


 ヤジっている男達の言葉で一気に顔を赤らめるエスティ。

 腰に下げている剣に手をかける。

 恥ずかしさからか、怒りからか、恐ろしいオーラが周囲に放たれ、先ほどまでヤジっていた男達の顔が一斉に青ざめた。


 「エストレアさんもスノウ・ウルサイナさん同様に推薦状があれば通行証を発行できます」


 わざわざウルサイナを強調する受付女性。

 どうやら、お忍びの英雄神に ”貸し” を作ったとでも思っているようで、恩着せがましく強調したのだ。

 こうして無事に無期限通行証を手に入れたスノウとエスティだった。

 なんだかんだと目立ってしまったが、とりあえず久しぶりのダイヤモンド級冒険者が登場した程度で落ち着いたようだった。

 レネトーズ卿に通行証を手に入れた事を伝え、ノーンザーレまで護衛する事を改めて確認した。

 これでレネトーズ卿に付き添ってケライノーを守る事ができるようになった。

 レネトーズ卿から出発は明後日になったと聞かされた為、スノウとエスティは情報収集するためにメルセボー内を散策する事にした。

 夜になり、ケリーから音魔法で伝言が届いていた。

 無事に仲間に状況を伝えられたという事と、特に何もされておらず一応食事も届けられており問題はないとの連絡だった。

 スノウも返信をしたくてエンパスの能力で言葉を送ろうとしたが、特定の人だけに伝える方法がわからず断念した。

 下手をすれば誰かわからない人にコメントを聞かれてしまう恐れがあったからだ。



・・・・・


・・・



―翌朝―


 スノウとエスティは別々に情報収集する事にした。

 そこでスノウは重要な情報を得ることになる。









11/30修正

・・・・・・・・・・

最近忙しくて中々アップできていないけど頑張ろう

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