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<ホド編>36.ギョライ隊

36.ギョライ隊



 (やべぇなワサンのやつ‥‥)


 ホウゲキの強力な攻撃を受けながら、サンドバッグ状態になっているワサンを気遣うアレックス。

 自分自身にも余裕がないため、助けに行くこともできない。


 「うわの空か?我輩相手に舐めたことをしてくれるぞアレクサンドロス!怒破手暴風撃(どはでぼうふうげき)!」


 ホウゲキの剣が切り裂く強風を巻き起こしながら振り下ろされる。


 (これぁ受けちゃやべぇやつだ!)


 シャガガガガン!!


 アレックスは後ろに飛び退きホウゲキの一撃を躱した。

 振り下ろされた剣から空間を切り裂く凝縮された暴風斬撃が飛び、その延長線をズタズタに切り裂いた。

 アレックスはかろうじて横に避けたが、暴風の影響から体勢を崩してしまう。

 その隙にホウゲキは次の一手を繰り出す。


 「怒破手超強撃(ちょうきょうげき)!」


 ズガガガガガガン!!


 比較的遅い剣撃だが、振り下ろされた剣は地面に突き刺さると思いきや、そのまま剣の軌道にある地面を削り取る。


 「なんつー馬鹿力だよぉ!」


 アレックスの怪力はホド全土でもトップクラスだが、ホウゲキの規格外の馬鹿力にアレックスも思わず呆れるほどだった。

 アレックスは辛うじて避ける際、フレイムレイをニンフィーに向かって放った。

 雑魚隊員と戦っているエスティとニンフィーの攻撃によって三足烏隊員の数はかなり減ったが、エメラルド級以上の戦士がそれなりの数で襲いかかってきていることもあり、体力・魔力の消耗も激しくなってきた。

 その時、自分目掛けて炎のレーザーが飛んできた。

 ニンフィーは簡単に避けたが、飛んできた方に目をやる。

 アレックスのようだが、アレックスが自分に助けを求めてくることはない。

 ニンフィーはそう考えさらに周りを見渡す。

 

 「あれは‥‥」


 遠くで砂埃の中、なぜかダメージを何度も食らっているワサンが見える。


 (ワサンのヘルプね。あれは‥‥ちょっとまずいわね)


 「エスティ、ちょっとここを任せていい?」


 「ちょ、ま、まぁいいわ!こんな雑魚あたし一人でじゅ、十分だから!」


 「ありがとう!」


 ニンフィーは珍しく肉体強化魔法を自分にかけ、戦闘を掻い潜って攻撃を受けているワサンから少し離れた場所から魔法を詠唱した。

 埃が舞っているワサン周辺を覆うように大きな水の球体ができる。

 それが徐々に小さくなっていく。


 ヴァッシャー!!


 突然水の球体が何かに弾かれる。


 「今ね!」


 次の瞬間、球体は一気に中心に向かってしぼみ、ちょうどワサンを守るバリアのようになる。

 動きを止めるカヤク。


 「なんだぁ?こんなヤワっちいバリア張りやがって!ワサンじゃねぇなぁ!こいつにこんな魔法が使えるわけがねぇからさぁ、ヘハハハァ!」


 ニンフィーは水のバリアごとワサンを自分の方に飛ばす。


 ドサッ‥‥


 ニンフィーはすかさず回復魔法をワサンにかける。

 傷と体力がある程度回復するが、全快させるだけの余裕をカヤクは与えてくれない。


 「てめーかァ!半精霊の女!」


 「バリアオブウォタードーム!」


 エスティは自分たちへのバリアではなく、カヤクを捕らえるかのように水のドームを形成した。


 「アトミックデトネーション!」


 ニンフィーは水のドームの中に魔法をかける。

 炎系クラス4の魔法だ。

 ドームの中で原子爆発が起こる。


 グッフォォォォォォン!!


 水のドームはある程度まで爆発を抑えていたがすぐに割れ、その衝撃が周りに伝わる。


 「カヤク様!」


 エントワと戦っているキセキは、カヤクが受けた攻撃に思わず叫ぶ。


 「ダイナ!マイト!この初老は任せたぞ!私はカヤク様の援護に向かう!」


 「キセキィ!お前ぇ俺が負けるとでも思ってんのかァ?負けるわけねーし!」


 「カヤクさま?!」


 カヤクは原子爆発の前に地面に穴を掘り、水のバリアのないところから外部に出ていたのだった。


 「俺がお前に助けを求めるほど弱ぇって思ってんかァ?さっさとそこのおっさんを血祭りにあげろ!」


 「あらこいつ厄介ね。ワサンできる限りサポートするけどあいつの動き掴めそう?」


 「今ノママジャ無理ダ‥‥」


 「珍しく弱気ね。でもまさかあれを使うんじゃないでしょうね‥‥」


 「イヤ、マダ使ワネェ。ダガ手ガネェナラ使ウ。死ヌヨリマシダカラナ」


 「了解、わかった。絶対に使わせないよ」


 「フン‥‥」



 一方、スノウはキライという三足烏・烈の第三分隊のギョライ分隊長配下の男と戦っている。

 大した傷は負っていないがその表情は少し疲れていた。

 さっきからパチンコ玉のようなものから地面に落ちている石ころ、死んだ動物骨、とにかく飛ばせるものはなんでも飛ばしてくるため、その度に弾き方、避け方を飛んでくる物体を見ながら判断しなければならず、意識を集中させ続けていたからだ。

 万が一弾いた時に破裂するような爆弾系の物の場合、大きなダメージを負う可能性があるため、自分に飛ばされるものが何かを絶対に見間違えてはならない。


 (おれって動体視力こんなに良かったっけ?)


 スノウはこの世界に来て、なぜか年齢も若くなり短期間で相当な戦闘をしたせいかわからないが、とにかく凄まじいスピードの攻撃にも目がついていけている事に気づいた。

 

 (というかついていけないと1分と持たずに殺されるよ‥今なら野球選手でスタープレーヤーになれるな‥‥。おれにこんな才能があったんならもっといい人生だったのによ‥)


 「おっと!」


 そんなくだらない事を考える余裕も無くなってきた。

 なぜならひっきりなしに何かを飛ばしてくるキライのパチンコ弾‥‥色んなものが飛んでくるから総称してパチンコ弾という事にする‥‥を少し離れた場所でロムロナと戦っているギョライが銃で跳ね返してくるからだった。

 あのギョライという分隊長はこのキライ以上にいかれた銃の腕を持っているようだ。

 ロムロナを攻撃しながら、キライの放った弾をスノウが避けた後に当ててそれをスノウの方に反射させる。

 つまり前からキライの弾、後ろからギョライがロムロナへの攻撃ついでに打ち返すという挟み撃ち状態になっていたのだ。


 (ダークネスミスト、サイトオブダークネス)


 スノウは心の中で暗闇の霧を出す魔法を詠唱する。

 辺りは一気に黒い霧に包まれる。

 キライもすぐ対策を打つだろうが一瞬たじろぐはず。

 その隙をついて致命傷を負わせる作戦だ。


 (今だ!)


 一瞬視界からスノウが消え、隙ができた。

 それを見逃さずに一撃を加えるべく迅移で詰め寄る。


 (速突!)


 剣先がもう少しでキライに届くというところでキライがかすかに笑ったのが見えた。


 ガガン!


 ものすごい殺意を感じ思わず避ける。

 闇の霧が一気に晴れる。


 「ふむ。なかなか勘がいい。あなた判断があと0.2秒遅かったらその傷、致命傷になっていましたよ。まぁ仮に0.2秒遅かったとしても私はわざと外しましたがね」


 「がはっ!!な‥何?!」


 (何が起きた‥‥パチンコは構えていなかった‥‥はずだ)


 思わず左手で抑えた右の脇腹から血が噴き出ている。

 何かがスノウの腹を貫通した。


 「やるじゃねぇか!そうこなくっちゃな‥‥」


 (何言ってるおれ‥‥そうじゃない。あのキライが何をしたか、それを聞かなきゃいけないのに‥‥こんな時に強がってどうする‥‥)


 急いで魔法で治療する。


 「おや、あなた回復魔法もできるんですね。加護精霊複数持ちですか。でも安心しましたよ、命令ではあなたは殺すなとなっていますから」


 そう言いながらキライは素早くパチンコを弾く。

 無数のなんらかの弾が飛んでくる。


 ヒュン!ファン!ヒュン!ヒュン!


 剣で避けながら距離を取る。

 近づいても弾道は見えなくはないが、先程の動きなく弾を撃つトリックがつかめていない。

 そのトリックを見破らない限り近づくのは危険だ。


 (考えてても埒があかない!揺さぶってみる!)


 「迅移」


 (バリアオフウォーターウォール)


 「ほう!近づいてきますか」


 スノウは左右に避けながら近づく。

 キライは的確に弾を撃ってくるが、スノウはかろうじて避けながら近づく。


 「無駄です。怒破手ガトリング!」


 カカカッ!ヒュヒュヒュン!ピュピュン!カカカカカン!ヒュヒュン!


 キライは一度しかパチンコを弾いていないように見えるにもかかわらず十数発の弾を撃った。

 それを直前で放ったキライを囲む円柱状の水の壁で弾の勢いを殺す。


 「うぉぉお!」


 弾の勢いを殺した水の壁を飛び越えて一気に切り込む。


 「無駄といったでしょう、はぁ‥。私は狙ったら必ず仕留めます。ミスは許されません。よって無駄な攻撃は一切しない」


 キライは既に第2波の弾を撃っていた。

 それらは水で殺された弾を弾き、スノウの背後からぶち抜く軌道で跳ね返された。

 と同時に切り込んでいったスノウを待っていましたとばかりに正面からさらに弾を撃ってきた。

 完全に前と後ろから挟まれた集中砲火だ。


 「クソぉ!逃げられない!!」


 ババババババババババババ!!


 無数の弾が体を貫く。


 「ん?」


 「かかったな!」


 いつもスノウが使う残像だった。

 キライが残像目掛けて無数の弾を撃っているその隙に後ろに回り込み一気に切り込む。

 水の壁で視界を遮っていることもありスノウの存在には気づかない。

 はずだった。


 「甘いですよ」


 突然左脇腹に弾が貫通した。


 「ぐあぁぁぁ!!」


 スノウの悲痛の叫びが響いた。

 と同時に雷がキライ目掛けて落とされる。

 

 ドッグォォォン!!!!


 一瞬砂煙が舞ったが、水の壁が溶けて跳ねたため、一瞬で砂埃が消えた。

 そこには所々焦げてぼろぼろになった服のキライが立っていた。


 「そういうことだったのかよ‥‥」


 スノウはキライの正体不明の動きのない攻撃の謎が解けたと納得した。

 なぜならこのキライという男、なぜか腕が3本あったからだ。

 背後に周り攻撃をかける直前で放ったライゴウによってキライにダメージを与えた。

 最初の残像はもちろん、背後から切りつけたスノウ自身も囮で本命の攻撃はライゴウだったのだ。

 残像とスノウ本体の切り込みのほぼ同時2段攻撃で、必ずキライの動作のない正体不明の弾道が出るとスノウは踏んでいた。

 しかし、撃たれたままでは謎がわからない。

 そのため、スノウは自分の第2波に対するキライの反撃の状態で動きを止める必要があった。

 まさに時間を止めるように。

 そこで残像、スノウ自身の攻撃、ライゴウ、この3つの攻撃をほぼ同時に繰り出したのだ。

 ライゴウで感電させれば見えない攻撃の姿を晒させることができる。

 これがスノウの小細工だった。

 その代償として腹に穴を開けたが、すぐさま回復魔法をかけた。

 自分で回復魔法の使えるスノウならではの捨て身の連続攻撃だった。


 「おいおい。キライのやついきなりネタバラシしてどうすんだよ‥‥」


 ロムロナと戦闘中のギョライがぼそっと呟く。


 「真横が見えるなんてその目のレンズは魚眼レンズなの?」


 そう言いながら火やら水やら雷やら砂嵐やら様々な魔法を放ちまくっているロムロナ。

 ひっきりなしに放たれるギョライの銃の弾道を少しでも遅らせ読むために魔法を放ちまくっているのだ。

 ロムロナにも余裕がなかった。

 遠距離攻撃できる素早い相手は魔法を得意とするロムロナにとって相性が悪い。

 剣、槍、斧など手持ち武器は直接当ててくる必要があるから、近づいてくるその間に魔法で致命傷を当てられる可能性が高いが、飛び道具はそう言った隙がない。

 しかもギョライのようにリボルバーだと弾倉入れ替えロス程度で次のモーションに移るタイムラグもほぼないまま避けるのが難しい攻撃が飛んでくる。

 ロムロナの中では最もやりづらい相手だ。

 それを心得ているギョライは半分遊んでいるかのようにロムロナを少しずつ追い込んでいる。

 その余裕のなかでキライの秘密が暴かれた状況を見て銃をスノウに向かって撃ってきた。


 パンン!


 いやスノウに向けられた弾ではなく、キライに向けられたものだった。

 弾道はキライの耳横をかすった。

 それによって意識を取り戻したキライはすぐさま戦闘体制に入り、複数の弾の同時発射でスノウに攻撃してきた。


 「なんだよ!ピンピンしてんじゃないか!」


 思わずまた訳のわからない事を口走るスノウ。


 (そうじゃないだろ!秘密は暴いたぞ!だろここは!)


 「なかなかやってくれましたね。お陰で私の第3の手を隠す必要がなくなりました。正直言うとね、ちょっと蒸れて気持ち悪かったんですよ」


 そう言いながらすぐ様無数のパチンコ弾を撃ってくるキライ。


 「全身焦げててその冷静なコメント。何かのコント見てるみたいだよ!」


 ブラストレーザーで無数の弾を狙い撃ちする。

 完全に止められないが勢いを殺せればそれでいい。

 もはや騙し合いに意味は無くなった。

 素早さの勝負だった。


 スバババン!!!カカカン!カカンキンキン!!


 ひっきりなしに弾を撃てるのは3つ目の手でキライ自身が持っている弾、もしくは地面に落ちている何かを拾い、右手で構え、左手で弾くという無駄のない動作連携があるからだ。

 腕が3本ないとできない芸当だった。


 (これじゃぁ消耗戦だ。だが、今のところ弾数は多いが正直防げない数じゃない)


 ふと目をロムロナに向けるとかなり苦戦していた。

 スノウはロムロナが傷を負ったのをほとんど見た事なかったが、腕や肩にどころどころ銃弾がかすったような痕が見え、数カ所から血が滴っているのを見て驚いた。

 一方、分隊長と言われていたギョライにはまともなダメージがない。


 (やばいな、ロムロナ‥‥このままだとやられる)


 スノウはキライと撃ち合いながらロムロナの方に近寄る。


 ズキャン!ズギャン!ズギャン!!


 ギョライはロムロナの魔法攻撃を避けながらリボルバーを撃っているが、当然ロムロナも魔法で弾筋を変えようと試みる。

 だが、銃弾の威力が凄まじく勢いを殺せず躱しきれずに当たってしまっている。


 (足だけは避けないとねぇ。しかし厄介だわねぇこのボウヤの攻撃‥‥こんなに相性が合わない相手も久しぶりねぇ)


 ギョライは素早く弾を込め直し再度狙いを定めた。


 (ちょっと隙を作らないと、しんどいわねぇ)


 ギョライの充填スピードが速いため魔法でダメージを与える隙がない。


 「ディルヴィアルカタストロフ」


 ロムロナは大洪水の魔法を唱える。


 ザッパアァァァァァァ!!


 洪水の勢いでギョライが少しだけ体勢を崩す。


 「デハイドレイション」


 ロムロナは大洪水魔法を解き消し去るや否や、今度は体の水分を抜き去り干からびさせるクラス4の高等魔法をかけた。

 歪んだ空気のようなものがギョライ目掛けて飛んでいく。

 ギョライは崩した体勢にもかかわらず体をひねって避ける動作をとった。


 ジョワワアァァァァァ!!


 脱水魔法が地面に触れ爆発するように地中の水分が一気に蒸発しギョライの周りに靄を作り出す。

 すぐその靄が晴れる。

 ギョライはロムロナの魔法を避けきれていなかったようで足にヒットしたらしく魔法が接触した部分はミイラのように萎んで細くなっていた。


 「これで少しは魔法を受けてくれそうね」


 一方スノウは、キライの攻撃を剣で躱しながら魔法をかけ、すかさずギョライにヒットさせる。


 ドッゴォォォォン!!


 足がミイラのようになり、素早い動きができなくなったため、完全に撃ち抜いたわけではないが、ライゴウがギョライにヒットする。


 「ナイス!スノウボウヤ!」


 「ギョライ様!‥‥ウルスラグナァ貴様!」


 自分との戦に専念していないスノウの姿にキライはプライドを傷つけられたのか、または自分の上官がダメージを受けて驚いたのか、思わず声を荒げた。

 ロムロナはここぞとばかりにギョライに対し火・土のクラス3の魔法を叩き込んだ。

 一方、スノウは地面を蹴って向きを変え、ギョライに気を取られているキライの方へ飛び、すぐさまキライに攻撃を加えた。


 ガゴォォギギギギ!


 スノウの放った剣撃をキライはかろうじてパチンコで受ける


 「うぐぅ!」


 「なんだ?キャラ変わったんじゃね?」


 そのまま蹴りを食らわした。


 ドッゴォン!


 「ぐはぁ!!」


 キライは腹にスノウの渾身の蹴りを喰らい吹き飛んだ。


 (こんなんでやられる子じゃないと思うけどねぇ、少しでも体力削らせてもらうよ!)


 ロムロナはさらにギョライに魔法攻撃を追加投下しダメ押しした。

 蹴りを食らわせたスノウは、ロムロナの後ろに着地しお互い背を預けながらそれぞれの相手の次の動きに警戒する。


 「あらあら、あたしたちやっぱりベストパートナーじゃない?ご褒美に帰ってらいい事してあげるわぁ、ウフフー」


 「断る」


 そう言いながら余裕のない表情で笑みを浮かべるロムロナとスノウ。


 「クラス4の魔法か。侮れないな」


 そう言いながらゆっくりと立ち上がるギョライ。

 ミイラになった自分の足を何かを確かめるように触る。

 おもむろに腰にぶら下げているポーチから小さな水筒のようなものを取り出し、飲み口を指で潰す。

 そしてその潰して尖った先端を足に刺した。


 ブズ!!


 なんとも単純だった。

 水分が足りなければ水分補給すればいいと言わんばかりに水筒の水分を注入していく。

 完全ではないが、足は多少動けるまでに回復した。

 一方キライも口周りに残っている吐いた血を手でぬぐい立ち上がる。


 「だいぶ成長したようですね、ウルスラグナ。あなたの事前情報では魔法の素質はあれど魔力量が乏しいので精々使える魔法はクラス1か2。剣術もエメラルド級程度と聞いていたのですがね」


 『そろそろ‥‥』

 「本気で行かせてもらうよ」

 「本気で行かせてもらいます」


 ギョライとキライは声を揃えて構える。

 その姿から発せられる殺意と威圧感はこれまでと比ではなかった。






11/13修正

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